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 無事に直系弟子になって、テージシティから王都へテレポートした

 もちろんコーサーを連れてのことである。


「コンシリエーレ……どこへ行くんですか?」


「まあ修行の前に、準備だな」


「準備?」


 キョトンとした顔をするコーサーを連れて、王都を歩く。

 目指す先は、生産組が仮住居として使っているアパートメント。


 彼らは基本的に生産を学ぶ下宿や自分の工房をログイン地点としている。

 だが、王都へ来てからは気ままな暮らしも楽しみましょうってことで、みんなで一つのアパートを借りてそこに居住しログイン地点としていた。

 クランホームを持つプレイヤーが寄りあつまるようなもんだ。


 今回、コーサーの装備を整えるべく。

 セレクに連絡を取ってみたところ、アパートのエントランスにいるとのことで向かっているわけだ。


「王都。初めて来ましたけど……活気に満ち溢れていますね」


「キングダム規模だからな」


 テージシティの倍以上の大きさだと思う。

 ちなみに、王都へ行くまでに。

 農耕都市のアラドへ飛行船を用いて向かい、そこを経由し陸路を使うか。

 テージシティの次の町である辺境首都ラージへ陸路で向かい、そこを経由しての陸路しか今はない。

 実のところテージシティは大きな都市に見えて、実は田舎扱いなのだ。

 

「ここにも、マフィアなんかはいるんですかね?」


「いると思うけど……王族や王国貴族のお膝元だから、そっちに気をつけたほうがいいかもな」


 俺はまだあったことない。

 貴族という貴族はレジテーラのオルトウィルくらいしか知らないのだが、みんながみんなあいつみたいな良い奴ではないと思っている。


「裏の権力が通用しないんでしょうか」


「大方掌握されてるんじゃないか?」


 そもそもテージのマフィアにもいろんな貴族がズブズブだったのだし。

 かくいうコーサーファミリーだって、裏と表でレジテーラ家と表裏一体のようなもんだ。

 野良魔人の件で俺に恩があるからセバスは黙認してくれている。


「さて、ついたぞ」


「ここがコンシリエーレのご友人方の住まうアパートですか」


 ゴクリ、と喉を鳴らすコーサー。

 そんなに構えなくても、生産組に凶悪な奴は一人もいない。

 むしろみんな基本的にいい人だ。

 いいやつすぎて厄介ごとを抱えることもままあるけども。


 っていうか、そもそも俺が助けに行った時とか、その他の場面で、生産組のメンバーとは何回か顔を合わせているはずなんだけどなあ?


「んお? ローレントじゃねーか! 久しぶりでもないけどなんだか懐かしいな!」


「ガハハハ! だったら久しぶりってことでいいじゃねえか!」


「うむ、久しぶりなのである」


 エントランスへ入ると、ソファーにミツバシ、イシマル、ガストンの三人がいた。

 彼らはテーブルをどかしてできた大きなスペースにて、トンテンカンテン何やら作業を行っていた。


 なんだと思ってみてみると。

 それは木造の檻というか、中にストーンゴーストが三体入れられていた。


 ガタガタと暴れまわるストーンゴースト。

 イシマルが檻の隙間からバールのようなひっかえしがついた道具でガリガリ小突いて痛ぶっている。


「ガハハハ! このストーンゴーストって面白えな! くず石とかくず鉄入れたら固まって出て来やがる!」


「うむ、次は砂鉄も試してみるのである」


「まてまて、鉱物系ならなんでもいいのか? まずは色々と用意した素材で実験をだな……」


 ああ、俺がメッセージで連絡していたストーンゴーストをしっかり捕獲できたようだな。

 核を潰さないうちは鉱石ボロボロドロップモンスターなんだけど、それ以外にも他に使える要素がないか、調べているようだった。


 だが……傍目から見れば、だ。

 小柄だけど髭ぼうぼうの筋肉ダルマな男。

 筋骨隆々のスキンヘッドピチピチタンクトップ男。

 死神みたいにやつれた頬の半笑い男。


 そいつらが、寄ってたかって檻に入れられた何かを拷問しているようにも、見えなくはない。


「──うわあああ!! コンシリエーレ、な、なんですかあれは!? 拷問鬼ですか!?」


 その様子を見てコーサーが尻餅をついていた。

 うーん、相変わらず大事じゃない場面では小心者というか。


 なんというか……。

 コーサー心を強く持ってくれ。


「ん? 隣の男……誰だっけ、ローレントが助けに行った……」


「コーサーだよコーサー。ほらマフィアの」


「うむ。傷も無事に治っていて何よりである」


「……あ……う……その、食べないでください」


「は? 何いってんだこいつ?」


「ガハハハ! 確かに腹は減ってるが、人を食べる趣味はねえ!」


「借りて来た猫みたいな状況であるな」


 ……ったく。

 何やってんだコーサー。


「あほたれ」


「痛っ!」


 とりあえず頭にゲンコツかましていう。


「何度か会ってるだろ? 特にこの三人はノークタウンにお前を連れて帰った時、怪我を見てくれた三人だ」


「は! そういえば! すいません、光景があまりにもヤバすぎて気が動転していました」


 立ち上がって服を整えると、コーサーは「お騒がせしてすいません」と深く頭を下げた。

 その様子に、


「おお、ローレントの下っ端にしては礼儀がいいなおい……」


「まるで初期のよそよそしかった時のことを思い出すのである」


「ガハハ! 俺と会った時はすでに砕けた口調だったから変わんねー!」


 好き放題言ってくれるな、こいつら。

 だが、無事にコーサーも受け入れられたようで何より。


「そうだ、セレクはどこ?」


 尋ねると、ミツバシが答える。


「ん? ああ、部屋にいるぜ。202号室だ」


「ふむ、ローレント。新しい装備の素材でも確保したのであるか?」


「いや、今回はこいつの装備を作ってもらいにかな」


「ガハハハ! 軍服野郎がまた増えるのか!」


「いいなあそれ、俺らも作業着統一して作らねえ?」


「ふむ、ミツバシにしてはなかなかいいアイデアなのである。通気性運動性機能性全てを網羅した最強の作業服が欲しいのである」


 軍服の話題からいきなり自分たちの作業着を作る話になっている。

 こういうところが生産組だなって思う。


 でも地味に統一した作業着ってかっこいい気がした。

 土建屋チームも自分らでそんな感じのもの作ってたしな。


 俺も欲しい。

 俺だって、まったくさわってないけど漁師だ。

 生産色だ。


「追加で戦闘性も付け足して作ってもらおう」


「必要としてるのローレントだけじゃねそれ?」


「ミツバシ、いざって時に守ってくれるのは質の良い装備だ」


「ガハハハ! そういうなら素材集めはローレントに任せるぜ!」


「うむ。でもできれば猿系の皮ではなく、他のモンスターがいいのである。使用素材が似ていると、効果も自ずと似てくるのであるからな。ネタ装備に素材被りはNGなのである」


「わかった。リクエストがあれば言ってくれ」


 俺たちは、コーサを置き去りにして使う素材をどうするかって話に夢中になり始めた。

 そして、




「ちょっとローレント……ずっと待ってるってのに、ここで何してる訳?」




 あっ!













すっごい今更になりますが。



ミツバシの名前の由来は、桟橋です。

桟橋、さんばし、ミツバシです。






あとがき追記。

そういえば短編書いたんですけどみんな見てくだしあ。

これからちょくちょく短編とか単発であげていきます。

でも毎日更新変わりません。

安心してください。



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