表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/626

-79-

「最近になって、東西のモンスターが活発になって来ているようです。あくまで予測ですが、生産チームの皆さん来週のタイアップイベント後に、何かしらの公式イベントが来るのではないかと感じているみたいです」


 進む幌馬車の横を歩きながら進む。

 行商クエスト専用の道を通る訳だが、明らかに以前よりも出てくるモンスターが多く強かった。


「ひえ、レベルかなり高くないですか敵!」


 エンカウント率が高く、そして遭遇するモンスターの平均レベルも高いので、ツクヨイは【ダークボール】を三つ程自分の周りに浮かせて臨戦態勢を取っている。


「クエストエリアは、パーティの平均レベルで出てくるモンスターが変わりますから」


 ニコニコと笑顔を作りながら、ニシトモが俺を見る。

 何が言いたい。


「ローレントさんが高すぎるのが……」


「経験値になるから問題ない」


 ツクヨイが何かを言おうとした所で黙らせておく。

 行商には常に危険が一杯だ!

 そして、クエストエリアって良いね、絶対レベル上がるじゃん。

 経験値美味い。


「何ですかシグナルウルフって! フォレストウルフと何が違うんですか!」


 騒ぐツクヨイ。

 そう言われても、鑑定して書いてあることが全てだったりする。

 ローヴォの挙動が変わってすぐのことだ。



【シグナルウルフ】Lv12

深い大森林に住まう狼。

広大な森の中で、テレパシーを利用して仲間とやり取りをする。



 ローヴォが気付くのが遅れるくらい、唸り声すらなく、淡々と襲いかかって来た。

 ニシトモは剣を抜く、俺も剣を抜いて馬を挟んで警戒する。

 ツクヨイは幌馬車の上から遊撃に回る。


「商売道具はやらせませんよ……、ハイブースト!」


「ブースト、フィジカルベール、メディテーション・ナート、エンチャント・ナート」


「ダークベール! メディテーション・ダーク! もーやだあ! 沈黙とか暗黒が利かないなんてぶらっくぷれいやぁの敵です!」


 シグナルウルフの種族特性というか、テレパシーを利用して仲間とやり取りをしているみたいだけど。

 その影響もあって例え暗黒目が見えなくても、沈黙になっても、誰か一人が目となっていればテレパシーで協力して、連携を組んでくる。


「ブラックスタッド! ダークバースト!」


 闇魔法スキルの連携技。

 【ダークボール】をくっ付けて継続ダメージの【ブラックスタッド】。

 そして更に蓄積ダメージを破裂効果によって与える【ダークバースト】。

 単純に威力二倍じゃん、強い。

 うん、泣き言を言いながらも自分に出来ることをするのが良い所。


「ハッ! ヤッ! 同じレベル帯だと、多対一は厳しいですね!」


 ニシトモのサポートにローヴォを向ける。

 ラッキーが付いてるから大丈夫だと信じたい。


 肝心の俺の得物は?

 鬼子の長剣に決まってる、サブでヌンチャクだな。

 三節棍は取り回しがどうしても両手になるから辞めておく。


 幌馬車の上にいるツクヨイに跳躍する一匹に銛を投げておく。

 トモガラに、職業装備を持てることを教えてもらってから常に銛は一本持っている。

 でもね、竿でも良いかなって。

 ロープ付けて竿代わりになるなら、竿の先にロープくっ付けて持っても良いよね。

 相手を縛る様。


 もしくは釣り針と糸。

 プレイヤーキラーのヘジーを倒した時のように。

 釣り竿で引っ掛けてこっちに引き寄せる使い方。


 アリだな。

 耐久性に何があるかもしれんが、ハントスパイダーの糸なら何とか。

 上位素材を取りに行くのも良いかも。


 銛が刺さり、怯んだシグナルウルフに止めを刺しに行く。

 だが、すぐに邪魔が入る。

 二体のシグナルウルフが介入してくるのだ。

 一体が飛びかかり、もう一体が地を這うように下からの噛み付き。


 優秀な防具がなかったら、反撃すら出来なかっただろう。

 飛びかかるシグナルウルフは鬼子の長剣で横薙ぎに斬り捨てる。

 そして隙を付いた下からの攻撃、脛狙いか。


 そのまま蹴り飛ばした。

 沈黙が利いているのか、声も上げずにぶっ飛ぶシグナルウルフ。

 鬼子の長剣で斬り殺す。


 さて次。

 ニシトモは、ローヴォのサポートを受けて平気そうだった。

 幌馬車の上から降りたツクヨイが攻撃を受けていた。


「ダークボール!」


 サポートに回していた【ダークボール】を回収し、自分の周りで浮かせて牽制。

 そして詠唱。


「ダークサークル!」


 ツクヨイを中心にして広がる渦巻く闇。

 浮遊する闇の球体の数が二倍に増えた。

 警戒して飛び退くシグナルウルフ。


 着地の瞬間を狙う。

 ダッシュして、そのままスティングだ。

 強制加速、そしてひと突き。

 コンマ数秒の膠着の後、刺さったシグナルウルフを投げ捨てた。


「攻撃魔法?」


「闇魔法は全部絡め手ばかりです。全て基本のダークボールが変質したり、増えたり、次の転職でもしかしたら別の攻撃魔法スキル覚えれるかもです」


 聞く所によれば、【ダークサークル】の効果は、サークル内に居る敵モンスターに異常状態発生。

 そしてサークル内であれば【ダークボール】の個数が倍になる。

 後は、サークル内であれば【ブラックスタッド】で張り付いたモンスター相手に対する継続ダメージが上昇。

 その分【ダークバースト】の威力も上昇し。

 現在上げてる【ブラックスタッド】からの連携スキル【ブラックドレイン】の効果も、HP回復だけなのが、MP回復効果も追加されるらしい。


「強くない?」


「使いどころは難しいです!」


 【ダークサークル】の中心から動くと、時間経過ですぐに消えてしまうらしい。

 【ダークサークル】使用中は絶えずMPが消費され続ける。


 確かになかなか難しいスキルだった。

 でも、とツクヨイは声を張り上げる。


「闇魔法コンボが決まった時の爽快感は、たまらんとです!」


 ふむむと笑うツクヨイ。

 でも闇魔法って自分が動かないことが前提って感じがするんだけど。

 ダークボールの特性にしても勝手に浮遊するしね。


「ボッチスキルじゃん」


「いってはならんことを! いってはならんことを!」


「では、先を急ぎましょうか」


 戦闘を終えて帰って来たニシトモ。

 エンカウントが多くて地味に遅れて居るんだとか。

 よし、少ない敵だったら俺とローヴォで瞬コロだ。



[プレイヤーのレベルが上昇しました]

[テイムモンスター:ローヴォのレベルが上昇しました]



 いやはや……、まさかこんなにエンカウントするなんて。

 MPの使用率がかなり低い俺でもMP半分を切る程に使用した。

 主にスキルの重ね掛けだったりするのだが……。

 そうすると、ニシトモやツクヨイはどうなる?


「ひええ、なんなんですか! もう無理、無理です!」


「些か、多いですね。ローレントさんが居てくれて助かりました……」


 二人は疲労困憊していた。

 ツクヨイのMPはスッカラカンである。

 途中であえて敵を誘導して【ブラックドレイン】で吸収回復させてもこの有様だった。

 ローヴォも「ふぅ」と溜息を付いて俺の隣で佇んでいる。


 ツクヨイとニシトモ。

 供にレベル二ずつ上昇。

 二十と二十二である。


 格上との戦闘、お疲れさま。

 労いの言葉は、届いていないみたいだな。


「これで、素材は上位素材だったいいんですけど。何ぶんクエストエリアなもので、ドロップする素材はフォレストウルフやら格下素材なのが、痛いですね……、経験値は確かに効率良いですが」


 なんだか、強制レベリングのような形になってしまっていたようだ。

 俺としては、鵯蜂こと【ブルブルホーネット】の上位【キジバチ】とか、【ファミリアント】の上位である【ギャザリアント】が見れたので良かった。


 とても楽しい一時でした。

 ってかコイツらの上位種、キラーホーネットとかマーダーアントじゃないのね。

 別個体って括りなんだ?

 少し意外だった。


「でも売れないことは無い」


「そうですけども、苦労に見合ってないですよ。ハハハ」


 苦笑いを浮かべるニシトモ。

 ツクヨイは立ち上がってスキル振りにしけこんでいた。

 おっと、俺もこの間の分を振っておかないと!



◇スキルツリー

【エナジーボール】

・威力Lv5/5

・消費Lv1/5

・熟練Lv1/5

・詠唱Lv1/5



 四ポイント中、二ポイントは【エナジーボール】に振りました。

 すると、無属性魔法スキルが追加される。

 大体の魔法スキルは【エナジーボール】をマックスにすると派生魔法スキルが出現する。

 無属性魔法使いなら、威力のパラメーターを弄るだけで良いのだ。


 節約節約。

 もっとも、スキルレベルマックスからじゃないと出現しないスキルもあるのだが。


 スティーブンに台所に立つぞと脅してゲットした情報。

 【スペルリジェクト】は無属性魔法スキルの正当派生ではない。

 という、何とも抽象的な部分だった。

 いやいや、全部教えてくれよって感じなんだけど、自分で調べろって言われた。

 師匠にあるまじき発言だろ!


 威力を伸ばせとは言われて来た。

 確か、【エナジーボール】の次のスキルは【エナジーショット】。

 これは無属性魔法使いに転職した時点であった。

 だから違う。


 今回出現したのは?



【エナジーショック】

・威力Lv1/10

・消費Lv1/5

・熟練Lv1/10

・詠唱Lv1/5



 魔法スキルの説明も見ておけ。



【エナジーショック】

エナジーボールの威力を追求し、射程を捨てたもの。

相手に接触して放たなければ無意味。



 これだろ!

 ビンゴビンゴ!


 ええい、全部振ってしまえ。

 【息吹】はまた別の機会でも良いだろう。

 威力と熟練はマックスだし、残っているパラメーターも消費だけ。

 HPの減る量が多いくらい許容だ許容。


 だが、ここで踏みとどまった。

 何故か今日は踏みとどまったのだ。

 パラメーターは威力と熟練が大きい。

 だが、詠唱が居る。


 パラメーターが有るということは詠唱を上げなければ、スキル名を唱えるだけで使えるお手軽スキルじゃなくなるということなのだ。


 試しに使ってみよう。

 休憩していた森の広場で【エナジーショック】を使いながら素振り。

 【エナジーボール】と同じ詠唱時間。

 そして……、ヌンチャクで木を殴ってみる。


 ダメだ、これ。

 時差がある。

 時差がある!!!!


 詠唱が射程が無い分、詠唱が終わるベストタイミングで攻撃を当てなきゃいけない。

 撃てば良いだけじゃなくて相手に近付いてスキル発動のタイミングで攻撃を当てないと行けない。


 近接スキルと変わらんどころか。

 更に使い辛いやんけ!!

 あぶねー、馬鹿みたいに威力のパラメーター上げなくて良かった。

 心の底からホッとする。

 じゃあ、何を上げますか?



◇スキルツリー

【エナジーショック】

・威力Lv1/10

・消費Lv1/5

・熟練Lv1/10

・詠唱Lv3/5



 もちろん、詠唱でしょ。

 詠唱さえマックスになれば、近接スキルと扱いは変わらん。

 多少、相手に斬り込む時に詠唱開始して、斬り結ぶと同時に発動。

 わりと使い辛くなったけど、スキル名を言うだけで使えるのって……、最強に使いやすいことを再認識した。




今少し時間が無いもので、後書きは朝までに追加して書きます。

すいません!


あとがき追加と言っておいて、思いっきり朝過ぎてました。

光魔法スキルは、闇魔法スキルと比べて他プレイヤーのスキルだったり能力を底上げするスキルが多いです。

全体補助やら、全体異常耐性、全体回復やらです。

フェアリークリスタルのスクロールとは比べ物にならないくらいの補助が。


後簡単な魔法スキルの振り分けですが。

水は回復と攻撃と防御のバランス。

火は強い攻撃。

風は早い攻撃。

地はそこそこの攻撃と硬さ。


まあいずれ、魔法スキルを持ったキャラが出て来るのでその際に補足します。

戦士系、弓系のスキルは、今の所完全に動き補助の役割です。

一部の間では身体強化スキル一強だと言われています。


何かご質問があれば活動報告、感想にお願いしますー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ