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本日発売日!GSO2!
怒ったツクヨイに追い出されてしまった。
ハリスさんと女子会してるからしばらくどっかほっつき歩いて頭冷やして戻って来てって……どういうことだよ。
もとより女子会するなら俺を呼ぶなよ……。
「さてと、とりあえずどうするか」
ローヴォとノーチェの確認に行くか。
「……平和そうだな」
テイムモンスター用の施設で仲良く二人で身を寄せ合って眠っていた。
日差しも気持ちいいし、さもありなん。
そっとしておきましょう。
ならば俺はどうするか。
行くとこは決まっている。
闘技場だあ!
「さあさあ寄ってらっしゃいみてらっしゃい! この10キロ特大ステーキを食べれたらなんと賞金50000グロウだよー!」
「なんの、こっちは大食い選手権だー! お題目はケーキ! あまーく重たい生クリーム地獄に口の中パサパサスポンジ地獄だー!」
「いやいや、こっちはホットドッグ早食い対決! 此度の最高記録は10分で50本! 優勝者には賞金はもちろん、ベストレコードを叩き出した奴にはさらなる賞金上乗せだー!」
「お前らそんなチンケなのやってんじゃねーよお! こっちはアラドから大量に仕入れた米をウィズラドからの香辛料を芳醇に使った最強ルーのカレー早食いよおっ!! レアだぜ? こんなレアな食いもんを腹一杯冒涜できるやべぇ大会だぜごるぁ!!」
「おおおお!」
闘技場横の出店エリアは前きた時と同じような賑わい。
大量に食べたが、あの時はこんな大食い、早食い大会はやってなかったような、気がしないでもない。
ツクヨイがいた早くしろと急かされていたから、ゆっくり楽しむ暇がなかったのだ。
「へい、にいちゃん珍しいな! うちで食ってけよ!」
「いやいやそのタッパなら、ウチで大食いしなきゃ満腹になんねーよ!」
歩くと声をかけられる。
うーん、どれも美味しそうだ。
カシミのスイーツは正直満腹とはなり得ていない。
だから暇つぶしがてら満足いくまで食してみるのもいいな。
賞金ゲットできればただ食いできるわけだし。
「こっちでステーキ食えよ!」
「ケーキがいいだろ! 甘くて頭スパークしちまうぜ!」
「いいや、ホットドックだ! うちのソースはこだわってんだ!」
「カレーだろ! 貴重だぞ!」
「そこまで言ってくれるなら、できれば全部食べたい。だから時間ずらしてやってくれ」
そう言うと、俺を誘っていた一同が固まっていた。
「そ、そうだぜ……普通に営業しつつ時間ずらしてやれば……取り合いすることなかったじゃねえか……」
「ま、まじかよ……気づかなかったぜ……」
「俺ら、料理一筋だから……考えてなかったぜ……」
「これからもそうするか……」
ば、馬鹿かこいつら。
普通に客の取り合いよりも順番決めてやったほうがいいのに。
そんなこと俺でもわかるぞ……。
と、思っていると今度は誰が先にイベントを開始するかで揉めていた。
ああもう……。
とりあえず甘いものは最後にとっておいて、先にステーキから食してやろう。
「まずはステーキからやらせろ」
「どこから目線だおい……ってまあ、客も来てなかったしいいか」
あんだけ呼び込みやっといて、客は他の出店に取られてるからお察しだよなこいつら。
まあいいだろう、とりあえずステーキ屋は「準備してくる」と言って、出店の奥で調理を始めた。
「……俺らってこいつに合わせてイベントやんなきゃいけないのか?」
「……さあ? でもまあ、人も来てなかったからいいんじゃね?」
「……こちとらカレーに仕入れしこたまかかってっから、大儲けできなきゃやべーんだ、こいつの食いっぷりにかけるしかねえんだよ!」
「そんなもん仕入れてんじゃねえよ。っていうかカレー屋、てめぇの単価高いのが客来ねえ理由だろ」
「はあ? ケーキ屋に言われたかねぇよ! スイーツこそ、群雄割拠の王都だぜ? 不動のカシミもいんだから、へぼいショートケーキのみって頭おかしいんじゃねーの?」
「はあ? あえて王道貫いてんだぜバーカ!」
「にしてもホールオンリーはおかしくね?」
「ばっかてめぇよお! ホットドッグ屋ぁ! てめぇもソーセージとパンオンリーだろが!」
「それが普通なんだよ馬鹿たれ!! ファストフードだぞ!! ってか屋台で軽食以外のでかいことやってるテメェららがおかしいんだよ!」
カレー屋、ホットドッグ屋、ケーキ屋の言い争いを聞いているうちに、ステーキが着々と焼きあがっていき、俺の前に積まれていく。
そのステーキピラミッドはまさに圧巻。
「はいよおまち!」
往来する人々が思わず足を止めてしまうほどのものだった。
「おお……」
「食べきれるか? 時間指定しねえくらいの代物だぜ? 肉は南で大量に降ろされてる牛肉よ!」
「なるほど」
だから親しみ深い匂いが、立ち込めているんだな。
とりあえずナイフとフォークを持ち、いざ実食。
「……お、おい……ペース早くないかあいつ……ケーキ屋よぉ」
「わかんねぇ……俺も数々の大食いチャレンジをやってけどよぉ……食う側じゃねーし……なあ、ホットドッグ屋?」
「いや、運営する側だったら普通推測できるだろ……馬鹿じゃね?」
「「なにい!?」」
うるさいな……。
まあいいや、とりあえず焼き加減は申し分ない。
ミディアムレアは一番好きだ。
「もぐもぐもぐもぐ、ソースはいくつある? もぐもぐもぐ」
「ん? おーおー、俺秘伝のソースをいくつか用意してんぜ! 欲しいか?」
「もぐもぐもぐ、全部もらおう、もぐもぐ」
テーブルに乗せられていくソース軍。
それを惜しみなく使い味を変えながらステーキを平らげていく。
「……開始から5分……も、もう半分かよ……」
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
やはり焼きたてが一番美味しいな。
ソースもそれぞれ味が変わって面白い。
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
「……ステーキ屋の野郎……固まってんな……なあカレー屋」
「……おう、逆に最初にチャレンジされなくてよかったかもしれねぇ……どう思うよホットドッグ屋」
「……確かに、かなり重たく腹にたまる牛肉を……あのペースで……」
「「「やべぇ、やべぇよ」」」
三馬鹿がそうこう言ってる間に、俺はステーキを完食した。
うむ、美味しかった。
そして賞金もいただきだ!
「うおおおおおおお!!!」
「すげええええええ!!!」
「あの量の肉を全部食いやがったあああああ!!」
歓声が聞こえる。
いつの間にか、周りに人が集まっていたようだ。
俺の食いっぷりを眺めている。
「いい食いっぷりだな!」
「うおおお、見てると腹減って来たぜ……!!!」
「今なら俺もチャレンジいけるかもしれねえ!」
「うっしゃ、いっちょやってみっかぁっ!!」
「うおーやれやれ! あの体に入ったんだから実はいけるかも知んねー!」
「俺は普通に注文するわ、ソースの種類も実はめっちゃ多いみたいだし、隠れた名店じゃね?」
「……お? おおお、チャレンジ? やっちゃう? ああ、普通に注文も? いいぜえいいぜえ! 俺の特製ソース大盤振る舞いだ! さあ寄ってらっしゃい見てらっしゃいってよお!!」
ステーキ屋に群がる人々を尻目に、俺は口元を袖で拭って次の店に行く。
そうだな、次はホットドッグ行こうか。
「ホットドッグ屋」
「お、おう……まじでやるの?」
「当たり前だ。チャレンジで頼む」
「う、うん……10分だよ? 一応言っとくけど、60個だよ? 本当にやる? ねえ、本当にやる?」
「やる、早く」
「………………わかったぜ……背に腹は代えられねえし食べたいやつがいれば出すのが男だ!! 今からホットドッグ早食いチャレンジだー!!!」
ここまでこれたのも皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
方角さえ教えてもらえればそっちに足を向けて寝ないようにします。
大食いバトル編(ぇ
あとがき小話。




