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 上から質量攻撃で船を沈める案もあったのだが、できれば敵の船は無傷で接収したい。

 領海(モニュメント海域)で事を荒立てるのも憚られるので、船に乗り込んで速やかに倒すことにした。


「誰か乗り込んできやがった!」


「ふくろにしちまえ!」


 わらわらと船の縁を通って出てくる野郎達を、一人一人海に叩き落として行く。

 叩き落としたら、石柱でズドン。


『モゴモゴモゴモゴ!』


 肺から空気全部放り出して海底に沈んで行く姿を見送ってやった。


「くっ! 一対一の状況つくってんじゃねえ!」


「む?」


 船がグッを動く。

 大きく蛇行しながら、沖を目指し始めたようだった。

 左右に揺さぶって、戦闘を邪魔するのが目的か。


 これだと両者ともに揺さぶられて戦闘にならないと思うのだが……。

 構わず押しつぶしにかかってくる辺り単純に物量作戦のような形らしい。


「なんでもいいからしがみついて押さえ込め!」


「わかってるぜ!」


「この野郎、手こずらせやがって」


 敵船頭の指示で、じわじわと全員で詰め寄ってくる野郎達。

 さて、どうするか……。

 一旦海に飛び込んで、後ろを取ろうか。


「あっ! てめぇ!」


 鰭脚で素早く前進し、空蹴を使って水面へと飛び、船に乗る。

 蛇行運転しているが、まあ隙をついて飛び込めが船が勝手に進んでくれるってのもあるから割と楽に回り込めた。

 意表を突かれ動けないでいる敵を海に蹴落とし、そのまま操船室へ。

 部屋で舵を取っていた男の首を鷲掴みにして、刀を眼前に向ける。


「うぐっ!?」


 ずっと気になっていたのだが……。

 こいつらは本当に暗殺者だろうか?

 手応えがあまりない。

 テージシティにいる有象無象ザコマフィアみたいな感覚がある。

 まだ、路地裏で奇襲した暗殺者の方が強い印象が残っていた。


「誰を狙ってる?」


 一応尋ねる。

 予想はついているのだが、うっかり口を滑らせてくれれば良い。


「はっ、情報はねえよ。俺たちはそこのクルーザーに突撃して事故を装えとしか言われてないんでな!」


「船長! 今助けるぜ!」


 窓をどんどんと叩きながらザコ達がこっちに向かって来ていた。


「おっと」


 舵のハンドルを足で蹴って動かし、船を急旋回させてやる。


「うわああああああああ!」


 みんなまとめて海にドボンだな。

 俺の船はモニュメント域ギリギリで釣りを行なっていたので、この船もとっくにモニュメント域を抜けて魔物が出現する海域へと足を踏み入れている。


 そんな状況で海に落ちたらどうだ。

 ……うーん、昔の東の川みたいに群がること群がること。

 モニュメントってすごいなと思いました。


「静かになったな。で、依頼主は誰だ?」


「情報は吐かねえよ! ほら殺せよ!」


 船長と呼ばれたおっさんは両手を上げて降参のポーズを取る。


「潔いな」


「船を失った元海賊は、こんなロクでもねえ仕事して生きるしかねえのよ」


「海賊?」


 やっぱりいるんだな、海賊。

 暗殺者とかマフィアとか、裏っかわもしっかり作り込むこのゲームだ。

 海沿いの都市へ来て、薄々いるだろうなとは思っていた。


「けっ、船も失っちまった海賊にはお似合いの最後だぜ」


 達観したように死を受け入れる船長。

 まあ、大方敵は、陸に上がって腐った海賊達をたぶらかしたんだろう。


 海賊のイメージといえば帆船だが、近代化した昨今。

 内乱が起こる国では小さな船外機で海を往来する賊も珍しくないよな。

 スケールが小さいくて似合わない。


 打ち上げられた衛星が地球を空からくまなく管理する時代だ。

 悪どいことをする連中は形を変えて、善人を装うか。

 それができない小物はこそこそ隠れて悪事を働くか、見逃してもらえる程度の事しかしない。

 まあ、そんな鬱憤を晴らすために、ゲーム内でPKが湧くんだろうけどね。


 それにしては、GSOはPKの数が異常だけどな。

 割と高レベルになるまでは、プレイヤースキル依存みたいな活動模様だし。

 他のゲームのように、高火力で快感を得たりするのが難しいからだろう。


「ふむ、報酬はなんだ? このクルーザークラスの船をくれてやるとでも言われたのか?」


「だったらなんだよ?」


「なんでもない」


 この船が借り物ではないと分かれば、それでいい。

 船長はそのまま用済みなので消えてもらう。

 情報も持ってないなら、これ以上生かしといても意味がないし害悪だ。

 そのまま手下に加えて、ローロイズの海賊達を狩る、なんて作戦もある。

 だが、一から育てるのはコーサーで十分だし、無理やり契約を結ぶにも空きがない。

 トン然り、こういう手合いは無理やり手綱を握ってないと何するかわからんからな。

 断腸の思いだぞ、これは。


 そのまま斬って海に捨てる。

 海中で死体が海の魔物に食われているところを見ると、海賊らしい最後かもなと思った。


 残党狩りもどうしようか迷うのだが、まあ頭が消えたら脆いだろう。

 放置だ、放置。


「た、たす! 助け──ほげっ」


 モニュメント海域へ戻る途中、魔物に追われて助けてくれと嘆く残党。

 無視して轢いて、そのままコーサー達の元へ戻った。


 その折、モニュメント海域外のモンスターを鑑定してみたが……みんなクラス4以上でレベルも後半。

 それがウジョウジョ……とんでもないな。

 引き寄せられるように、東の川もそこそこデカかったが、海は途方もない。

 プレイヤーに攻略させる気はあるのかって話だな。

 えげつないことしても、特に運営から何か言われるわけでもないし。




土下座しながら更新ボタンを押しました。

なぜ土下座しているかは、察していただければと思っています。

ほか書籍の作業も終わり。

無事OWでダイヤ帯になることもできました。

更新復活でございます。


某15周年くらいを迎えたMMOネトゲでは、強化失敗して財産を失いました。

これで更新に集中できそうですorz

次新作を上げるとしたら、憂さ晴らしのために装備強化成功チートストーリーにでもなるでしょう。

冗談です。

明日も更新します。

時間は日付変更とともに……できたらないいなと思っています。

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