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 ハリスとの待ち合わせ場所は、闘技場内部のマネジメントエリア。

 選手が待機する場所でもある。


「腹も膨れたことだし行くか」


 闘技場横の屋台通りでたらふく栄養補給した俺は、待ち合わせ場所に急ぐ。

 一般人が来ないように屈強そうなスタッフが立ちはだかるのだが、名前を告げると至極丁寧に対応された。

 さすが王都、教育が行き届いている。


「……あの、コンシリエーレ」


 後ろから声をかけてくるコーサー。

 振り向かずに答える。


「なんだ?」


「お支払いはしなくてよかったんですか?」


「ああ、チャレンジメニューだからいいんだよ」


 あの四人の店は大繁盛していた。

 しっかり時間を指定してチャレンジメニュー展開しているし、彼ら同士で席のシェアも行う。

 なんとなく、いろんなメニューが置いてあるでかいチェーン店みたいな感じだった。


 いや、例えが違うな。

 フードコート的な感じかな?


 たらふく食べてやると「もうくんじゃねえ!」と泣きながら言っていたが、また行く。

 今回は戦い前だということで、量も少し抑えめにしてある。

 腹八分目くらいだ。

 それくらいがちょうどいいんだよな?


「出禁されてませんでした?」


「まあ、売り言葉に買い言葉みたいなものだろう」


 食いっぷりのいい客がいると、周りで見ていた人たちもお腹を透かす。

 俺っていい広告塔になってるんじゃないかと思った。


「そんなもんですか」


「いつ食えなくなるかわからない。そんな時、極限状態で戦わないといけない。食える時に食っておいて、食えない時は食えなくてもパフォーマンスを維持できるようになれコーサー」


「……内臓面白人間ですかそれ。でもまあ、頑張ります!」


 ぐっと拳を握るコーサー。

 その意気や良し。


「それにちゃんと手土産も買ってやったから売り上げ貢献してるぞ?」


 アイテムボックスには、ステーキソースやらカレーやら、ホールケーキやら。

 食べ物がたくさん入っている。

 ホットドッグなんか、小腹が空いた時にはすごくいいな。


 アイテムボックスに入れると冷めたりぬるくなったりするから、長期保存はできないが……なんというか、保温できたりする良い魔道具がないだろうか?


 ニシトモに相談してみようと思いながら、俺はホットドッグを食べながらハリスの元へ向かった。


「まだ食ってる……」


 と、言うコーサーのぼやきを無視して扉を開ける。


「あっ、ローレントさん! お待ちしておりました!」


 中にはハリスともう一人がいた。

 デュアルだ。

 双剣の貴公子……デュアルである。


「……おい、部外者が失せろ」


 相変わらずの態度だが、不思議とムカつきはしなかった。

 まあ、戦いに命かけてる感じの男だからかな。

 それとも俺のムカつきレベルの上限が上がったとかかもしれない。

 最近PK相手に色々と面倒だったから、俺も成長したのだろうか。


「部外者じゃない」


「なに?」


「すいませんデュアルさんにはまだ伝えてませんでしたが、私がマネジメントをすることになりました、ローレントさんになります!」


 殺気を前面に目をギラつかせるデュアル。

 ハリスは平謝りでペコペコしていた。

 かなり強烈な殺気だけど、その中でピンピンしてるハリスもハリスだよな。

 なんて思いながら殺気を追うと……。


 ハリスには当てていないのがわかる。

 へえ……。

 一応マネジメントとグラディエーターの信頼関係は結べてるって感じかな。


「好きにしろ……俺の邪魔をしなければどこで何をやってもいい」


「随分と甘くなったな」


「…………刻むぞ?」


「ちょ、ちょちょちょ! ここで争うのはやめてくださいね!?」


 慌てるハリス。


「冗談だ」


「冗談がきつすぎますから!! ……はぁ、はぁ……まったくもう、先が思いやられますよ……ん?」


 そこで、俺の後ろにいたコーサーにハリスが気づく。

 ちなみにコーサーはデュアルの殺気が怖いので俺の後ろに瞬時に隠れていた。

 情けないぞコーサー……。


「そちらの方は……いったいどなたですか?」


「コンシリ……じゃなかった、師匠ローレントさんの弟子になります。コーサーです」


「ほう、弟子ですか」


 俺の弟子という単語に興味を示すハリス。

 ちなみにこうして他人がいる場所ではコンシリエーレは禁止である。

 印象が悪くなる可能性もあるからな。

 今の俺はコーサーの師匠って体裁にしている。


「ハリスさえよかったら、コーサーのマネジメントもして貰えると助かるのだが……」


「いいですよ! ローレントさんと一緒に受け持っちゃいます!」


 快諾してくれて何より。


「ありがとう。コーサーにも十傑入りさせる予定が確定してるから」


「え!? そ、そうなんですか!?」


「コ、じゃない師匠! 私が十傑って、本当ですか!?」


 ハリスはともかく、コーサーもびっくりしていた。


「何言ってるんだコーサー。十傑でもトップに立てとか言ってるわけじゃないから当たり前だろうに」


 無論、トップは俺が立ちます。

 優勝、必ず成し遂げます。


 確定事項だ。

 せっかく好き放題戦える場所があるんだからな!


 だからコーサーは少し条件を甘くして十傑に入るだけでいいのだ。


「ええええー!!!」


 コーサーがたいそう驚いていると、ハリスの後ろから強烈な殺気が飛んできた。

 まーたデュアルか。

 今度はなんだろう。


「……貴様、それは貴様がまるで十傑入りを当然だと思っているようだな」


 なんだそれか。


「当然だ。いや、入りだけじゃなくて、頂点に立つぞ?」


「ハッ、甘いな。ハリスとコネができてマネジメントを得られて大きく出てるのかもしれないが、貴様が思っているほど、十傑の壁は低くない。軽い気持ちでいるなら、今のうちにさっさと引き返すことだな」


「デュ、デュアルさん!」


「当然の言葉だ。ハリス、雑魚のマネジメントをすると俺の品位まで落ちる」


 そういうとデュアルは立ち上がって部屋を後にした。

 まあ、デュアルが思うことも間違いではないだろう。

 この闘技場の中では、ファイトマネーやら人気に応じて戦いが組まれる。

 生半可なやつではそもそも十傑とは戦えないし、莫大な金が動いてそうだった。

 彼の目標が十傑入りであるなら、弱いのがいると邪魔としか思えないだろう。


「ならば宣言しておくぞ双剣のデュアル」


 俺は彼の背中に言葉を投げかけた。


「俺はすぐに十傑に上がり、頂点を取る」


 立ち止まるデュアル。

 俺は続ける。


「さらに弟子のコーサーは、お前より先に十傑入りを成し遂げるだろう」


 そういうとデュアルがとんでもない殺気を込めながら、振り返って言った。


「面白い。やってみろよ」


 ……それ。

 十傑に入ってるやつが言うセリフだと思うんだけどなあ?


 まあいいや、とりあえず殺気を煽る目的は果たせたのだし。











煽りローレントの目的が、次回!





手土産の飯を食いながら!






GSO2巻好評発売中です!

いつも読んでいただいて、さらに言えばブクマ、評価、感想までいただけて。

感無量です!感無量です!

感謝の一万回土下座です!


感想であった意見は大事にしています。

PK編、だいぶ煩わしい展開が続いていたと思いますが……絶対最後は……ゲホンゲホン。


その前に、道衣ローレントが、闘技場で達人力を見せつける様をお楽しみください。

いつになるかはわかりませんが、海賊になる話もありますので。(お待ちください)




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