-582-※※※縁・視点※※※
まともに受けた麻耶、美希、健人君の三人がデスする。
残ったのは、健人君が盾になってたまたま生き残った純也君だけ。
「何しやがんだ……!!」
怒気をあらわにした目を向ける純也君。
終わった、これで大学ぼっち生活確定かな。
いやむしろもっとひどいかもしれない。
絶対大学でも色々言われるっていうかハブられるよりひどいかも。
「マジでさぁ……いい加減にしてくんないかなぁ……縁君よぉ!!」
「PK側につくって話なら、僕も攻撃対象にするさ」
「ぼっちだったお前を仲間に入れてやったのはどこのどいつだよ!」
「それは純也君だけど……」
「だろ?!」
純也君は地団駄を踏みながら僕に言う。
「別にゲーム内だけの付き合いでもよかったんだぜ? だけど、麻耶と美希と健人が同じ大学に可哀想だっつったから、リアルでも一緒に連んでたんだろ!!」
「…………」
「なんとか言えよ! 出しゃばって俺らを攻撃して、やっていいことと悪いことがあんだろ!?」
「……それこそ、純也君達がやろうとしてることが間違ってる」
「まだ言うのか……いいぜ、もう知らねえよ。お前大学でどうなっても知らないからな」
……これは引っ越した方がいいかな。
家バレしてるし。
「でもその前に……ストライドォ!!」
「うわっ!」
長剣を横薙ぎのスキル。
初期スキルだが、この狭い空間では有効。
慌てて後ずさって、後ろに尻餅をついたおかげで避けることができた。
純也君はさらに長剣を振り上げて襲いくる。
「こっちの世界でもお前ボコボコにしてやるよ! で、大学でも覚えとけよ!」
「現実世界に持ち込むのは反則だって!」
「そんなこと知らねえよ。はっきりいってウゼェんだよ。友達づらしていちいちいちいち面倒な小言ばっかり言いやがって! この際はっきりいっておくけどな、あまりのボッチっぷりに最初は同情してたあいつらも、最後の方がめんどくさい、うざいって影で言ってんだよ!」
そんな不満を撒き散らしながら、純也君はどんどん僕を責め立てる。
確実に仕留めるために、陣縁で壁を作ったんだけど。
失敗したかな、これじゃただの処刑場だ。
確かに近接戦闘での強みを持つ剣士に有利な地形だが、土があれば違う。
「ストーンジャベリン!」
「フルポテンシャル!」
だが、全ての石槍の軌道を読んで、純也君は躱す。
スクールカースト上位は運動神経がデフォルトでいいのばっかりだから、厄介だよね。
「ハハッ、お前が教えてくれたよな! スキル構成は身体強化プラス攻撃スキルの組み合わせが現時点で一番使い勝手がいいってよ! おかげで不意を突かれなければ楽々避けれるぞ?」
「くっ! ストーンウォール!」
「チッ、逃げんなよ! てめぇから喧嘩吹っかけてきたんだろ!」
「逃げてないよ。ウォーターフォール」
僕が作り出した円形の壁の中に、一気に水を放出する。
この上から下に大量の水流を生み出すウォーターフォールがうまく決まれば動きを拘束できて、そのまま窒息を狙えると思っていたのだけど、それも躱される。
残っているストーンジャベリンを足場にして、純也君が高く飛んでいた。
「うざってぇな……ッ! とりあえず死ねよ!」
「うぐっ! ストーンバレット!」
「ぐはっ!」
腹部を切り裂かれるが、お返しに詠唱破棄して作り出した石弾をぶつけてやった。
これでおあいこかな?
いいや、ダメージの通り的には、僕の方が不利かも。
互いに処刑場から離れた位置にぶっ飛び転ぶ。
立ち上がりながら、純也君は言った。
「てめぇいい加減に……ああ、まあいいや……」
「……」
「向こうにローレントがいんだろ? そのままお前蹴散らしてゴブリンに混じってあいつにも仕返ししないとな」
「ダメだ、純也君。それは絶対にダメだ」
ローレントさんは必ず勝つ。
だが、もう容赦はしないと言っていた。
あの人と戦ったら、ゲームで楽しくやってました、なんてもんじゃ済まなくなる。
昔、彼に喧嘩を売って引退まで追い込まれたプレイヤーがいるってのに。
「ハッ、トッププレイヤー様だろ? 俺だってハナっから無策で突っ込むようなことはしないに決まってんじゃん。ほら、この間、巨大化した男がいただろ?」
「え?」
「あれと同じ薬貰ったんだよなあ……ハハッ」
確か、乱闘イベントが終わった後のノークタウンに、突如出現した巨人。
敵対側のボスプレイヤーが裏で糸を引いていてその想像を巻き起こしたって話は聞いているけど。
まさか、純也君たちにそんなアイテムまで渡してるなんて。
でもそれは未完成品で、実は爆発するとかしないとか、そんなよくわからない情報が溢れている。
誰が流したのかはわからない、おそらく情報錯乱を狙っていたりするのかもしれないし、しないのかもしれない。
確定ではないけど、とにかく昨日今日で知り合ったような奴らが上等な薬なんか渡すはずない。
「それは、危険だ!」
「あん? ……いっつもいっつもやることなすことにあれはこうだこれはああだ、危険だ無謀だ、お前とゲームやっててもちっとも楽しくねえよ」
「……」
「もうその小言は聞き飽きた」
そして彼はアイテムボックスから取り出した液体を飲み込んだ。
「っぷはぁ……!」
一気に飲み込んだ純也君はフラフラとよろめきなんとか体制を戻すと、今度はこめかみを押さえながらブルっと一瞬だけ体を震わせると、大きく息を吸って目を開けた。
「ハハッ、なんだこれ」
「……純也……君?」
「なんだよこれ、まるで最ッ高にハイじゃんよ! ハハハハッ! 前にクラブで射って貰ったヤ……おっと、これはいっちゃいけねえんだった」
射って貰ったって、マジか……。
やっぱり友達やめて正解だったかもしれない。
「確かこれ、あれだったよな……感覚とかめっちゃ鋭くなって、さらに……うお、ぉ? おおお?」
純也君の体が、ゴキゴキと音を立てて変化して行く。
関節という関節が、一度反対の方へ曲がって再び元の位置に戻り、まるで体の中がサイボーグにでも作り変わってしまうんじゃないかってくらいの様子だ。
「な、なんだ……これ……」
巨大化するんじゃないのか?
確かに、確かに巨大化していく純也君なんだけど、これは聞いてない。
最初は1話でさっくり終わらせる予定だったんですが、3話構成になりました。
もうこれは書き溜めをしていますので覆らないです。
主人公が出てくるのは明後日くらいですね。
これだけ投げずに書いたということは……縁君は実はポッとでの適当キャラクターじゃないのかもしれませんね……。ポッと出かもしれませんけど……。
(ちなみにWEB連載小説は、大筋だげざっと考えてガーッと書いて行く進行スタイルなので、ポッと追加キャラ出してみたり、すぐにレギュラー落ちさせてみたり、さらには当初予定していた終わり方と違った結果にすることも多々あります)
(感想に鋭いネタバレ書かれていたりすると、ななめ45°ほど展開を変えているつもりです。変えない時もありますが、私と読者の様のバトルです笑)
(焼肉食べたい)




