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「コーサーの件?」


「アレからずっと捻くれ者になったあいつの背中を叩けっつってんだよ」


「……任せた」


 そのままトンスキオーネの横を通って外に出ようとするがこめかみに魔銃を突きつけられた。


「テメェの立場はなんだ?」


「相談役だが?」


「なら、俺の立場はなんだ?」


「ボスだろ?」


「アンダーボスな? つまるところ、俺はコーサーの部下な訳だ?」


 確かにそうだな。

 だが実質的にコーサーファミリーを取り仕切っているのはトンスキオーネである。


「アンダーでもそうじゃなくてもボスはボスだろうに」


「……殺すぞ?」


 なんでこいつこんなにキレてんだろう。

 戦ったらどっちが勝つかなんて決まってるのにな。


「──ッ!?」


 無視していたらそのままゼロ距離発砲された。

 引き金を引く動作はわかっていたので、肩でトンスキオーネの手を跳ね上げ、頭を反らして回避する。

 周りからは悲鳴が聞こえて、王都正門でちょっとしたパニックが巻き起こった。


「捕まってもいいのか……?」


「関係ねぇ。バカな野郎だとは思っていたが、ここまでバカだとはな……そうとは思ってなかった俺にクソムカついてる訳だ」


「はあ?」


 さらに立て続けに三発ほど撃ったトンスキオーネは、手甲で全て弾き逸らした俺に言う。


「テメェにも大事なもんくらいあんだろ?」


「まあ……そうだが」


「だったら相談役コンシリエーレ失格だ。そのままくたばれカス野郎」


 再び二、三発放たれる魔銃。

 ニシトモとかガストンとか、生産組の力を借りてかなり改良されてるから、服で受け止めるのは難しくなってるんだよな。

 現実の銃みたいに、当たればかなり痛い。


「ちょっと待て! 落ち着け!」


「ああん? はなっから落ち着いてるぜ?」


「落ち着いてたら無闇矢鱈に撃たんだろうに」


「同時にムカついてんだよ」


 今度は懐からどでかいバズーカを取り出していた。

 トンスキオーネの目は本気だ。

 街中でも関係なしに引き金を引くだろう。


「待てって言ってるだろ」


 トンスキオーネのすぐ後ろに視認転移する。

 そしてそのままバズーカを持つ腕をひねり上げた。


「ぐうっ!?」


「喧嘩にはいつでも付き合ってやるが、街中ではさせん」


 そのまま後ろから膝の裏を蹴り、跪かせ。

 トンスキオーネの太った体を投げ飛ばす、そして足で重心を踏みつけて抑え込む。


「ぐ、はっ!」


 いざちょろっとだけ戦ってみてわかるが、相変わらずこいつは対人戦が弱いな。

 まあ、強みはそれじゃないからいいんだけど。

 それにしてももう少し強くなってほしいところだ。


「そうやって……力で押さえ込んでなんでも解決できると思ってんじゃねーぞ……?」


「いやそんなことは思ってないけど」


「いいや、大方コーサーあたりを山籠りさせたりとか、そんなところまで連れて行く気だろうが」


 ギクリ。

 バッチリ予測されていた。


「そうじゃねーんだよ」


 トンスキオーネは地面に押さえつけられながらも贅肉が邪魔そうな首を横に振って俺を睨む。


「こんなところで何してやがんだ?」


「……」


「つーか、テメェの部下ならテメェ責任取れよ。俺は師弟関係とかはしらねえけど……これでも組織作って背負ってきた身だからな、そこんところは理解してんだぜ……」


 トンスキオーネは歯ぎしりしながらそう言っていた。


「テメェがあいつのピンチに駆けつけてんだろカス。そこに責任持てよボケコラ」


「……黙れ殺すぞ」


 くそったれだな、そんなこと誰よりもわかってるんだよ。


 コーサーが慕っていたアンジェリックが何も言わずに連れ去られてしまったことを悔いているってことくらい、そのことの顛末をカイトーから聞いてるからわかってるんだよ。


 だが連れ戻しに言った先で、もうアンジェリックはいなかったし、結局首謀者であるPKも倒せず散々な結果に終わった。

 だいたい全ての行動がゴテゴテに回ってしまった結果とも言えるし、それについては俺もコーサーに申し訳ないとも思う。

 アンジェリックの部下達にも連れ戻す協力をするって言ったわけだしな。


 でもな、フォローしなきゃいけないのはコーサーだけじゃないんだ。

 第一生産拠点ぶち壊してしまった以上、生産組の新しい活動の場として王都に来た。


 もしそこで面倒なことが起こったらどうする。


 だったら先手を打ってもっとレベルを上げておくことが必要不可欠だろうに。

 前は殺し逃したが、次出会った時に確実に殺せるようにな。


「文句があるなら倒してから言え、トンスキオーネ」


「チッ、最初からそのつもりなんだよ!」


 トンスキオーネがそういった瞬間、彼の目の前にコロンコロンと丸いものが転がった。

 アイテムボックスから出された手榴弾である。


「またドカンだぜ? テメェ今一番嫌な方法だろ?」


 それをくわえて、つけてある起爆スイッチをカチっと歯で押した。


「チッ!」


 こいつ何様のつもりだ、マジで。

 トンスキオーネは契約のもとに、死んでも死なないプレイヤーと同じ扱いになる。

 だから爆発したところで別に構わない。

 そして手榴弾程度の爆発なら、今の俺は耐え切れる。


 だが、街中ではNGである。

 一緒に仲良く獄中生活する気か?

 興味がないといえば嘘になるが、それは今じゃない。


 というか、こいつ。

 俺がジョバンニ相手にこの自爆戦法でやられたから、こんな嫌がらせしてるんだろう。

 だったら非常に嫌なデブだな!


「残念ながらその規模の自爆なら対策は考えてある」


 左足でトンスキオーネの後頭部を小突き、爆発しようと強い魔力反応を見せる手榴弾を口元から離す。

 そして、すぐに右足で踏みつけてミリの隙間もないように潰す。

 もっとも、そうなると起爆のリミットが来なくてもすぐに爆発してしまうのだが、そのまま──、


「──リフレクト」


 爆破の衝撃は下方向へ反射され、ドゴンッと、地面だけをえぐる結果になった。

 やはりリフレクトは強いな。

 舐めプせずに切り札として最後まで取っておくべきだったんだよな。

 あの時の戦いでは……。


「おら次だぜ」


「もういい」


 まだ何かしようとしていたので、トンスキオーネの魔銃を持つ右腕を切り落とした。


「ぐあっ!?」


 腕を抑えるトンスキオーネに言う。


「俺も俺の考えで動いてる、だから心配しなくていいから」


「……チッ、確かにそれで今まで上手くいってたかもしれねぇ……だが、色々と凡ミスとそのあとのゴタゴタを放置することが多いからこうして俺がテメェんとこに来てんだろ! めんどくせぇな!」


 トンスキオーネは「それに」と言いながらさらに捲し立てる。


「いきなり南の拠点捨てて王都へ来やがってよ! あの辺境の地にどれだけ資源があったと思ってんだ! 宝の山だぜ!? そのために人員配置の計画練ってたのにテメェのおかげでパーだぜパー!」


「……本音はそれか」


「それも、だよカス」


 残った手の小指で耳をほじって、それをふっと吐き出したトンスキオーネはそう言ったあとに何やら意味深で凶悪な笑いを浮かべる。


「俺も時間押してるからな……そろそろおしまいにするぜ」


「む? やけに自信満々だな。勝てるわけないだろ」


「はっ、今回に限っては俺はお前に勝てんだよボケ」


 その瞬間、後ろに強烈な気配を感じた。

 何もなかった俺の後ろにいきなりである。

 こんなことをできるのは、ただ一人。


「久しいのう、ローレント」










うーむ、コーサー編はいずれやります。

が、その前にまずは師匠と再開です。

トンスキオーネの発砲で街がえらいことになっていますが。

どうなることやら笑




やっぱり新作も上げつつ毎日更新ってなるとつかれるなぁー!

ってことで明日もGSO更新されますー。

お楽しみにぃ。






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