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-626-※※※ツクヨイ視点※※※


「まったくもう、いっつもいきなりなんですから!」


 行ってしまったバカ兄弟子の文句を呟きつつ、みんなを案内する。


「プレイヤーで最近賑わってますテンバーには色々と魅力がありますよ、エミリオ様」


「楽しみです」


「ツクヨイ殿、危険はないのか? 大丈夫なのか?」


「基本的にこの街にいれば安全ですよ」


 魔人イベントの後、向こう側に与したプレイヤーが出て来た。

 だがその分、こっち側に付くプレイヤーもいて。

 その多くがテンバータウンを拠点として活動している。

 むしろ奪われた川側の状況とか加味して、警戒は強いから安全。


「今日は色々とありましたし、人が多い場所よりもゆっくりできる場所の方がいいですね」


「そうですか?」


 プールとか、その辺を案内しようと思ったんですけど。

 まあ時間はたっぷりありますし、日を跨いだとしてもオッケーですね。


「では、のんびりできる場所に行きましょう」


 私はフラシカさんの提案に頷いて行き先を決めた。

 のんびりできるといえば、やっぱり農場です。

 あそこなら牧歌的な雰囲気で、ご飯が美味しいお店もあります。

 十八豪さんが日本酒を作ってるみたいですし、振る舞うのもありですか。


「こちらですよ〜」


 お師匠様の家を出て、早速向かうことにした。


「西側に向かうと、農地が広がってまして、お酒もあるんですよ〜」


「ほう、やはり田舎まで来ると牧歌的なものが多いんでしょうか?」


「そうですね〜、街から外れればどこも変わらないと思いますけど……」


 くくく、テンバーの農場は一味違うんですよ。

 なんたって農業スキル班がマジキチレベルで作物作ってるんですから。


 正直。

 王都とか他の街で食べる料理よりも、ここの方がはるかに美味しいです。

 バカ兄弟子は肉多めの雑食ですけど。

 もう少しこの農地の野菜を食べて良さを知ってくれたら良いのに……。


「あー、なんかお腹すいて来ましたね!」


「私は、そんなに……」


 わくわくする私を尻目に、少しお腹を押さえて不安そうにするエミリオ様。

 えっ、と思っていると、フラシカさんがフォローしてくれる。


「エミリオ様はすでに色々とローレント殿から料理を振舞っていただきましたからね」


「何を食べたんです?」


「確か、たこやきという丸っこい料理だったような」


「たこやきですか!」


 な、ななな、なんとも……。

 私も食べたい!


 っていうか、あの人は行き着く先で飯食ってるか人殺してるか。

 それしか思いつきません。

 なんなんですか、まったく。


「あ、こっちです。こっちが近道です」


 まあ、いいでしょう。

 あっちがタコなら、こっちは特上野菜バーベキューです。

 お酒を飲みつつ、軽くつまむ。

 そんな感じでエミリオ様をおもてなししましょう。

 なんとなく対抗意識を燃やしながらおし黙るに入った瞬間。


「──ッ!?」


 後ろで魔力のゆらめきのようなものを感じた。

 慌てて振り返ると、私の顔面すれすれを魔弾がボッと掠めて飛んで行く。


「なっ、フラシカ貴様──ぐふっ!?」


 グレイスさんが蹴り飛ばされて壁にめり込む。

 エミリオ様はいきなりのことで固まっていた。


「フラシカさん、いきなり何──」


 私がそう言う前に、すぐに腹に魔弾が直撃した。

 近道として使っていた路地をまっすぐ飛ばされる。

 置いてあったゴミ箱に体をぶつけて、散乱する生ゴミまみれになってしまった。


「……ふう、どうすれば奴を巻けるかと思ってましたけど、これは運がいい」


 人が変わったように呟くフラシカ。


「くっ、う……」


「おや、よく立ち上がりましたね。ああ、プロテクトですか」


 MPが一気に消失していた。

 HPの代わりにダメージを肩代わりしてくれたおかげ。

 だが、それはフラシカの攻撃の威力を物語っていた。


「さすがは、お弟子さん。生半可な鍛え方はしていないようですね」


 危なかった。

 PKがうようよいる状況だから、常にプロテクトをかけていて正解。


「……いまいち、状況が掴めないのですが……ひょっとしてエミリオ様を狙ってるんですか?」


「ええ、その通りです」







いかれた主人公ものを新しく書きたいなと思っていたらここにヤバイ系になった主人公いた。

キャラとか完璧に忘れてしまって、読み直すのがすごく辛いです。






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