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更新少し遅れてしまってすいません。
悪銭身につかずの状況で、まんまと一つの集落ドロップアイテムを逃してしまった俺は、そのまま森を縦横無尽に走り回って、その他二つのゴブリン村を見つけてぶっ壊した。
今回は相手の戦力をコツコツ調べて……ってことはせずに正面からローヴォと一緒に斬り込んで、刎ねたり潰したり、消しとばしたりして速攻片付ける。
敵地の被害を考えない多対一の状況だと、自由奔放に攻撃ができて大変よろしい。
ちなみに俺が見つけた集落は、クズメ族とカスガ族のもの。
ワルダ族のようになんだか強そうなゴブリンはおらず、自前で木とか葉っぱを使って作り上げた家屋。
うーん、非常に勿体無いことをしてしまった。
もっと奥に行けば、ワルダ族のような規模よりも大きな集落があるのだろうか。
鬼の王ドクトルという気になるワードを聞いてしまった今、なんともでかいのを探してアタックを仕掛けてみたいものだ。
『一から集落を築き上げても、その他部族や人に見つかって根絶やしにされることの方が多いから、滅多なことでは王種が埋まるはずないじゃん』
未だ見ぬ宿敵を求めて、森の木々を飛び移りながら奥へ奥へと向かっているのに、羅刹にそんなことを言われてしまえば萎えるのも必然である。
「萎えー」
気分を害された俺は、ツクヨイから買い物終わって内装を一新したから見にこいという呼び出しメッセージをシカトして、テンバータウンに直接テレポートしてログアウト。
つまるところふて寝をしたのだった。
森を散々駆けずり回って時間もいい時間になっていた部分もある。
あるのだが、それよりもなんとなく面倒臭いフレンドからの絡みを断ちたかったっていう気持ちの方が大きい。
ボルテージが上がっているのだよ。
エリートゴブリンからのドロップアイテムの口になっているのだよ。
そしてログインしてまず確認したレベル状況はこちら。
プレイヤーネーム:ローレント
レベル:80
信用度:130
職業欄▽
[上級魔術師(無)]
[漁師]
[契約魔法師]
残存SP:41
残存MP:2
ステータス▽
STR:158
DEX:118
VIT:196
AGI:122
MND:272
少しずつステータスも上がってきている。
フルバフつけたら2000はまだ行かないだろうが……レベル100くらいに到達したら確実にMNDは2000に届きそうな気がしてくる。
本来ならば、一日中森を駆け回る。
なんてことは難しいらしい。
だが、できている。
まあ、初期から長時間ログインと長時間狩りしているおかげかな。
契約モンスター▽
【ローヴォ】バッドラックウルフ:Lv27
特殊能力:悪運の瞳
装備:合わせ翅と翡翠の首輪
【ノーチェ】幻影馬:Lv20
特殊能力:残像
装備:馬装一式
【ルビー】クリムゾンコニー:Lv25
特殊能力:空蹴
装備:無し
【コーサー】ボス:Lv70
特殊能力:組織化、カリスマ
装備:鋭い黒鉄のレイピア
【トンスキオーネ】アンダーボス:Lv94
特殊能力:組織運営、カリスマ、商才
装備:魔銃
契約どもはこんな感じ。
ローヴォにクラスチェンジの気配はない。
まだまだ先なんだろうな。
相変わらずクラス3以上のゴブリン根絶やし大作戦や、その前にダンジョンでがっつり狩りをしてもまだレベル80台である。
くそデブに経験値吸われてる、こいつちゃっかりレベル上がってくれてんだよな。
見つけたらタダじゃおかねえ、おかねえったらおかねえ。
あの腹に溜まった贅肉をねじ切り尽くしてやりたい衝動に駆られてくる。
まあ、俺のレベルが90台に上がれば、その大きなレベル差ペナルティも改善されるかもしれないし、今は辛抱だ、辛抱の時なのだ。
「……ノーチェはともかくとして、コーサーのレベルの上がり幅が少ないな……」
定期的にテイムクリスタルに入れているノーチェのレベルアップ速度が遅いのはまだわかる。
だがコーサーは常に街で活動してるから、経験値が均等配分されてしかるべきなんだが……。
あれか、組織に経験値回ったり、経験値徴収機能があるから、俺からフィードバックされている経験値に差でもあるのか?
そうだ、ちなみにNPCがテイムクリスタルに入るかは確認していないのでわからない。
今度トンスキオーネあたりでも、ドッキリがてら入れて見てもいいかもね。
「がぁう」
「ん? 心配してるのか?」
「がう」
コーサーという単語を聞いて、ローヴォがやや心配そうな反応をする。
「そうだな……あいつはアンジェリックをかなり慕ってたし、アンジェリックもコーサーを結構信頼してたもんな?」
それも、親衛隊よりも側につけるレベルで。
ショックはでかいだろう、でも俺がどうすることもできないし、そもそもコーサーとか親衛隊に頼まれていたアンジェリックの救出を失敗した身でもある。
武道の世界では、勝者が敗者にかける言葉なんて無く、その逆もまた存在しない。
負けたという事実がただ残るだけの状況で、俺に何が言えるのだろうか。
俺は弟子以外にかける言葉を知らない。
そもそも弟子すら取ったことないので、妹弟子であるツクヨイにも弟子ってこうだよ、って漠然としたものを背中で教えることくらいしかできないもんだ。
有り体に言えば、未熟な俺からかける言葉なんてどこにもないわけだ。
そんな俺からかけた言葉が、コーサーに通じるか?
考えても無駄だな、部下のこととかはトンに任せて、俺は俺がやれることをやるのみだ。
敵同士って、結構因果なもので。
決着がつかなかった時は何度もなんどもかち合うことがままにある。
現実でもそうだったんだから、ゲームの世界でもきっとそうだ。
再び相まみえた時、立っているのは以前よりも強くなったものだけ。
俺がこうしてるうちにもジョバンニとかは気持ち悪いアイテムでも錬金してそうだ。
だったら、さらにレベルを上げて強くなるだけである。
色々と邪魔されて相打ちに持ち込まれたが、次は絶対に遅れを取るつもりはない。
魔人呼び寄せられようが、全員斬り倒してあいつの首を刎ねて市中引き摺り回しにする。
「グォン」
「おっとすまん」
まーた恨みつらみに囚われかけた。
ダメだな、なんだかアレからイライラする。
心が弱いのだ、心が。
「ローヴォ、一旦ログアウトする」
一度リアルで体を動かし、そしてもう一度ログイン。
気を取り直して、王都へ直接テレポートした。
そして、ローヴォを連れて狩りに行こうと王都の正門へと向かうと。
「おいこらコンシリ、テメェ待ちやがれ」
トンスキオーネが腕を組んで仁王立ちしていた。
どうどうと葉巻をふかし、周りの人から煙たがられているのだが、気にする様子もなく眉間にしわを寄せて俺を睨みつけている。
「なんだ?」
「なんだ、じゃねぇよ。俺がここに来た理由わかってんだろ?」
「え?」
「脳筋か? コーサーの件だ、ちょっとはテメェも手を貸しやがれ」
トンスキオーネ、登場!
久しぶりの登場ですね!
残念ながらマフィア編ではないです!
とりあえず色々と理由があってトンスキオーネはきました!
ローレント「脳筋だと?」グイッ
トンスキオーネ「イダダダダ!!! そうやって何かにつけて腹の肉をつまむから脳筋だっていってんだよダボォ!!!」




