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-600-

ついに600話です!おめでとう私。


「どこに行くんですか師匠」


「ん? 現地観光ガイドを装うなら今の服装じゃダメだろう」


「なるほど」


 そんなこんなで、俺とコーサーは適当に海っぽい服を買いに来ていた。

 俺は道衣でも別にいいのだが、コーサーの軍服はいかんだろう。


「まあ、麦わら帽子でもかぶっておけばいいかな俺は」


「え、それで海っぽい……?」


「コーサーはそうだな……適当にシャツと半ズボンでも身につけとけ」


「ええ……別々の格好ってちょっとアレじゃないですか? 怪しすぎませんか?」


「そもそも観光ガイドって設定が終わってるからな」


 根も葉も無いことを言うが、作戦はこうである。

 俺は食い扶持に困って観光ガイドを引き受けた武術師範。

 そしてコーサーはその手伝いをする弟子。


 それならば、コーサーが俺のことを師匠というのも頷ける。

 後は出たとこ勝負ってことにしておこう。

 ちなみに海外武者修行の時はだいたい適当なジャージを身につけていた。

 どこでも売ってるしな。


「こんな感じはどうです?」


 爽やかな青色の花刺繍が施されたシャツをきっちり身につけるコーサー。

 似合っているといえば似合っている。

 アウトロー感は全く無いのだが……。


「俺にはファッションはよくわからんからなあ……多分いいと思う」


「そうですか……まあ、とりあえず私もその辺疎いですしこれにしておきます」


 そう、お互い装備なんて適当なのだ。

 着る服といえば俺が軍服おさがりあげる前のコーサーはコーサーファミリーで支給されてた服だし。

 俺はセレク頼みの装備だった。


 ガイドっぽい格好をするなんて最初から無謀とも言えるのだ。

 とりあえずそんな感じの装いをするためにあーだこーだ話していると、


「あらぁ、今の流行りは着崩しよぉ?」


「む?」


 厚化粧にウェーブのかかった紫色の髪の毛を持つ店員が、横から話しかけて来た。

 なんと粘っこい口調だろうか。

 筋骨隆々で、胸毛びっしりの胸元全開。


 ……オカマだ。

 それもレベルが高いタイプのオカマである。

 とんでもない奴とエンカウントしてしまった。


「んもぅ……せっかくハンサムな顔してるんだからぁ? ここは着崩しで、もっとアクセサリーとかつけなきゃだめよぉん?」


 そのままくねくねと腰を怪しく動かしながらコーサーに接近。


「ちょっ」


「……俺たちはファッションに疎いから、お任せする。指定は海辺の観光ガイドで」


「師匠!?」


 速攻でコーサーを売ることにした。


「あらぁん? 貴方もなかなかハンサムで、背も高いからぁん。アテシに任せてくれれば心配ないわよぉ?」


「いや……麦わら帽子だけでいいですはい」


「そぉ? ならとりあえずこの子貰っていくわねぇん〜!」


「いやちょっと腕掴まないでください! って、力強っ!? ちょ、し、師匠ーーー!!!!」


 さらばコーサー、フォーエバー。

 まあ、試着室に連れていかれただけっぽいからすぐに出てくると思うんだけどね。


 そして適当に時間を潰して待っていると、げっそりしたコーサーとやや艶やかでスッキリとした表情のオカマが俺の目の前に姿を表した。


 コーサーは見違えるほどナウなヤングへと変貌している。

 ふむ、シャツはアロハ。

 そしてネックレスに、サングラス。

 心なしか髪型もセットされているようにも思えた。


「見違えたなコーサー」


「………………………はあ」


 長い沈黙の後にため息。

 もはや喋る元気もないほどに、何かを吸い取られたコーサーだった。


「これがこの街の観光ガイドよぉ? っていっても私がこんな観光ガイドだったら案内されたいし、ついでに夜の秘境にも案内されたぁいって願望で繕ってみたのよぉ!」


「素晴らしい素晴らしい」


 適当に返事をするとオカマは小指を立てながらコーサーに流し目。


「今夜は、アテシが最初に案内されちゃおう……カ・シ・ラ?」


「すいませんもう案内する人決まってるんで勘弁してください」


 泣きそうな声で言うコーサーに、オカマは言う。


「あぁんもぅ、冗談よ冗談」


 冗談に聞こえねえ。


「昼職はここで働いてるんだけど、夜もこの裏のお店で働いてるから……二人ともよかったら寄ってってねぇ? 貴方達イケメンだからい〜っぱいサービスしてあげるぅん!」


「時間ができたら行くよ、うん」


 適当に答えておく。

 絶対に行かないけどな。


「お店の名前はカマタマ・ウ・ドーンよぉ! 私はそこのママレディのドン・カマタマっていうのぉ〜! あ、でも、カマタマじゃなくて、下の名前のリリアンナって気軽に呼んでちょぉだぁい!」


「ドーン・カマタマじゃないの?」


「ドーンってなんかちょっとロマンチックな名前だけどぉ〜、なんか可愛くないじゃなぁい? だから下の子達にもリリアンナって呼ばせてるのよぉ〜ん!」


「あっはい」


 源氏名みたいなものなのだろうか。

 まあ、どうでも良い。

 絶対に行かないからな。

 天と地がひっくり返っても行くことはないだろう。


「また来てねぇ〜! うっふぅ〜ん!」


 ドぎついウィンクと投げキッスを背中に感じながら、俺とコーサーは店を出た。

 なんだろう、この虚しさは。

 ちなみにローヴォは店の中に入れなかったので入り口待機である。

 今回一番幸運だったのは、ローヴォなんかもしれない。

 さすが運を司る狼だ。







リリアンナ多分また出ます。

その時はローレントたちはきっと散々な目に会う可能性が否めません。笑





今は王都編ですが、いずれ七色諸島と海賊編が行われる予定。

結局、第二回闘技大会でどうしても出せなかった展開を王都最終ではやりたいと考えています。(謎宣言)


あのローレント、出ます。とはもういいましぇーん!!!

どっかであのローレントしますけど。







あとがき小話


みんな人狼知っててわろた。



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