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◇スキルツリー
【アスポート】
・精度Lv1/30
・距離Lv1/30
・重量Lv1/30
・詠唱Lv1/1
おおう、スキルポイントが合計で90ポイント必要なのね。
レベル一分を引いて87ポイント。
レベルで言うと、44レベルくらい必要なのかな。
「便利スキルっちゃ便利スキルですけど、今の所使い勝手と合ってないですね……、これでスキルポイント2でちまちまやってたら、マックスに成る頃は80レベル近いですよ」
「30レベルからスキルポイントは3ポイントじゃ」
「そうなんですか」
いや、それでもレベル30必要やんけ。
厳しいなあ……。
一先ずボーナススキルを全てアスポートに振っておこう。
◇スキルツリー
【アスポート】
・精度Lv2/30
・距離Lv3/30
・重量Lv3/30
・詠唱Lv1/1
【アポート】の時はどうだったか覚えてない。
だが、【アスポート】の場合。
・距離レベル×100cm
・重量レベル×10kg
・精度レベルはレベル2で限界距離精度1.8%だってよ。
使えないのかこれ。
一応今の所3メートル先に物を転移できるようになった。
無詠唱化とは書いてない、発動もしないので詠唱が居るのな。
MP消費も何気に高めだったりする。
「鍛える事じゃな」
「何とか頑張ります」
そしてそのままレベル上げと黒鉄を兼ねてワイルドオブザウィルの二十体組み手を取り仕切った。
百人組み手?
せっかく上位個体が居るならそっちでやった方がお得だ。
あ、スキル強化の書は無事に【エナジーショック】の威力を上げましたよ。
【ワイルドオブザウィル】Lv1
荒野を徘徊する人型の魔物。
荒野の砂埃や石が、長い年月をかけて動き出し。
そして意志を持った。
土属性の魔法を扱う。
スティーブンによって強制転移させられたワイルドオブザウィル。
さて、転移使って見ようか。
「アスポート!」
……コツン。
小石は弾かれた。
そして転がった小石の音をスタートとして、ワイルドオブザウィルは攻撃を仕掛けてくる。
「めり込まない!」
「当たり前じゃろ」
何度やっても結果は同じだった。
【魔纏】を使用してボコボコにして行く。
攻撃が通るんだよね、二次スキルになってから。
◇スキルツリー
【マジックアンプ・ナート】
・向上Lv1/25
・熟練Lv1/20
・消費Lv1/20
・詠唱Lv1/5
【マジックウェポン・ナート】
・向上Lv1/25
・熟練Lv1/20
・消費Lv1/20
・詠唱Lv1/5
二次転職して何故か上書きされたスキル。
もちろん、一切振るつもりは無い。
でもあれ、それでまかり通るならさ。
スキルポイント振る理由無くないか?
と、思うじゃん。
そんなことないんだってさ。
詳しい話はしらんが、大丈夫なんだって。
さて、ドロップは黒鉄三つだった。
パンドラストーンは?
魔素土壌は?
スキル強化の書は?
物足りない。
とにかく狩るべし。
そして、連戦に次ぐ、連戦がスタート。
[プレイヤーのレベルが上がりました]
……大満足でした。
残念ながら【アスポート】を使う機会は無し。
いつのまにかレベルが上がっていた。
ローヴォがお留守番している分、経験値の実入りも良かったのだろうか。
残りHPは適時回復しているだけあって、半分残っている。
だが、MPが残り二割に。
【魔纏】の消費がそれなりに大きかった。
使い勝手も中々わかって来たし、良いとしよう。
倒した数は二十五体。
黒鉄の合計は九十五個。
パンドラストーンは十二個。
魔素土壌は二十個。
ギリギリ、黒鉄は納品数に足りる。
ドロップ率は以外と少なかったなあ。
これもローヴォの効果なのだろうか?
「初回討伐ボーナスって言うのがあってのう」
それだったか。
期待を込めての討伐だったが、そういうカラクリがあったんなら仕方が無い。
個数も達成できているので結果的によしとしよう。
「そら、気も晴れたじゃろうて。戻るぞ」
「はい」
スティーブンの後ろには、ティラノロッキーの他に数々の魔物の死骸が積み重なっている。
合間を縫って鑑定してみた結果がこちらです。
【ファイヤプテラ】Lv23
荒野を飛ぶ炎の化身。
その炎は全てを焦がす。
【ワイルドメガテリウム】Lv15
荒野に住む巨大な哺乳類。
腐肉を食べて生きる。
【ワイルドラプトル】Lv20
荒野のハンター。
足が速く、優れた視力と高い知識を持つ。
【ワイルドアンキロ】Lv10
硬い頭と背中と尾を持つ。
突撃と尻尾の振り回しは脅威。
時代背景は、白亜紀ですかー?
って感じなんですが、あとジュラ紀?
メガテリウムとか居るんですかー?
色々疑いたくなるとんでもない場所だよなここ。
「だいたい、どれくらいから来れるようになるんですかここ……」
「む? 未踏と呼ばれる地じゃ、先に大森林を抜けねばならん、そうじゃな、……お主らのレベルで言う所の100レベルくらいからじゃないかの?」
「はあ」
数字大き過ぎて何とも言えなかった。
ともかく、本当にこの恐竜達と戦えるのだろうか。
スティーブンが戦えてるって言うことは、戦えるんだろうな。
想像もつかない。
裸一貫でここへ放り出されても、一時間と経たずに餌になりそうだ。
「急げ、良くない者が姿を見せかねん」
「特に準備完了してますよ」
帰る準備終わってないのはスティーブンだ。
流石に大きな魔物達の転移に時間がかかっている。
「整理が面倒での~」
転移先は、やっぱり大きな倉庫なのだろうか。
テレポートのスキルを極めると倉庫以外にも特典があるのかな。
アポートのマックスボーナスがストレージからの取り出しだっただけに、アスポートのスキルマックスボーナスについて容易に想像がつく。
ストレージからの出し入れが可能になると、フィールドワークがすごく楽になる。
「まだですか」
「よし終わったぞ、帰るか」
そこへ、咆哮が響いて来た。
地を揺るがすようなとんでもない大声。
ティラノロッキーの涎に塗れた咆哮よりもさらに凶悪な声。
咆哮一つで身体が重くなったように強ばる。
「……いかんな」
「な、何ですか?」
「屍肉に寄って来たか。まぁ鑑定だけでもしてみろ」
「はあ」
顔をのぞかせたのはワニのような顔だった。
獰猛な瞳がギョロっとこちらを窺うのだった。
そして一つ吠えて猛然とこちらへ駆け出して来た。
【グラビティスピノ】Lv40
荒野の王者。
背中にある帆の様な突起が、重力を操る特殊器官の役割を果たす。
ピシパシとグラビティスピノの周りの岩石が崩れて行く。
背中の突起が揺らめいた。
その瞬間、空間を泳ぐように恐竜が加速する。
「よし、帰るぞ!」
恐竜が捕食しようと口を目一杯広げた所で、スティーブンが指を鳴らす。
俺の身体を掴むように迫って来た舌が丁度目の前で、景色がいつものリビングへ。
ソファに黙って座っていたローヴォがむくりと起きて、俺に駆け寄ってくる。
怪訝なローヴォの視線で気付いた。
身体中、冷や汗出っぱなし。
格が違うって、こういうことだろうな。
絶対に勝てない相手を前にした時の感覚。
これは厳しいと、思う場面は沢山あったけど、恐怖よりもワクワクの方が強かった。
久しぶりに、本当に久しぶりに体感した。
手が震える、そして思った。
このゲームすげぇ。
「さて、今日は少し疲れた。転移の連続は腰に来るでの」
そう言って寝室へと向かうスティーブン。
ローヴォを抱き寄せてなで回す。
ガウガウと鬱陶しそうにするローヴォであるが、ちゃんとこういう時は傍に居てくれる子。
いい子に育って、もう。
今日はゆっくりして、寝ようかな。
一度落ち着こう。
最近展開遅くてすいません。




