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「コーサー死んだか!?」


「勝手に殺さないでください! ってそうじゃなくて……」


 土砂の下から這い出てきたコーサーは、息を大きく吸うと。

 上空にいる俺に叫ぶ。


「死ぬかと思いました! 死ぬかと思いましたあああああ!!!」


「よし、生きてるな」


「さらっと流さないでください!!!!!」


 命あっての物種だから、グダグダ言わないでほしい。

 ちなみに、ここら一帯の森が焦土と化している原因はトンスキオーネとニシトモから、兼ねて最新兵器だと渡されていたアイテムのデモンストレーションをしたからだ。


 もっとも、それまでにコーサーを死ぬ気でゴブリン達と戦わせていたわけだが……ちょっと厄介な相手が出てきたからやられる前にやったというわけだ。


 その正体は、ゴブリンの上位亜種っぽい魔物。

 トロール達である。


 顔つき的にはゴブリンがオークとかオーガみたいに大きくなって脂肪を蓄えたって感じだ。

 クラスは4。

 流石にむきむきのホブゴブリンの上位種に使役っぽいことをされて大量にこの広場っぽいところに乱入されたら、コーサーに教えるどころじゃなくなる。


 だから、先手を打って爆弾なげた。

 そしたら、いつもの手榴弾のあの感じとは違って、閃光とともに半径30メートルくらいが消し飛んだ。


 俺ははるか上空から進軍するゴブリンどもに爆弾ぽいって感じだからよかったんだが。

 思いのほかの威力に、コーサーを速攻オブジェクトムービングで転移させた石牢にねじ込んだ。

 あってよかった、オブジェクトムービング。

 ちなみに、思考によるスキル選択は本人の質によるがかなり高速化できる。


 そもそも、オから始まるスキルを持ってないので。

 オブジェクトムービングのオあたりで石牢時代は完成していたりする。


「守ってやったじゃん」


「守ったって師匠ねえ!!! 石に潰されかけたんですが!?」


「無かったら地面の陰になってたところだと思うぞ。ゴブリン達みたいに」


 爆心地は、えげつない。

 陰まで燃え尽きた感じだ。


 でかいクレーターとともに、ここに集っていたゴブリンの軍勢は消滅。

 いったいこの規模の爆発物をどうやって作り出したんだろうな、ニシトモとかトンスキオーネって。

 これ、使いどころを間違えれば倉庫一つ吹き飛ぶとかじゃなくて、街の一角一つ壊滅するレベルだぞ。

 改めて恐ろしいやつらが仲間にいるもんだ。


 ジョバンニ達が、生物兵器みたいな感じやってくるなら。

 こっちは普通の平気だ。

 ブラウ達のクラン“ウィルソード”が、近代化っぽい兵装になるのも時間の問題かもな。

 そしたら特殊部隊仕込みは俺が担当しよう。


「げえ。硝煙の匂いが……またトラウマになりそうです」


「慣れろ。慣れたら心地よくなると思うぞ」


 俺は気にしないけどな。

 紛争地域は昔よく渡り歩いた。


 と、いうか。

 パスポートとかそういうの無しに国またぎをする方法が、そういうところしかなかったりした。


 まあ、それは置いといてだね。


「慣れたくないです……わわっ」


 そう愚痴をこぼすコーサーをルビーに乗せる。


「上空から新たな標的を見つけた」


「今度はこっちからって感じですか?」


「いいや、最初からこっちからだぞ?」


 ゴテゴテに回るのはもうやめたんだ。

 先手、を打てているかどうかはわからないが、正面から叩き潰す。

 その意気込みは変わっていない。


「そのまま上空から新たなゴブリンへと向かう。敵はまだまだ大量に控えているみたいだしな」


 トントントンと、石柱の上を飛び。

 足元にすぐ落ちた石柱を転移させて空中にとどまる。

 MPを消費するから、さっさと行くとするか。


「初手はどうするんですか? また正面から真っ向勝負ですか?」


「いや、ショートカットを使う」


「ショートカット?」


 疑問を浮かべるコーサーに伝えておこう。


「実はさっきの爆弾。あと4個あるんだ」


 試作として貰った5つ。

 こうなりゃ大盤振る舞いして奴らに叩き込んでやろうと思った。

 ジョバンニも、俺と戦う時いろんなアイテムを製作して用いてきた。

 それこそ、大盤振る舞いってくらいだろう。

 それほどの効果なアイテムだったと思う。

 巨大化とか、自爆とか。


「だから俺も大盤振る舞いしちゃうぞっ」


「やめてぇ!! 森がなくなってしまいます!!」


「いいや。資金対決だ。第一生産村をやられたところで、俺の資金はすでに潤沢」


 ニシトモにトンスキオーネもいるしな。

 裏ギルドの資金には貴族、王族連中がひと噛みしているっぽいことが予測されるが、お互いその辺も全力で遣り合おうやって感じだ。


 俺の資金が尽きるか、それとも国庫が果てるか。

 勝負だな。


「ちょっと師匠! ローヴォさんはどうするんですか!? 空飛べないですよ」


「ローヴォはすでにエニシのところへ行かせてある」


 俺が背負ってもいいのだが、とりあえず戦いが終わったエニシを俺の元に案内する役目を言っておいた。

 ローヴォならばしっかり役割をこなすだろう。


「仕事が早いですね」


「戦いはな。戦いの前段階ならばねちっこく準備した方がいい……だが、いざ戦いが始まれば色んな状況を無視して戦闘目標を遂行する。それこそ火の如くってやつだ」


「…………生き生きしてますね」


「お前もすぐに生きてるって実感する」


「さっきしました」


「ならばよし」


「……表情を見ればよくわかりますね。ツクヨイさんも、十六夜さんも、それこそ姐さんも苦労するはずですよ。一般的な常識から大きく乖離してる」


「なんだよ? よく聞こえなかったんだけど?」


「いえ。私も最初はずっとアウトローしてましたけど……まだ師匠に比べれば表の世界だなっていうか。ええ、はい、ちっぽけだなって感じるんですよ」


 チンピラ風情が表の世界か。

 まあ確かに、とも思うが……。


「真実は違うな」


「はい?」


「蓋を開けて見れば、裏も表も関係ないもんだ。どっちもどっちで相互に深く絡まっている」


「ええっと……話が見えてこないというか、なんというか」


「簡単に説明すると、裏表が存在する一枚のコインがあるだろ?」


「はい」


「そのコインが敵だとして、敵をぶっ飛ばしたい」


「ええ、まあ。物騒ですけど。それで?」


「表を残して裏をこそぎ落とすのか?」


 違うだろう。

 コインは敵で、裏も表もない。

 戦いにチンケな理由とかそんなものは必要なく。

 丸ごと叩き潰してしまえってことだよ。


「……はあ」


「よく裏の顔は凶悪だが、表の顔は優しい父さん。とかいう時があるだろ?」


「頻繁にはないですが……マフィア勤めのファミリー達は妻子持ちもいます」


「敵だとして表が妻子、裏がマフィア。さて、マフィアの顔だけ消し飛ばすのか?」


「…………」


「無理だろ。マフィア殺したら、表の顔も死ぬ。更に言えば、そいつに関わってる奴らを全て根絶やしにするのが一番禍根を残さない」


「つ、つまり……」


「裏ギルドって言葉を出した奴は全員仕留める」


 真顔でそういうと、コーサーはブルッと一瞬だけ震えていた。

 そんなに怖かっただろうか。

 俺としては普通の表情なんだけど。


「戦闘以外の説明って、本当に下手くそですよね師匠。そんな事実を再確認して身震いしました」


 違った。

 顔じゃなかった。

 ある意味良いとする。


「相手は俺以外を巻き込んだ戦いにしてきた。だから俺は敵全員を俺が巻き込んでやることを一つの目標としている」


 一度敵対したら、二度と味方はありえない。

 特に、裏ギルドに限ってはそうだ。

 そして今回のゴブリンの件も王都を巻き込んで俺の名前を使いやがって。


「森一つ消しとばす。だけどこれは裏ギルドの責任だ。全てはそこに帰属するってことを念頭に入れろ」


 これからの戦闘は全て奴らが悪いってことにする。

 俺は、そっちに与するNPCならば、NPCキルも辞さない方向性だ。


「とりあえずほらお前も投げろよ」


「た、大罪の片棒をかつがされようとしているのでしょうか……森林の大量破壊……生態系を変える規模で……」


「何言ってんだ。ゴブリンが大量に集結してる時点で生態系は大きく変わるだろう。それにやらなきゃやられてた。これで全ての物事に説明がつく」


 つーか、マフィアやってるなら犯罪を恐るなよ。

 素直にそう思った。



 







今から海鮮料理堪能してきます。

ちなみに伊勢海老の美味しい食べ方は、縦半分に割って、マヨネーズかけてオーブンで焼く。

お造りとか汁物とか、他にも色々食べ方はありますが、実家でこうやって食べた時が一番美味しかったです。


漁師って自分のいけすにたまたま獲れた美味しい魚介を溜め込む習性があります。(昔の私がそう。でも漁師ではないです)

回遊魚とか青物ではない魚類、もしくは貝と甲殻類でしたらしばらくいけすに入れておくことができるので……。



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