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 夜明け前のログインになった。

 夜明けまで三時間くらいある。


 レベル上げを念頭に置くならば。

 西の牛、南の猿?

 敵のレベルが変動するシークレットエリアでも良いかもしれん。

 決めた、今回も虫狩りしつつシークレットエリアを目指そう。


 南東の藪から東南東の森、からシークレットエリアだ。

 そろそろ一人で立ち向かっても良いかな?


「俺も混ぜろ」


 公園で適当に食べ物をあさっているとトモガラからの声がかかる。

 なんと、レベル上げしようとすると毎回嗅ぎ付けてくる気がする。

 センサー持ちなんだろうか。


「シークレットエリアへ行くんだろ?」


「レベル上げだけど」


「よし、お前とならホブゴブリン倒せるから行くぞ」


 ちなみに食べていたのは何かの煮込み料理だった。

 トマトベースのスープにゴロゴロした肉が沈めてある。

 ……牛肉っぽいな。


「美味しいです」


「ありがとうございます」


 看板には[グーラッシュ 1200グロウ]と書かれていた。

 メニューだろうか。

 一種類しか無い物をメニューと呼べるのだろうか。

 美味しいから良いけど。


 ローヴォにはパンを吸わせて更に乗っけてあげる。

 美味しそうに食べやがるぜ!


「俺も一つくれ」


「かしこまりました」


「名前は?」


「ラパトです」


「1200グロウでも、十分美味かったよ」


「ありがとうございます。まあ煮込むだけで簡単ですからね。パスタと絡めても美味しいですよ。夜間は煮込み、夜が明けたらパスタもやってますんで、是非どうぞ」


 白いエプロンを付けた男はニコニコと受け答えをする。

 トモガラは、


「夜もパスタやったら?」


「小麦買えるのが明けてからなんですよねぇ、まだ資金も無いですし昼に売り切る分しか買えないんですよ〜、牛肉とトマトとワインつかって煮込んでますから」


「レストランとかしたら儲りそう」


「いずれ、建ててみたいですね!」


 なかなか乗り気なラパトに対して、トモガラは言う。


「その時は俺から是非資材買ってくれ、安くしとくぞ。樵夫のトモガラだ」


「どうも、よろしくお願いします。そちらは?」


「ローレントです」


「職は何を?」


「無属性魔法使いで、サブは漁師です」


「おお、是非よろしくお願いします」


 固く握手をした。

 っていうか、なんか最近生産職とかこういう手に職を持ったプレイヤーばっかりな気がする。

 まあプレイは人それぞれだろうが、一緒に狩りする友達が、地味に恋しかったり。

 いや、トモガラとローヴォが居るんだけどね。

 ……居るだけ幸せ者か。

 そう心にとどめて、公園を後にした。


「ギンヤンマは?」


「遭遇できたら狩る」


 それだけ話して南門から南東を目指す。

 フィールドには沢山プレイヤーがいた。

 ギンヤンマが湧く沼の周りも我先にとギンヤンマを狩るパーティが沢山居た。

 こりゃ無理だな。


 お互い頷くとそのまま遭遇する敵を倒しつつ先を目指した。

 飛蝗の群れとかいればかなり稼げるのだが……。

 こりゃ北の森の奥をクエスト受けて入ってみるのもありなのかもな。

 ヨイイブシの群れはいまいち稼げなくなってるし。


「あ! ローレントじゃん!」


 藪を横切る際、声を欠けられた。

 知らないプレイヤーだった。


「うっは! トモガラじゃん!」


「誰だ?」


「まあ、名乗る程の者でもねーよ」


 そんなことをのたまう長剣を持ったプレイヤー。

 思わず鑑定しちゃったじゃないか。



【コウヤ】職業:剣士Lv15

剣術門下生



 なんだただの雑魚か。

 と、思ってしまった。

 レベル15は第二陣の平均だっけな。

 自分のレベルが25だけに、今の平均が全くわからん。


「なあ良かったら固定チーム組まねぇ? 俺ゲームの天才だから損は無いぜ?」


「断る」


 一刀両断したのはトモガラだった。

 トモガラは一時期ケンドリック達と組んでいたこともあるが、今は基本的に生産職しながらソロである。

 仲間が必要なときだけ、俺やガストン達と組んでいるようだ。


「なっ」


 まさか断られるとは思っていなかったのだろうか。

 コウヤと言うプレイヤーは呆気にとられた顔をした。

 すると後ろから女性プレイヤーがやって来る。


「ちょっとコーヤ。何サボってるの?」


「サーヤ!」


 サーヤと呼ばれる女性プレイヤーは、俺の駄犬を見据えると大きな声を出して近づいてくる。


「あ! テイムモンスター!! 良いなあ! 頂戴! ねぇお兄さん頂戴!」


 ローヴォを強く抱きしめ、俺にそう言う女の子。

 今の心情は、なんだこいつって感じ。

 ローヴォも若干鬱陶しそうである。

 初めてお触りを鬱陶しそうにするローヴォだった。


「それは無理かな」


「やだやだ! あたしも欲しいのテイムモンスター!」


「なぁローレント。サーヤも欲しがってるし頼むよ」


「……」


 押し黙っているとトモガラが口を開く。


「じゃ、今から狩り行くからじゃーな」


「あ、ちょ! 俺らも混ぜろよ!」


「あ、ワンちゃん! ずるい!」



【サーヤ】職業:火属性魔法使いLv15

魔法使い協会:火属性クラス



 火属性クラス?

 な、なんですかそれ〜!

 とりあえず新しい事実にうち震えながらも、どうしようもないコイツらの相手をするのをトモガラがかなり煙たがったので退散することにした。


「ちょまてよ!」


「まってよ! ずるい! テイムモンスターについて教えてよ!」


 付いて来ようとするコイツらを巻くように、俺とトモガラは走り出す。

 地味に【ブースト】で身体能力上げといた。


 二人はシカトして森へ入って行く。

 ローヴォに索敵させる、今回はレベルアップ目的だ。

 格下だとは言え、イベントモンスターとおぼしき虎を倒したんだ。

 レベルアップももうすぐだろう。



【ハントスパイダー】Lv5

森のハンター。粘性の糸で空を。

見え辛い細く糸で地上を狩る。


【ジュニアスパイダー】Lv5

蜘蛛の子供。糸を作る力は無い。

すばしっこく飛び回り、群がり生きたまま食べる。



 東南東の森、最初の洗礼は蜘蛛だった。

 良いでしょう、燃やせ燃やせ。

 ストレージからロウソクと松明を呼び寄せて駆逐して行く。

 ハントスパイダーの方はトモガラとローヴォが対応していた。

 節足動物の足を捥いでいた。

 まあ今の所格下相手だしな。

 俺は【ブースト】【フィジカルベール】で強化した足で子蜘蛛共を踏みつぶして行く。


「うわあ、なんか引っ掛かったぞ!」


「ぎゃああ! 虫嫌いいいい!!」


 悲鳴が聞こえて来た。

 どうやら蜘蛛の糸に引っ掛かったみたいだな。

 最初は大変だよな、まあ頑張れよ。

 先へ進む。



【モスチート】Lv7

翅には感覚を狂わせるような模様がある。凝視注意。

鱗粉には混乱属性が付与されている。


【マジックビートル】Lv3

硬い甲で守られた虫。

色んな種類がいる。



 トモガラさん気をつけて、モスチートは精神異常状態攻撃があるよ。

 ってことで分業。

 ばっさばっさ集まってくるモスチートは投げ銛で縫い付けて行く。

 三次元的な動きが可能な三節棍にて叩き落とす。

 ローヴォも木を利用して三角飛びからの強襲で仕留めてました。


 トモガラは?

 マジックビートルを真っ正面から叩き割ってました。

 あれ、レベル的にマジックビートルの方が格上なんだがな。

 樵夫すごい。


「がう!」


 はいはい上ね。

 レイピアを上に突き上げる。

 手応え有り。


「やる〜」


 チェインバイパーの奇襲でした。

 ローヴォが教えてくれるから便利だね。

 神経毒を充実させとく。

 万が一の時に使うのだよ。


 この辺りから、コウヤとサーヤの声は聞こえなくなっていた。

 蜘蛛に苦戦したか、モスチートに惑わされたか。

 それともチェインバイパーに……。

 痛覚設定下手に弄ってるとかなりの苦痛を味わうことになるだろう。

 ゲームを辞めなきゃ良いけど。


 さて、夜明け前にシークレットエリアへ到着した。

 挑むぜホブゴブリン!

 蹂躙しながら洞窟の奥の宝箱を回収し折り返し。

 そしてインフォメーションと共に……。



【レア・ホブゴブリン】Lv1

希少種の中から更にクラスチェンジしたゴブリンの上位種。

恵まれた身体と統括する能力を持つ。


【ゴブリンソードマン】Lv5

系譜の違うゴブリンの上位種。

剣技スキルを得意とする。


【ゴブリンウィザード(無)】Lv5

系譜の違うゴブリンの上位種。

無属性魔法スキルを得意とする。


【ゴブリンクレリック】Lv5

系譜の違うゴブリンの上位種。

回復系魔法、聖魔法スキルを得意とする。



 ……え?

 凶悪な顔で獰猛に笑うホブゴブリン。

 レベルが少し上がるくらいなんだと言わんばかりのトモガラは、いっちにっさんしっと準備運動して殴り掛かった。


 両手にはドでかい戦斧を抱えてだ。

 俺はソードマン、ウィザード、クレリックの相手をする。

 流石にローヴォ加勢して、お願い!




誤字脱字、実に申し訳ないです。

更新に一生懸命になっています。

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