表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/626

-7-

 改めてローブを脱ぐと、おいてある道着を身につける。

 くさいのかなと思ったが、そうでもなかった。


 この道場というのはいわゆる空手、柔道、ボクシング、その他諸々のどれに分類されるんだろう。

 打ち合ってる様子を見て、色々と気付く点がある。


「着替えて来ました。……武器は何でもありなんですね」


「そうだ、基本は素手からだが、元々対モンスターようにだれでも自衛できるように作られている!」


 だから、農具や工具を持った人が多かったのか。

 流石に危ないと思うんだけど。


「で、お前は魔法職なのに、剣を使うと?」


「あ、すいません」


 慌てて適当な場所に長剣を置く。着替える時って装備スロットを操作するだけだから、ついつい武器を外すのを忘れがちになる。


「では、……マルス、こっちにこい」


「はい師範代」


 茶髪の青年がこちらに向かってくる。

 素手の状態で互いに顔を合わせ、一礼。


「ルールはどうするんですか?」


「僕はなんでも構いません」


 師範代にそうきいてみるが、マルスが代わりに返答するのである。

 その様子に師範代も頷いていた。

 そうか、何でもありか。そうかそうか。


「始め!」


 彼の職業カテゴライズが、武術家、村人、農民、どっちに入るのかわからないが、とにかく黒い帯を身に着けていることがその実力を窺わせる。


 帯の色で階級分け、強さ分けとかあるのだろうか。

 そうこう思っている内に、低く身を屈めた状態から顔に向かってフックが飛んでくる。


 咄嗟に腕で受けた。

 弾き飛ばされて捥げたんじゃないかってくらい痛かった。


「師範代、ダメです。この人慣れてないですよ」


 痺れた腕に手を当てていると、俺の頭の上に表示されてるHPと痛がる様子を交互に見たマルスが、立ち上がって首を振っていた。


「それも一つの試練だ。お前も手加減を覚えろ」


 やれやれと首を振ったマルス。


「勉強ばっかりやってきた魔法職が、一体何を求めてここへ入門したと言うのでしょうか、健康維持気分ならそこの子供と一緒に遊んでると良いですよ」


 ムカ。

 なんつう言い草だろうか。


「……手ほどきの続きをどうぞ」


 言い返すと、マルスはムッとしていた。


「怪我してもしりませんから」


 再び付きが飛んでくる。

 ステータス表示は無いが、隠されたステータスと言う物があると師範代は言っていた。

 要するに、装備を振り回したり、身につけたりする時に必要になってくるアレだろうか。


 スキルを成長させることも身体の成長に関わっているとしたら。

 【スラッシュ】の威力だけ上げている俺の状況は一体どうなるんだ。


 流石に大剣を自在に振り回すことは叶わなかったが、人の身体なら別だ。

 低い位置からのフック。それはもう見た。


「せい!」

「ッッ!?」


 動きを線で読む、マルスは俺を甘く見ている。

 油断ゆえに、トリッキーな動きは無いだろう。


 そのまま大きく身体を密着させると、袖と襟を掴んで背負って転がす。

 本来ならこれで一本なのだが、ここでは違うだろう。

 明確な終わりが無いので、絞めにかかる。


「まて! おわりだ」


 師範代の掛け声で、マルスの首元から手を離した。

 彼は首を手でおさえ咳き込んでいた。


「卑怯だぞ!」


 マルスは充血した目で叫ぶ、かなり荒い言葉遣いになっていた。


「いや、油断していたお前の負けだ」


「くっ、……ありがとうございました」


 お互いに一礼してマルスは「今日は帰ります」と一言告げて去って行ってしまった。

 師範代が近づいてくる。


「ふむ、剣を持っているということは、そう言うことだったのか」


「はい」


 多分師範代が思ってることと俺が想像していることは違う。

 だが面倒なので二つ返事で答えておく。


「魔法職なのに柔術を使うのか? マルスを倒したということは、黒帯を与えてもいいが……」


「剣術が、特に刺突系の物を学びたいと思っています」


 そういうと、師範代は、


「組み伏せて……、突き刺すのか……、物騒なことだな」


 と顔を歪めていた。

 魔物相手にタイマンを張るつもりは毛頭ないんですが……。


「これはあくまで自衛の手段で、魔物相手には刺突武器が一番良いと思うので、そっちの方で修練をさせて頂くとうれしいのですが」


「理に適ってるな、刺突系は鈍らじゃなければ誰にでも通用する。よし、うちの基礎はどの武器でも通用するが、本格的に刺突系の剣術が習いたいのであれば、一筆書くが?」


「一応お願いします、でも通えるかまだはっきりわからないので、その旨も」


「気にするな、いつでも好きな時で良い」


 その後、ちびっ子達をすっ飛ばして、町の主婦やおじさん達と一緒に武道場で稽古を積んだ。

 稽古を積むと言っても、型にそって身体を動かす程度、だがこれで【ブースト】のスキルが手に入っていた。



◇スキルツリー

【ブースト(最適化)】

・効果Lv2/10

・消費Lv2/5

・熟練Lv2/5



 なんじゃこりゃ。

 初めからLv2スタートだし、魔法職なのに必要レベルが掲示板でみたアレと一緒だった。


「驚いたか、戦い方にはそれぞれにあった身体の動かし方がある。すると自分にあったスキルが身に付くんだ。ブーストという初級スキル一つにもこういったカラクリがある」


 稽古を終わらせた俺に、師範代は親指を立てながらそう言った。

 グローイング・スキル・オンラインのグローイングって色んな意味があんだな。

 そして【黒帯】を手渡される。


「マルスに勝ったから、階級的に黒帯でいいだろう。その道着もやるよ、サービスだ。なかなか軽くて丈夫だからな、使うと良い」


「ありがとうございます」



【道着】軽くて丈夫な素材で作られた服。

・動きを阻害しない。

・防御Lv3

・耐久100/100


【黒帯】軽くて丈夫な素材で作られた帯。色で階級と性能を表す。

・防御Lv1

・身体能力系スキルレベルボーナスLv1

・耐久100/100



 黒帯には魅惑の効果があったじゃないか!

 初心者用のローブと比べてみる。



【初心者の服】最安価の布で作られている服。

・安い。

・防御Lv1

・耐久100/100


【初心者のローブ】最安価の布で作られているローブ

・安い。

・防御Lv1

・耐久100/100



 この初心者用の装備。

 実はチュートリアルの品物で、非売品なのだが、買い戻しは可能なのである。


 さっそく道着を付けようかと思ったが、……魔法使いのイメージじゃないよな。

 元よりローブに剣を持ってることと、道場に足を運んでいること事態。

 一般的な魔法職から外れてる訳だが、それも仕方ないね。


 とにかく【黒帯】は儲け物だった。

 さっそく黒帯だけ身につけとく。

 今のスキルツリーは、




プレイヤーネーム:ローレント

職業:魔法使い見習いLv5

信用度:20

残存スキルポイント:0


◇スキルツリー

【スラッシュ】

・威力Lv7/10

・消費Lv1/10

・熟練Lv1/10

・速度Lv1/10


【ブースト(最適化・黒帯)】

・効果Lv3/10

・消費Lv3/5

・熟練Lv3/5


【アポート】

・精度Lv2/10

・距離Lv2/10

・重量Lv6/10

・詠唱Lv1/1


【投擲】

・精度Lv1/3

・距離Lv1/3


【掴み】

・威力Lv1/3

・持続Lv1/3




 顔がほくほくしてくる。

 【ブースト】のレベルがオール3に。


 レベルで言うと、約3レベル分も得をしたということだ。

 これで【アポート】に問題なく振ることが出来るはずだ。

 序盤で相当苦労していたグリーンラビットの群れとか、いや、森の入り口も一人で踏破しきれる位かもしれないな。


 まだログアウトの時間ではないので、次へ向かうことにする。

 刺突系の武器を買いに行かなくてはならない、持ち金はトモガラとの狩りで少しだけ得た分がある。

 素材は相変わらずグリーンラビットの肉か皮しか無いが、どっかで料理してくれる場所を探さなくてはいけない。



ーーー

プレイヤーネーム:ローレント

職業:魔法使い見習いLv5

信用度:20

残存スキルポイント:0


◇スキルツリー

【スラッシュ】

・威力Lv7/10

・消費Lv1/10

・熟練Lv1/10

・速度Lv1/10


【ブースト(最適化・黒帯)】

・効果Lv3/10

・消費Lv3/5

・熟練Lv3/5


【アポート】

・精度Lv2/10

・距離Lv2/10

・重量Lv6/10

・詠唱Lv1/1


【投擲】

・精度Lv1/3

・距離Lv1/3


【掴み】

・威力Lv1/3

・持続Lv1/3


◇装備アイテム

武器

【凡庸な長剣】

装備

【初心者用のローブ】

【初心者用の服(全身)】

【黒帯】

ーーー



お読み頂きありがとうございます!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ