表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/626

-70-

 定食屋の貸し切りは日にちを決めてからになった。

 が、大体の時間帯は誰も彼も居るようだった。

 生け簀はどうなったかと言えば、概ね順調である。

 というか最近は俺とミツバシ、そしてイシマルもハマって通いっぱなし。


「釣れたぜ、俺も生け簀欲しいな」


「さっさと入れちまえ、生け簀に」


 乗っても安全だとわかったイシマルは、調子が良かった。

 俺が貸した手釣り用の木枠で釣りを楽しんでいる。

 ちなみに生け簀までは筏を組んだ。

 その筏の上では借りてきた猫のようになっていた。


 確り水中に固定された杭から伸びるロープと、桟橋に繋いだロープ。

 もう一つ、上流に打ち込んだ杭から伸ばしたロープ。

 それからもう一個も筏で地力で運んだ石杭を水中に打ち込んだ。


 釣り上げたグレイリングはどんどん生け簀に放って行く。

 作って思ったんだが、別にグレイリングの養殖をする訳ではない。

 ただ釣った魚を生かしておく。

 ただそれだけ。


 魚が捕れるような罠機構を施さなければならないのかも。

 いやでも、そんなのどうやって作ったら……。

 現時点で、こうして釣り溜めしてサイゼにいつでも供給できるようにしておくのが良いのかもしれない。


 余談だが、生け簀を設置したら現在生かしてある魚の名前と数が見れるようになった。

 ホワイトリスト制だなこれも。

 ニシトモ、ミツバシ、イシマル、十六夜、そしてサイゼをホワイトリストに入れておいた。

 他に入れろと言われたら入れてやれば良かろう。

 たまたま生け簀作ったメンツだってことだ。

 サイゼにはいつでも使う分取りにくれば良いと連絡済み。



 男三人で釣りの一時を楽しんだ後。

 彼等は各々の作業へ戻って行った。

 ミツバシは細工師の依頼があり、イシマルは石工の職務がある。

 地道に仕事をこなすと、信用度が高くなるらしい。

 いっぱしの職人は信用度100を越えなければ名乗れない。

 それが、古参生産組の仕来りだと豪語していた。

 んなルールあるか。


 一度テンバータウンで戻ると、ガストンの鍛冶屋へ向かう。

 例の物をよこせと、襲撃だ。


「出来ているである。切り分けて鎖を付けるだけであるからな」


 手渡されたのは魔樫の六尺棒ならぬ。

 魔樫の三節棍。



【魔樫の三節棍】製作者:ガストン

魔樫で作られた三節棍。

接合部は黒鉄の鎖が使われている。

魔力を込めると粘りと強度が増す。

・攻撃???

・耐久Lv???

・耐久???/???



 破損が少ない分、性能は落ちてない様だった。

 三節棍か……、六尺棒より幾分取り回し辛いが、それでも無いよりマシだろう。

 とういうか、スティーブンにバレると怖いぜ。


「魔銀に拘るのがわかるである。こういう性能があるのだろうな」


「銀は大量に預けた、諸々のお礼なので少しくらい使ってもいい」


「……魅力的な提案であるが、魔銀は気になる所である。魔銀にしてから一部頂くである」


「見通しは?」


「今は無いである!」


 そう豪語するガストンに改めてお礼を言うと、そのまま鍛冶屋を後にした。

 さて、どこへ向かおうか。

 ここで一つ格言を思い出した。


 “RIO社の出すゲームは、必ず教会と孤児院と裏庭がある”


 行ってみたらただ裏にある空き地のことだった。

 庭ですら無い。

 子供達もいないし、三節棍を練習しておこうかと。

 人目が付く場所だと目立ってめんどくさくなりそうなので。


 たたんで素振り、からの、展開してぶん回して行く。

 大きく全身を使ってぶん回して行く六尺棒と、基本的な動きは変わらないが、節がある分、変則的な動きか可能となる。


 今更だが、ヌンチャクと被るな。

 ……今更か。


 ふむ、良い感じだ。

 空気を斬る音と、節の鎖が同時になる。

 カッカッカッカと、軽快な打音を裏路地に響かせながら久しぶりの鍛錬を積んで行く。

 些か夢中になっていたようだ。


 テンバータウンの教会のその裏手にある孤児院の脇の庭。

 一人の神父が、そこに居た。



【エリック】NPC:???

職業:神父



 む?

 だれだ?


「中々の腕前ですね」


「貴方は?」


「申し遅れました、この教会の神父を努めております。エリックです」


「ローレントです」


「知っていますよ、スティーブンのお弟子なんですって、良いですね師弟。私にも良い弟子が居れば良いのですが……」


 レベルが見えないNPC。

 警戒レベルを上げるべきか、いや、NPCだからそれは必要ないだろう。

 三節棍を折り畳んでしまうと、向き直る。


「もう終わりですか?」


 ニコニコ笑いながら神父は「休憩でも」と裏口から中へ入るように誘導した。

 何か特別なクエストがあるかもしれないので後を付いて行く。

 通されたのは隣接された孤児院の廊下を渡って、教会の礼拝堂っぽい場所を抜け隣に作られている応接室だった。


「私の師匠が好きだった紅茶です」


 テンバータウンで出回っている紅茶とは少し匂いの質感が違う気がした。

 俺自身、そこまで紅茶に詳しい訳ではないので、これはお高い奴なんだろうなと自分を納得させながら茶菓子を多めに頂いていた。


 甘いものだぞ茶菓子。

 なんだってマカロンがこんな所にありやがる。

 そりゃ食べるだろ、沢山。


「不思議な方ですね、魔力を多く持つのに武器を振るう」


「色々ありましたので」


「では私から、貴方に偉大なる神のご加護がありますように」


「ありがとうございます」


 ちなみに、礼拝堂で一日一回礼拝するとその日の運が少し良くなるとかならないとか。

 やってみたら【ドロップ率上昇(微)】だった、ありがたい。


「熱心な方にこそ、神のお恵みはきっとあります」


 そしてエリック神父は俺の目の前に手を出す。


「え?」


「幾分田舎の教会なもので……、子供達には貴方の助けが必要なのです」


 要約するならば、教会を続けて、孤児院を回して行くにはお金が必要。

 礼拝のついでに寄付金を少しでも支払えば、更に良いことが起きるかもしれませんよ。

 と、言うことだった。

 最小単価は五百グロウ、割と良い値段する。

 五円の百倍だ。


「スティーブンは気難しいが、決して悪い方ではありません。もう少し、貴方から話しかけてみるといいでしょう。独り身の老いぼれはかなり寂しいらしいですよ」


 と教会を後にする俺の背中に語りかけてくる神父様。

 中々若そうな神父だった、黒髪で振りが深く濃い顔つき。

 あれじゃ子供に嫌われるだろと思ったが、そんなことは無いようだ。


「神父さま〜ごはんですか!」

「神父さま〜お掃除終わりました!」


 孤児達のはしゃぐ声が聞こえる。


「ローレントさん、何か行き詰まることがありましたら、是非教会へお越し下さい」


 振り返らずに頷いて返事をすると、今度こそ声は聞こえなくなって行った。

 不思議な雰囲気の教会だった。

 【ドロップ率上昇(微)】の効果はかなり儲け物だったと言えよう。

 実質礼拝したら五百グロウ支払うシステムっぽいし、五百グロウでドロップ率が上がるバフが付くのであれば毎日惜しげも無く通う。


 トモガラだったら絶対に毎日通う。

 そしてシークレットエリアに行くだろう。



 ゴリラ、……一応倒した。

 ホブゴブリン、……倒した。


 次は何だ?

 東の川の主を狩るべし。

 未だノークタウンにある水運を行う商会との交易は始まる兆しを見せない。


 船がネックなんだよな。

 フルパーティ二つ分くらいの数で川を渡る為の船。

 生半可な筏では、もしキバウオの襲撃を受けてしまった時に対処できない。

 容易に川に投げ出されるだろう。


 泳ぎを持たない物はすぐに死んでしまうだろう。

 そう、何が言いたいかというと、みんな漁師になれ。


 インフォメーションメッセージが届いた音がした。

 覗いてみる。



[レイラ様からメッセージが届いています]


『ローレント! 北の森の採取依頼なんだけど手伝ってもらえない? 他のメンツはみんな生産の方で依頼こなしてるみたいだから、戦える人が少なくって!』



 とのこと。

 良いでしょう。 

 三節棍の実践練習と行きましょうか。


タイトルはグローイング・スキル・オンラインにしてみます。

何となくランキングのタイトルがそんな感じの一杯なので、俺もなぞらえようっと。


グローイング・スキル・オンライン

-スキルを育てて無双する-笑


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ