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 そして王都からすぐにテレポートである。

 スティーブンに付き従っていれば楽勝なのである。


 転移先は、ローロイズと呼ばれる都市。

 これで俺もテレポートでいつでも海に行けるようになった訳だ。


 ラッキー!


 さて、颯爽と海の幸を味わいに行きたいところなのだが。

 師弟クエストでやるべきことが一つあった。


 それは……王族の護衛。


 スティーブンはローロイズから離れた七色諸島という群島型ダンジョンにある一つの島に用事があるそうなのだが、王族から護衛を頼まれているとのことで、体が足りないからと俺を呼んだのである。


 できれば七色諸島のダンジョンには俺が行きたかったところなのであるが……なんとも現状一人で行くのはただの犬死だと断られてしまった。


 そんなものなのだろうか。

 でも、七色諸島のことをちょろっとそこらの人に聞いてみた結果。


 なんとも、島によって出現する魔物が固定されていたり。

 特殊な個体になったり。

 そこを根城とする海賊がいたり。


 ギルドの指定レベルでは、島に入るためだけに90〜150ほどのレベル帯パーティじゃないと無理らしい。

 一番難易度が低い島でも平均90のパーティがいる。

 最高難易度の指定は、なし。

 レベル上限でこれだけいけば生きて帰ってこれるって線引きがない。


 その最高難易度の島に、スティーブンは行く。

 しかも一人で。


「大丈夫なんですかね……?」


 ローロイズの適当なレストランで食事を取っていると、ややげっそりとした顔つきのコーサーがスティーブンの身を案じてため息をついた。


「……問題なしと言っていたから、そうなのだろう」


 スティーブンの真価は未だ分からない。

 だが、おそらくとんでもなく強いのだろうってことはわかる。

 俺の師匠だから、そうに決まってるっていう持論もあるけどね。


 ちなみに、今は人待ち中。

 王族の護衛に当たって、まずはその側近と落ち合う約束になっている。

 コーサーは気絶から目覚めて、そして海を目の前にしてどことなく達観したような表情になってそれから愚痴を一切言わなくなった。


 海の良さがわかったのだろうか。

 でもなんだか……何も言わないこの沈黙が恐ろしいなあと感じましたまる


「海を一望できるレストラン……いいなあ……」


「海は初めて見ましたけど、素晴らしい景色ですね。あれが水平線というものなんですか」


「うむ、そうだ」


 コーサーも海を見たのは初めてなようで、レストランの二階にある席からその光景をじっと目に焼き付けている。

 あ、ちなみにここは要人にもよく利用されるレストランらしい。


 向こうの経費でここを抑えていただいたのだ!

 そして容赦なく魚料理を注文している。

 刺身がないのは断念だが、ロブスターっぽい料理があったのはでかい。

 個人的には伊勢海老が食べたいんだけど。

 まだテンバーではカニとかエビが流通してないので、久々に食べたくなったのだ。


 いつだかサワガニ大量に湧いてる場所があったけど。

 そこを南の森で発見開拓できれば、一気にカニ事情が解決するなあ、なんて思いつつ。

 やっぱり川より海の幸だ、なんて感じに出されたムニエルやら香草焼きやら、さらにはロブスターをバリバリむしゃむしゃと食べてゆっくりとしたひと時を過ごす。


 王族の護衛も、スティーブンに頼むくらいだ。

 どうせ波乱に満ちている。

 ならば、この優雅なひと時を堪能するように腹に飯を入れておくのが吉と見た。


「なっ──何をしている貴様たち!!」


「む?」


 二人分の足音、それも鎧装備と軽装っぽいやつらの足音が聞こえてきたので、ついに側近お出ましか、と思っていると、開口一番俺たちのテーブルに乗った山盛りの料理を見て叫んでいた。


「む? ではないだろう! 誰が先に食べていいと言った!?」


「まあまあ、グレイスさんおちついてください」


 グレイスさんと呼ばれた方は赤毛を後ろで結んだ女騎士っぽい感じ。

 鼻と頬にあるそばかすが印象的である。


「だがフラシカ! マナーというものがあるだろう!?」


「まあまあ、貴族を相手にしているわけでもないのですから、もう少し肩の力を抜きましょうよ?」


 グレイスを宥めるローブを着た男がフラシカか。

 魔法職っぽいな。


「ぐぬぬ、だがスティーブン様の直系弟子ならばもっと……」


「お腹が空いていたのですよきっと」


 そうだそうだもっと言ってやれ。

 だが逆に見れば貴族以外にマナーもへったくれもないとか、庶民は常に腹を減らしているとか、そんな風に言ってるようにも思えるが……まあ邪推か。


 どっちでもいいだろう。

 こっちとしては静かな方がいい。


「めっちゃ腹減ってました……合わせろコーサー」


 こっそりコーサーにそう言っておく。

 ここは凡人装いで、バカやってましたって感じで場を収めるのだ。


「そうなんです。スティーブン師匠様がいない今が食べるチャンスなんです。あの師匠……空腹こそが真の実力がどうたらこうたら言うんです」


 そこまで言えとはいってないが?

 まあいい、そういうことにしておこう。


「故にまだまだ食べれます。お腹減ってます」


 今の俺は師匠に飢えさせられているかわいそうな弟子。

 そしたらコーサーが「でしょうね」って呟いていた。

 コイツ、ここぞとばかりに言いやがってからに……。


「ああ、そうなんですね」


 フラシカはかわいそうにって感じで俺たちにご飯を勧めてくれる。


「さぞお辛い修行なんでしょう。私どもはすでに食べてきておりますので、気にせずお召し上がりください」


 ここはその言葉に甘えることにしようか。

 店員呼んで追加で大量に持ってきてもらうことに。

 魚はどれだけ食っても飽きないなあ。


「……もう、マナーってレベルを超えていると思うが……」


 大量に運ばれてきた食事にありつく俺を見て、グレイスは頭を抱えていた。










海です。颯爽と海にやってまいりました。

海賊編の可能性匂わせ。

ローレント 海賊 CO

でも私はローレント、サイコ白で見てます。







あとがき小話。


鯖を味噌、西京、塩で食べることに関しては諸説ある。

だが、刺身で食べるとと美味しい諸説ある。

ただし、体調が優れている時に食べないと蕁麻疹がでる諸説。


私の地元は、はこふぐを食べることがあるんですが。

忘れられないあのお味。

(腹開けて肝臓以外の臓物出して、そして肝臓戻しに薬味やら味噌やらネギやら入れて焼いて腹の中身をご飯と食べます。絶品です)


昔は毒がないと言われていましたが、最近になりやっぱり毒あるよってスライドCOかましたハコフグを許しません。吊りだわ。可愛い見た目してからにぎょぎょっ

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