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 ゴブリンの集落、久しぶりである。

 テンバー南方の森では、制限時間のあるシークレットエリアだった。


 ここもそうなのかな、とゴブリンの集落(厳密に言えばワルダ族の集落)に近づいてみるが、インフォメーションメッセージはない。

 ってことは普通に生活してるだけなのかな……?

 GSOは生態系とか気にして狩場選ばないといけないからな。

 テンバータウン周辺は結構魔物がポップしやすくなってるらしいが、そこから奥に行くと虫以外は少し間を置いたりして狩らないといけなかったりする。

 ギルドの依頼もそれでちまちま変わってくるというし。


 ちなみに初期の頃、南の森を荒らしまくってたのは俺だ。

 トモガラはゴブリンとかオークのシークレットエリアに入り浸っていたらしいが、矯正ポップするエリアだったということで特に生態系に影響はなかったらしい。

 でも独占とか、根こそぎ報酬持ってったりとか、あいつもあいつで悪どい。

 開拓と称して、徐々に、徐々に森の入り口付近から木を伐り倒して行ったのもトモガラだ。

 俺は知ってるんだぞ、最初に見たゴブリン注意の看板。

 こっそり外して新しく刺し直し、それとなく森削ってるのがバレないように小細工してるの。

 みんな知ってる。


「さて……」


 インフォメーションがあろうがなかろうが関係なかったな。

 達成報酬がないのは少し痛いが、倒せば経験値は入る。


「狩るか」


「がぁう」


 ローヴォも臨戦態勢だ。

 久しぶりの骨のありそうなゴブリン狩りということで、気合が入っている。


「まず、は……」


 狩りのためにざっとワルダ族の集落を観察しよう。

 集落は廃村を利用したもので、そこそこ広い敷地にゴブリンがたむろしているようだ。

 鑑定できる限り鑑定を行うが、鑑定に感づかれることもあるらしいので、明らかに上位クラスぽいゴブリンには使わないでおく。

 その辺りがはっきりしていないが、感知系のスキルによるものだって見通しがあるらしいな。

 ちなみにカイトーとか三下さんはバッチリ気づいてくる。


「……とりあえず中入るか」


 集落一番中央にある壊れかけているが、そこそこ大きな建物。

 窓が開いていて、中で何やら作業をいそいそと行っているゴブリンがいるのでローヴォと一緒に視認転移。


「──ケヒッ」


 タイミングを合わせて後ろに転移し、そのまま首をへし折った。

 HP全損を確認し、静かにドロップ化させる。


 魔石……くらいだな、いいドロップアイテムは……。

 ゴブリンは大体そんな感じなのだろうか、金銭的にはあまり美味しくない。

 敵を倒してお金をドロップする、なんてGSOではないからなあ……。

 実入りが薄い討伐は、ギルドでクエストを受けた方がいいっぽい。


「ローヴォ、このまま潜伏しつつ少しづつ数を減らしていくぞ」


「がぁう」


 そんなやりとりをしながら、次の部屋に向かう。

 ちなみに、このゴブリンは部屋の中で籠やら衣類やらを作っている生産タイプだった。


「ッ!? ゲ──」


 廊下を歩いていたゴブリンに見つかりそうになった。

 すぐさま、刀を喉に投げつけ声を出せないようにしようと思ったのだが、羅刹ノ刀は勝手にゴブリンを一刀両断した。


『最近、出番、少なくない?』


 き、気のせいだろう。

 というか、血の匂いで感づかれたらどうするんだ……。


『血、出ないから』


 そうだった。

 回復させないが出血もさせない、そんなえぐい刀なのである。

 便利だな、本当に。

 だが、あまりの状況に言葉を失っているだけで、首を切られても喋ることは可能だ。

 叫ばれる前にトドメを刺して次の部屋へ。


 どんどんいくぞ、と思って部屋を開けると。

 ……小さなゴブリンが集団で座っていた。


「む」


「キ、ケキキ……」


 いきなり現れた俺とローヴォに怯えている。

 だがすまんな、みんなまとめて両断だ。

 雑草を無造作に刈り取るように、刀を振って全てのガキゴブリン達をドロップに変えた。

 うーん、クラス1のゴブリンは魔石を落とさなかったが、こいつらもそんな感じみたいだ。

 養殖も検討するべきことですが、半端に知性持って社会性築く手合いはNGだよな。


「がぁう」


「いやいや、自然の摂理だけど」


 強者が敗者を殺すのなんて、大体そんなもんなんだ。

 ややためらいの姿勢を持っていたローヴォは優しいな。

 だが、やられてからやり返す、これは敵味方がはっきりしていていいものだが、世の中最初の一撃で確実に殺しに来る輩も存在する。

 そういうのを前にして一発もらったからお返しする、っていうの甘い甘いのだ。


 人と魔物っていう明確な違いがある時点で、情け容赦なんていらないんだよ。

 なんて、ローヴォを助けた俺が申しております。

 そういう部分があるから非情になり切れてないのかも知れんけども。


「群れの長を契約を持って無理やり従わせるのは可能だけど、その配下は契約は関係ないから、下克上が生まれて集団が敵に回ったら厄介だろう?」


「がぁう」


 なんとなく納得してくれたようである。

 そもそも、ローヴォを助けたのは……。


 何も知らない俺をPKしてきたバカどもを倒す際に、狼の群れが手助けしてくれた。

 っていう、ただそれだけの恩を返しただけなのである。

 テイムモンスターとして今みたいなつながりになっているけど、出会いが違えば俺はローヴォを狩っていた側。

 まあ、そこは数奇な巡り合わせってことで、置いとこう。


『私は、そんな容赦ないところに痺れる、憧れる』


「……」


『さすが外道持ち。そしてただの魔剣まがいのアイテムから羅刹という名の私まで進化させた男、正直惚れた』


 あっそう……武器に惚れた腫れたもないんだが……?

 まあいい、とりあえず殲滅した。

 当然ながら部屋に金目の物はないようだ。

 村の中央にあって一番危険が少ないから、ゴブリン保育園みたいな感じだったのかな?


 とりあえず。

 あとでこういう家屋は燃やしてここに住めなくしてやるとして……他の家に向かおう。

 生産系ゴブリンがいるならば、色々と作って保管しているところがあるんじゃないか?

 それを考慮するならば……薬草溜め込んでたりするだろう。


 南のゴブリンは薬草直喰いだったが、ここはどうなのか、非情に気になる。

 そう考えると野蛮だな、南って!







え!?

ゴブリンの子供!?

自然ポップじゃないの!?


この疑問の謎は、あと2話くらいさきで解決します。

この辺の話が終わったら、一旦幕間的な感じて、他の地域へ向かったプレイヤー(モブ)のレポート話でも突っ込もうと思っています。

よろしくお願いいたします。

GSO2巻も発売中です、ぜひよろしくお願いいたします。

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