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 さて、騒動を起こした奴らを蹴散らして翌日。

 あの後、特に事後処理などは行わずにログアウトしたから、どうなったかは知らない。

 でもゴブリンは来ないし、悪は倒した。


 これは漫画やアニメの世界で行ったら申し分ない結果なのでは?

 そして俺は見返りを求めることはない。

 まあ戦闘と並行して解体し、大量の素材類を王都の倉庫にばんばか転移させていたので実入りは良い。

 そこに関して冒険者ギルド側から関与されないというのが、しかとの見返りと言っても良い。


 良いのだが……。


「冒険者ギルドのギルド長、オルフレインです」


「どうも」


 なぜかギルド長から直々の呼び出しを受けて、冒険者ギルドの方まで出向いていた。

 長い透き通るような金髪の女。

 整った顔立ちとが、髪を下ろした十六夜のような印象を受ける。

 十六夜も顔は美人なんだよなあ、でも内面がなあ。

 どす黒い十六夜の目とは対照的に、全てを見透かすような透き通った輝きを持つ瞳。


 陰陽太極図で言い表すとなんだか近い気がする。

 面の皮は同じでも全く逆の位置にだな。


 そんな第一印象の女が目の前にいて、その後ろにはオルフレインの美人さをさらに増幅させるかのように汚いふくれっ面を見せるバニシグが座っている。

 俺は彼女達の対面に、ローヴォを連れて腰を下ろし、言葉に耳を傾けていた。


「此度の騒動を、一足先に戦地へと向かい収めていただいたことに感謝をします」


 深々と礼をするオルフレインの耳がピクピク動いていた。

 耳が長い。

 これはもしや、エルフというやつなのだろうか。

 わからんけど、耳が長いのって大体相場はエルフだよな。


「いや、個人的に因縁があったので」


「改めて状況を確認すると、ゴブリンの軍勢が出ていたというのに、死傷者すら出ていません。これは、小国であれば英雄視されてもおかしくない出来事です」


「どうも」


「けっ」


 バニシグは悪態をついているようだった。


「バニシグさん」


「はいっ、すいませんっ!」


 そしてオルフレインに名前を呼ばれた瞬間、平謝り。

 力関係がよく見えた。

 でもギルド監査官だから、普通は対等な関係だとは思うのだが……そういえばこいつ自分で冒険者をひとまとめにして、今回の騒動に立ち向かおうとしていたな。


 そういった部分で一つお灸を据えられたのだろうか。

 まあ、なんでもいいけど。


「素晴らしい功績をあげていただけたのに、ギルドからはこれといって謝礼金を渡すことはできませんが、今回の縁を末長くと思いまして、私の方から……こちらを」


 テーブルの上にスッと出されたのは、一枚のカードだった。


「?」


 首をひねっていると説明される。


「スタンピードを収める謝礼は均等割でしたので、そちらに私の方から少しばかり足させていただきました。全てはこの新たなギルドカードに入金されていますので、お受け取りください」


「はあ……」


 そこまでしてもらうつもりはないのだが、くれるものはありがたく貰っておこうと思う。

 だが、一つ疑問が。


「今持っているカードと……なんというか色が違いますね」


 今持っている普通のDランクくらいのカードは、無骨な訛りっぽい色。

 だが、目の前のものは白く輝いてる気がする。

 魔銀よりも高価っぽい感じがする。


「けっ、俺には敬語使わなかったくせに……」


「バニシグさん」


「すいませんっ!」


 もうバニシグ追い出せよ……。

 と、素直に思った。


 オルフレインは説明を続ける。


「Sランクのギルドカードになりますので、他とは違うものとなります」


「ほー……」


 Sランクって現状一番いいやつだっけ。

 なんでいきなり渡されたのだろう。

 今まで事務的な対応もしくは、ギルドの変な奴から詰問まがいのことを受けていたので、俺も反応に困るのだけど……。


「テージシティかノークタウンかは忘れましたけど、そこの受付はこういった飛び級はなしで基本的なクエストを受けてランクを上げろと言われましたね」


 そして、二束三文で素材を買い叩かれそうになった。


「受付にそこまでの権限はありませんので……その辺の融通は謝罪します」


「いえいえ、それが当たり前だと思いますし」


 その辺に関しては特になんとも思っちゃいない。

 まあ向こうは信用度が1上がったりするとかいってたけど、俺からギルドの信用度はだだ下がりだったけどな。


「ご理解いただけてありがとうございます。一定の権限を持っている人ならば……例えばギルド長ですね。でしたら、こうして大きな成果をあげていただいた所属の冒険者にそれ相応の対価をお渡しすることができるのです」


「はあ」


 そう言うことは理解できる。

 でも後ろですごいバニシグがナメくさった表情してるから、印象は最悪だ。

 なんであいつここにいるんだろう……。


「ちなみにそのSランクはどういった特典があるんですか?」


 受け取るか受け取らないかは、この辺をはっきりさせておいてからだろう。

 現状冒険者ギルドになんの執着もない。

 素材の売買は商会を営むニシトモ経由で全て完了するし、俺はクエストを受けないタイプだからだ。

 そもそもギルドに流すより利益も良いのだ。


「特典だとっ!? Sランクともなれば、全国の冒険者を目指す者の一番の目標、そして高みだぞ! それを特典だので済ませられるはずが──」


「バニシグ」


「はいっ! すいませんっ! 口を慎みますっ!」


「……」


 もう帰れよ、バニシグ。

 そんなうっとおしい男をひと睨みして黙らせたオルフレインは俺に向き直ってすぐ笑顔を作る。

 この温度差を見ると、なんとも腹に一つ考えがありそうだなって頭を過る。


 ニシトモもそんな表情をよくする。

 笑顔の裏に顔を隠すのだ。

 トンスキオーネは脂肪の後ろ。

 その二人とは信頼関係を築けているが、何も知らないぽっと出の相手だと、なんとも怪しく思えるものだ。


「特典という特典はありませんが……その信用性は随一で、私たちの方から高額依頼を斡旋したり手厚いサポートなどがありますね。冒険者ギルドが持つ施設での、ある程度の自由を認めていますから、例えば食事だったり宿だったり、そういったものを確保する際に安全性と利便性に大きく差があるかと」


「でも、有事の際は拘束されたりするとか……?」


 なんとなくそう尋ねて見ると、オルフレインは少し間をおいて答えた。


「……そうですね。大きな危機が迫っていたり、Sランク複数で対応するような事件が起こった際は、こちらの管理下として動いていただく場合もございます。指名依頼というやつです。でもその分見返りも大きいですから」


「ならお断りします」


 おそらくギルドオンリーでのクエスト的なものだろう。

 アイテム報酬とかがそこそこいいタイプの依頼だとは思うのだが、なんともギルドはいけすかんな。

 これからスティーブンとともに色々と事に当たるわけだから、拘束されて自由時間が減るのはなしだ。


「さっきからなんだその態度は!!!!」


 即答するとバニシグが立ち上がった。







ローレントさん飛び級っぽい?

でも冒険者ギルドって、現状あまりいい感情を持ち合わせていないローレント。


そういえば、ローレントは初期に比べてだいぶ砕けた素の口調担っていますが、目上っぽい人が礼節を持って対応してくれたら、基本的に敬語で返します。その設定は生きてます。


GSO2巻好評発売中です定期笑

みなさんのおかげです定期。

そして毎日更新します定期。

毎日更新でしか、感謝の気持ちを表せないのです定期。

定期券無くしました定期。




あとがき小話(読み飛ばしていいです)

CS版のオーバーウ●ッチでボイチャつけて野良プレイしてたら、すごく罵倒してくるマウサーに遭遇したので、しばらく籠ってレート上げてきます。



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