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「ふむ……その表情から察するに、決まっとるようじゃのう」


 翌日ログインすると、スティーブンがテージシティにあるコーサーファミリーの拠点まで来てくれていた。

 いつの間にか5階建のでかい建物になっていた元トンスキオーネファミリーの屋敷。

 聞くところによると、土建屋チームが一枚噛んだ鉄筋コンクリートで作られているらしい……外装は洋風建築なのだがな、中身は爆弾使ってもなかなか砕けない高耐久。


 その建物の中。

 トンスキオーネが使っている執務室の隣にある部屋でスティーブンに言う。


「是非、直系弟子にしてください」


「重複称号は使えなくなるぞ? お主が主力としてつかっとったスキルも使えん」


「それでもいいです」


 最初に戻った気分だな。

 これで、トモガラに近接戦闘で張り合えることはできなくなるだろう。


 でも……己の勘が、このままでは厳しくなるとも告げていた。

 おそらくだが、レベルを上げていき、プレイヤーもどんどんスキルが強くなっていき、ある種魔物のように人外化が進んでいるように思える。


 生身一つで魔物に勝つことは難しいように、対人戦でもそうなっていくだろう。

 リアードドと戦った時にそれを強く感じた。

 ジョバンニは、達人ばけもの相手に戦うにはこっちも人外化しないととかいっていたしな。


 だからと言って魔闘家の称号スキルを捨てるのはかなり勿体無い決断だと言えるだろうが、俺はスティーブンの弟子だ。

 誰が、なんと言おうと、俺はスティーブンの一番の弟子である。


 それと魔闘家を天秤にかけるだなんて、できるわけない。

 話は単純明快に、最初から決まっていたのである。


「私は師匠の弟子ですから」


「………………うむ、よかろう」


 真意を探るように、じっと俺の目を見据えたスティーブンは頷いた。

 その表情はどことなく嬉しそうでもあった。


「今までの戦い方はできぬやもしれんが、お主なら上手くやるじゃろう」


「やることは最初と変わりませんからね」


 もともとアポートのみで戦っていたじゃないか。

 もう一度そこからやり直して強くなればいいだけじゃないか。


 少しの間だけ、弱体化してしまうかもしれない。

 だが、超えてみせる。


 そうしないと、スティーブンの顔も立たないし。

 コーサーに背中も見せてやれないしな。




《称号“とある魔法使いの弟子”が“無属賢者の直系弟子”に変わります》

《それに伴って、同系列称号とその称号スキルが取り消され、取得不可になります》

《対象称号“魔闘家”、“道場六段”》

《賢者の弟子となりましたので、一部スキルのスキル名と効果が変質します》




 ん? んん?

 まだ続くのか?

 っていうか、賢者ってどういうことだ。




《補助スキル【ナート・エスカレーション】が【ウィズダムアンプ】に変質します》

《補助スキル【ナート・マジックアームズ】が【ウィズダムウェポン】に変質します》

《魔剣士称号補助スキル【マジックブースト】が【ワイズブースト】に変質します》

《魔剣士称号補助スキル【エナジーブラスト】が【ワイズブラスト】に変質します》

《魔剣士称号補助スキル【マジックエッジ】が【ワイズエッジ】に変質します》

《魔剣士称号補助スキル【マナバースト】が【ワイズバースト】に変質します》




 めっちゃ変わったやんけ!

 な、なにこれぇ!


「賢者? ウィズダム? ワイズ?」


「ほっほ、変わりように驚いとるようじゃのう」


 そりゃ驚くだろう。

 スキルツリーも大きく変貌して、スキルパラメーターが軒並み120になっていた。




スキルツリー▽

【ワイズブースト】Lv50

効果値:50/120

消費値:50/120

詠唱値:81/120

【ワイズブラスト】Lv40

効果値:40/120

消費値:40/120

詠唱値:75/120

【ワイズエッジ】Lv35

効果値:35/120

消費値:35/120

詠唱値:76/120

【ワイズバースト】Lv44

効果値:44/120

消費値:44/120

詠唱値:72/120

【スペル・インパクト(P)】Lv76

効果値:76/120

消費値:76/120

詠唱値:120/120(3)

【ウィズダムアンプ】Lv25

効果値:25/120

消費値:25/120

詠唱値:60/120

【ウィズダムウェポン】Lv25

効果値:25/120

消費値:25/120

詠唱値:60/120




 そ、育てるのがまたしんどいことに……。

 そしてマックスにしていた詠唱値が……。


「詠唱が……」


「ああ、直系弟子……というか賢者に近い称号に変わっとるからその辺は心配せんでもいい」


「え?」


「賢者の前段階の称号じゃから、基本的に詠唱破棄できる」


 どうやら、スキル名を呟くだけでもスキルの展開は可能とのこと。

 詠唱値はスキルの強度を表すもので、詠唱を完璧にしなくてもある程度の出力はでるらしい。

 詠唱値を全てあげると、100%の状態でスキル名を言えば使えるが、さらに称号の力で二割り増しくらいの威力になるらしい。

 すげー。


「さらに、スキルの系統が同じゆえに、ワイズを省略してブラスト、バースト、インパクトとスキルを使用できるようになっとる。なかなかに強いじゃろう?」


「あれ、でも師匠はスペルと頭につけていましたよね?」


「本来なくとも使えるが、お主にひけらかしとっただけじゃな」


 性格悪っ。


「そもそも……賢者とは?」


「あとあと正体を明かそうとおもっとったのじゃが、わしを含めて魔法属性の頂点に立つ魔法使い達のことを賢者と呼ぶ。四大属性のパトリシアや、光と闇の双極ミドルの他にも、四大属性の一つ一つ、さらには亜属性にまで、その頂点を極めた魔法使いがおるんじゃ」


「なるほど……あれ? パトリシア被ってないですか?」


「うーん、奴は基本属性を全て納めまとめて新たな賢者となった奴じゃからな」


「それはすごい感じなんですか?」


「わりかし、すごいんじゃないか? まあ、合わせ役満みたいなもんじゃし、わし好かん」


 そんなもんなのか。


「てっきりスペル系統が手に入ると思っていたんですが……」


「それは賢者に許されたものでもある。一応ワイズはスペルの孫扱いじゃし、育てていけば全てスペルに変わる。わしと肩を並べる程の高みまで……ローレントよ、お主ならすぐに来れると思うとるぞ」


「はい、がんばります」


 さて、称号スキルの説明も済んだところで、スティーブンは約束通り各地を転移魔法で回って行く話を切り出した。


「無事に直系弟子と至った、では行くか?」


「あ、少し待ってください」


 ついていきたいのは山々なのだが……。

 一つやることができたのだ。


 自分のケツはやはり自分で拭くもの。

 コーサーを強くするため、そして俺も新しいスキルを使用した戦いに慣れるために。


「申し訳ないのですが、しばらくコーサーを連れて修行に励みたいと思います」


「ふむ……そういうと思っておった。むしろ、わしの直系弟子として当然の行動じゃな」


 スティーブンはしわがれた顔をほころばせると言葉を続けた。


「何かあればまたお主の元へ来る。それまでに精進しておくがよい」


「はい」


 それだけ言うと、スティーブンは転移魔法陣を展開させて消えていった。

 きっと、呼ばれた時は戦いの時だろう。

 敵は双極や王族が裏に控える裏ギルドとか、PK集団と魔人か?


 まあ、なんでもいい。

 弟子に恥じぬ、行いをしようと思った。










ツクヨイ「弱……体……化……? 見間違いですかね? 弱体化してるんですかこれ?」


十六夜「それよりも出番が全くないんですが……? ずっとスタンバってるんですが……?」


レイラ「みんなそうよ」


アルジャーノ「……私なんか……どうせみんな忘れてる……」





次回からコーサー修行編なわけですが、山籠りではありません。

明確な目標を持てて、さらに強くなれるとしたら……あそこしかありませんよね。

王都の、あそこです。あ・そ・こ。





いつも読んでいただきありがとうございます。

最近もやしと豆腐ときのこを炒めて食しながら頑張っています。

そして、ローヴォを食べるという誤字は失礼しました。

修正しておきましたことを、この場を借りてご報告します。

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