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 さて、タコ焼きも食べ終えて水泳後の腹ごなしも終えた。

 海で遊べることはまだたくさんあるので、釣りの後は遊泳と行こう。


 水着?

 心配いらない。


 セレクにメッセージ送ったら5秒で返ってきた。

 サイズ紙に書いてよこせって。

 俺がメッセージに直接書けばいいものかと思ったのだが、そこは女の子だからって怒られてしまった。

 なので紙に書いてストレージへ。


 すったあれだよ。

 一瞬でストレージに二人分の水着が入ってた。

 フラシカには、俺の予備をあげた。


「うーん、華があると違いますね」


「そんなもんか?」


 水着になって、海へと赴くエミリオとグレイスを見るコーサー。

 鼻の下が伸びている。


「とりあえずお前は黙って足を動かせ」


「ぐうう! 海に来てるのに! やってることは修行ですか!」


「負荷がかかって効率いいぞ?」


「今日はガイドなのに!」


 コーサーには水中で木刀持たせて、蹴りやら素振りやらをさせている。

 水着は水中呼吸が伸びるからいいよな。

 例によってサイズが少なくなればなるほど、呼吸が持つという謎効果を十分に生かしたビキニパンツ。

 負荷を与えるためにも、もっとこう……水中呼吸が伸びるだけで面積が大きいのでもいいのだが……。

 最初はこれだね。


「なんだコーサー! 貴様の水着はすごく破廉恥だな!?」


 エミリオに遊泳を教えながら、俺たちの修行風景を見るグレイスがそう言う。


「そんなこと言われましても……」


「面積が少なければ少ないほど、水着は動きやすくなるからな」


「そう言う問題ではない!」


「安心して欲しい。この後ちゃんと面積増えて行くから」


「えっ!? まだあるんですか!?」


 驚くコーサー。

 もちろんあるとも。

 遊泳時間はたっぷりとるからな。

 疲れたら釣りしたり、寝たり、海の上で今日は過ごしてもらう。


 陸に上がれば狙われると分かりきってるから。

 とことん敵をイライラさせる作戦だ。


「ある程度慣れたら、フラシカの水着と交換だ」


「えっ!? 水着を共有するのはちょっと……」


 文句言うなよ。

 装備だって、俺の軍服共有してるだろって思う。

 それを告げると、水着と服は違うだのなんだのぐちぐち言うコーサー。

 装備は装備だろうに。


「えっと……私の意見は通りますかね? 流石にあれはちょっと露出が……」


 ややガリガリのフラシカは、むきむきボディが映えるようなビキニパンツは嫌らしい。

 まったく、文句が多いな。


「仕方ない。後で俺のと交換だなコーサー」


「あの……そう言うことじゃ……」


 ちなみにエミリオは可愛らしいフリフリのついた水色の水着で、グレイスは派手なビキニが嫌だったらしく紺の競泳水着っぽいものを身につけている。

 胸がキツそうで溢れそうだが、守備力的にそれはどうなんだろうな。

 あと、動きにくそうだし。


 蛇足だが……ストレージに【貝殻ビキニ】とあるのだが、これはどう言う了見だろう。

 セレクも、ある意味何を考えているのかわからない。

 っていうか他にも色々余計なものがあるし、生産組の連中はストレージを某青狸の便利ポケットとでも思っているのだろうか。


「ガイド様。海で体を動かすって、気持ちいいですね!」


「だろう? 疲れたら浮き輪に捕まるといい」


 船にロープで繋いだリバーフロッグの革製浮き輪をエミリオに投げる。


「ありがとうございます!」


 エミリオは浮き輪に捕まると、身を乗り上げて休憩していた。

 ふーむ、麦わら帽子とか冷たいジュースとかあれば映えるな。


 さすが王族。

 十六夜よりも透き通った美しさを持っている。

 もう少し経験を常ば血の持つ気高さをより一層帯びるだろうな。


「むう……私も修行をした方がいいでしょうか?」


 そんな感じに思っていると、俺とコーサーの修行風景を見ながらエミリオがそう呟いた。

 どっちかと言えば策を巡らす方が王族っぽいのだが、まあある程度自衛する力は同意する。


「魔法職、近接職、どっちなんだ?」


 王族ってコーサーと同じような特殊職業なのだろうか。

 その辺はよくわからないのだが、サブでも何か付けれるのか?


「私は魔法学院に通っていましたので、体を動かすよりも魔法が得意です」


「なるほど」


「でも、ガイド様みたいに強くなりたいと思って……」


「エミリオ様、さすがにこのガイドのようになるのは、ちょっと……エミリオ様の腹筋が割れているのはちょっと想像ができません」


「ふ、腹筋の話をしてるわけではなくてですねグレイス!」


 顔を赤くして慌てるエミリオ。

 グレイスの腹筋信仰に染まったわけではないらしい。


「魔法職だと……いざという時の自衛が心配でして……」


「なるほど」


「エミリオ様、だから私たちがいるのですよ!」


「でも実際に私は一度死んでいるのですっ!」


「そ、それは……」


 グレイスが口を紡ぐ。

 フラシカも、船の上からその様子を苦い表情で見つめていた。


「──はっ! し、失礼しました。なんでもありません」


 失言してしまったことをすぐ謝るエミリオ。

 今の状況に争う心が強さを求めているのだろう。


 そうだ、それでいい。

 もっとがむしゃらになることが、チャンスを拾う鍵となる。


 グレイスには腹筋とかでお茶を濁されていたが、魔法職でも近接を覚えたほうがいい。

 むしろ、それは懐刀となって相手の意表をつくことにつながる。

 それを思ってアルジャーノとかツクヨイにはモナカに習えって進めたんだが、ツクヨイは何かと理由をつけて投げ出してるんだよなあ。

 まったく、しょうがない奴だ。


「ひとつだけ言っておくが、武術に魔法職も近接職も関係ないぞ」


 鍛える鍛えない、関係なしにな。


「そもそも、武術とは立ち回りを、技法を学ぶためのものだ」


 手っ取り早く強くなるためのものじゃない。

 そこを勘違いして、ボクシングジムに通うヤンキーとかいるが、もうどうしようもないな。

 相手に勝つ、敵を倒す。

 その一点ではよし、だが強くなるためでは断じて違う。


「強さとは、結果として生き残ってきた者が得た経験だからな」


『……』


 グレイスもフラシカも、エミリアと一緒に俺の話を聞いていた。

 コーサーも修行を忘れて耳を傾けている。

 一人演説みたいになってるな、柄じゃない。

 エミリオが聞き返す。


「……生き残る……ですか……?」


「そうだとも。死ねばそこで終了だ」


 泥臭くとも、何が何でも生き残る。

 それが大事だ。

 プレイヤーの俺がいうことではないけどな。


「そのためにはあらゆる最善を尽くすんだ」


「最善……」


 言葉を噛み締めるエミリオ。

 そんな折、遠くから船のエンジン音が響いてきた。

 魔導エンジンをつけたクルーザークラスの船が猛スピードで迫ってきている。

 不審船だな、明らかに。


「あ、あの船は……まさか!」


「エミリオ様、船の中へ!」


 気づいてすぐに避難させようとするグレイス。


「師匠……」


「お前とローヴォは船で護衛だ。俺一人であの船を落とす」


「大丈夫ですか?」


「うむ」


 すぐに流水の道衣に装備を変更する。


「エミリオ」


「は、はいっ!」


「戦いには、王族も何も関係ないぞ」


「──ッ! それは──」


 さて、空蹴と石柱を用いて移動して、上から質量攻撃しようかね。










更新が遅れた事を素直に謝罪。

読んで頂ける事を素直に感謝。





明日もこの時間くらいには更新できたらいいな。と思っております。

書籍版もよろしくお願いしますねー。

皆様のおかげで更新頑張れております!


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