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「とりあえず、調査はこれでおしまいね……まさか奥まで行かずにボスクラスの魔物が出てきて、それを倒す報告をする羽目になるだなんて思わなかったわよ」


 冒険者ギルドの横に併設されたカフェテリアみたいな場所で、ラパトーラはジョッキに注がれたビールによく似た“エール”と呼ばれる飲み物を一気に飲む。


 冒険者ギルドに登録している人なら、格安で利用できるという休憩施設らしい。

 当然ながら俺は初めて利用する形になる。

 テンバーでも、ノークでもテージでも、ギルドに全く行かないタイプだったからだ。


「でもよかったな、詳しい調査報酬だったり、いろいろ色をつけて貰えたんだろう?」


「そうね。その辺は感謝してるわよ」


 クォーツドレイクを倒してから、一応最奥の方までダンジョンを進んでみた。

 だが、クォーツドレイクよりも格上の魔物は存在せず。

 あれがダンジョンの奥に巣食ったボスであると暫定的に認定し、そのまま俺のテレポートで一瞬にして王都へトンボ帰りしてきたのだ。


 ドロップアイテムは当然倒した俺がいただくとして、そのほかの依頼達成報酬はラパトーラが全てもらうことに。

 まあ、俺は依頼を受けてないから当然だし、今回のダンジョン探索ではいろいろと収穫があったからな。


 ぐはは。

 イシマル、ミツバシ、ガストンにマップ情報を送って、ストーンゴーストの確保を頼んであるのだ。

 残念ながら追加で見つけたのは3体程度。

 だが、それでも金のなる木としてこれから俺に富をくれる、そんな気がした。


 あのダンジョンは、これから正式にギルドの調査が入り、石材系の魔物の狩場として有効に利用される日が来るのだろう。

 魔物が狩りつくされるまで、王都の近場にできた鉱石ドロップ生産所みたいなものだな。


 うーん、そう考えると……。

 魔物の出現が固定されている今回のような自然迷宮ダンジョンを私的に確保するのは、なんだかとっても良い気がしてきた。

 あのダンジョンは王都からそれほど距離も離れていない森の中にあるものだから、あんまり悪どいことはできないだろうが、誰も知らない遠く離れた土地にあるダンジョンならば、ホームモニュメントあたりを持って行って確保するのってどうだろう。


 ……そう考えると、南の辺境の地って結構プレイヤー拠点として確保できる場所が多く。

 宝の山のように思えて来る。

 トンスキオーネも「南だ、南が臭え、金臭え」ってずっと興味を示していたし、ここ王都でやり直しを図ったのは間違いだったかもしれん。


 だが、もう王都にみんな来ちゃった。

 一応このゲームの体裁はMMORPGなんだから、運営はその南の辺境の地をどんどんプレイヤーで開拓していくことにこのゲームのストーリー的な意味合いを持たせていたのかもしれんが、第一線だった連中はみんなこっちに来ている。


 プレイヤーも南よりも北へ北へと足を進めているから、その運営の筋道を取っ払っちゃおうぜ、って感じのが第二弾アップデートとして、あらわになったのではないのだろうか。


「ねえ……ローレントってさ」


「ん?」


 ルビーを撫でながら物思いにふけっていると、ラパトーラがジョッキを両手に持って話しかけて来た。

 少し顔が赤い。

 酒が回ったのだろうか。

 金が入ったからといってその日のうちに使いすぎるのは良くないことだぞ。


「今王都にいるの?」


 それが王都で暮らしてるのかって意味ならば、違うな。

 依然として俺のログイン拠点はまだテンバータウンのスティーブンの家である。

 ただ、王都から少し離れた小屋に繋がってるから、ある意味王都(の近く)に住んでいると言えた。


「まあな。しばらくは王都を拠点として活動する」


 王都にずっといると俺の場合かなりお金を取られるから、あの離れの小屋はすごくありがたい。


「ふーん」


「……なんだ?」


「いやなんでもない……」


 なんでもないと言う割には、何か言いたげな表情をしている。

 なんだろうか、はっきり言わないと伝わるもんも伝わらんぞ。

 ただでさえ、こう言う雰囲気を察した時の思考が斜め上に行きすぎとか、うるさいチビに言われるんだし。


「なんでもないなら、なんで聞いた」


「いや……そんなに深刻な話じゃないんだけど、宿代浮かしたいから家があったら住まわして欲しいなって……その元だけど、又弟子のよしみで」


「はあ?」


「い、いいでしょ! 協力するって言ったじゃない! 一緒に家住まわせてくれたって良いじゃない! ……ってあれ、何かしらこのわんちゃん……」


「ん?」


「わぉん」


 視線を下ろすと、いつの間にかローヴォが俺の隣にきていた。

 え、なんでローヴォが……って思っていると、ギルドの入り口から叫び声がする。


「はああああああああああああ!?」


 聞いたことある声。

 ツクヨイだ。


 しまったぞ。

 ついに居場所がバレてしまったか。

 俺を知る人物なら、冒険者ギルドとかいかないだろうと思って割と穴場かなと思ったんだけどな……。


「ちょ、ちょちょちょ、今なんて言いやがりました!? ってか、やっと見つけたと思ったら知らない女の人と一緒にいるし、見つけて声をかけようと思った……い、家に住まわしてって……」


 ツクヨイは、そう言いながら足を大きく鳴らしてズカズカと俺の前まで来ると、背伸びして俺の襟首を掴んで顔を近づけた。

 鼻の穴が大きく開いてフーフー言って、目が血走っている。怖い。


「ど、どどど同棲でもするんですすす!?」


 すすす?

 すすすって何。


「するわけないだろ……」


 ログアウトしたらそもそもゲーム側にはいなくなるわけだ。

 それ以外は街中、もしくはフィールドで活動してるってのに、そんなバカなことがあるわけないだろうに。

 だが、興奮したツクヨイに、俺の弁明は通じないだろう。

 そんな気がした。


「誰よ、そこのチビ」


「チビっ!?」


 俺の目の前でギャーギャー喚くツクヨイを見て、ラパトーラが少し不機嫌な顔つきになっていた。

 うるさくてすまんな……。


「あなたこそ誰です!? っていうか初対面の相手をいきなり蔑称で呼ぶなんて、失礼極まりないですねっ!!」


 正論だ。

 俺でも初対面で普通の人だったら敬語使うんだけどな。

 そう言うところが、スティーブンとか俺をバカにして喜んでいたあのパトリシアの弟子っていうか、こいつの嫌なところだよな。


「私がチビなら、あなたはビッチですよビッチ!! やーいビッチめ!!」


 どっちも失礼同士だった。


「何よ!? ビッチって!!」


「はあ!? ビッチはただのビッチですよ!? 知らないんですか? でも粗相で失礼なビッチには教えてあげませんけどね! このビチビチビッチ!!」


「……あんた、なんだかわからないけど、私を怒らせないほうがいいわよ?」









出会ってしまった。





ちなみに、作中では文章量がえらいことになりそうなので、あとがきにてステータス系の補足しておきます。

ダンジョン探索にて、ローレントのレベル、契約モンスターたちのレベル少し上がっています。書いてないだけで。


で、その際に一部スキルポイントとか、スキルパラメーターの設定等で変更なのですが……。

確かスキルレベルが上がるとともに、振りすぎたスキルポイントは還元される優しい設定、としてあったんですが、ちょっとそれだと、優しすぎるかもしれないな、ということで。

スキルレベルマックス時に、マックスポイントと当時にスキルポイントも還元。にしたいと思います。

作中の文章の変更、もしくは話の中でチラリと補足しておきますので、話の展開には変更ありません。





518話以降のステータス。

プレイヤーネーム:ローレント

レベル:75

信用度:130

職業欄▽

[上級魔術師(無)]

[漁師]

[契約魔法師]


残存SP:16

残存MP:2


ステータス▽

STR:150

DEX:110

VIT:188

AGI:115

MND:254


スキルツリー▽

【マジックブースト】Lv42

効果値:42/70

消費値:42/70

詠唱値:70/70(3)

【魔装】Lv12(道場称号六段スキル)

効果値:12/120

消費値:12/120

詠唱値:1/1

【エナジーブラスト】Lv37

効果値:37/70

消費値:37/70

詠唱値:70/70(2)

【マジックエッジ】Lv31

効果値:31/70

消費値:31/70

詠唱値:70/70(2)

【マナバースト】Lv39

効果値:39/70

消費値:39/70

詠唱値:70/70(2)

【スペル・インパクト(P)】Lv74

効果値:74/120

消費値:74/120

詠唱値:120/120(1)

【ナート・エスカレーション】Lv17

効果値:17/50

消費値:17/50

詠唱値:50/50(2)

【ナート・マジックアームズ】Lv17

効果値:17/50

消費値:17/50

詠唱値:50/50(2)

【テレポート】Lv7

効果値:7/120

消費値:7/120

詠唱値:1/1

視認した範囲に転移する(再使用待機57分30秒)

指定された範囲への転移(再使用待機57分30秒)

フレンドリストから任意の人物の場所へ転移(再使用待機57分30秒)

【アポート】LvMAX

効果値:30/30

消費値:30/30

詠唱値:1/1

・制限解除、無詠唱、ストレージ

【アスポート】LvMAX

効果値:70/70

消費値:70/70

詠唱値:1/1

・制限解除、無詠唱、ストレージ






こんな感じです。

スキルレベルマックスになれば、マックスポイントととともに還元されます。








こばなし!あとかぎこばなし!(もう小話連載も1年以上になるんですね。今度まとめでも作ってみようかな……)

ボクササイズの体験に行って見ました。

スラリとした体型のトレーナーの方が美しすぎてあまり集中できませんでした。

筋肉質な女性はいいもんですね。

作中でてるいくつかの武術は、やってたり、体験してたり、山と海での動き方とかはよく行ってたのでそれを元にしてみようとか思っていたりするんですが、結局のところ、映画や漫画やアニメのような感覚で大げさに書いた方が面白いし使いやすいのですね。



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