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507/626

-507-※※※幕間・農地を荒らす大鷹※※※

時系列的には399話のあと。


「ローレンドさ」


「うん?」


 海パン履いてプールサイドでローヴォと寛いでいると、巨大な影が姿を表した。

 太陽が遮られて、逆光で顔がよくわからないが……2メートルを超える体躯ですぐに誰だかわかる。


「どうしたブリアン」


 そう、ブリアンだ。

 ブリアンは巨体をもじもじとさせながら、近づいて来てプールサイドのベンチに座った。


 バキャッ!


 破壊音と、遅れて聞こえて来た豪快な尻餅音にローヴォがビクッと目を覚ます。


「こっだらことになるなんて、恥ずかしいだあっ!」


 恥ずかしそうに両手で顔を覆うブリアン。

 とりあえず巨体に差し支えなくゆっくり腰を下ろせるところを探す。


「……温水プールいくか……?」


 土建屋チームによって健康ランドばりの施設に作られたジャグジー付きの温水プール。

 そこなら、彼女の巨体でも何も破壊することはないだろう。

 うん、水に浸かれば浮力で多少なんとかなるし。


「んだ」


 ベンチをアスポートで適当な邪魔にならないところに転移させてどかすと、


「ナート・エスカレーション、ナート・マジックアームズ、マジックブースト、魔装」


 フルバフ状態になってから座り込む彼女の手を掴んで引き起こした。

 それでもかなり重たいんだが、ブリアンの体は一体どうなっているのだろうか。


「なんでスキルつかうだか?」


「重いから」


「んだ!? すっだら恥ずかしいことは乙女の前で言うもんでねえっ!」


 ブゥンッ!


 ひえっ。

 ギリギリで躱したけど、風圧が低レベル魔法職の初期風魔法スキルよりも出てる。

 本人はコミュニケーションだろうけど、これ下手したらプレイヤーキラーになってしまうレベルじゃん。

 あらかじめフルバフ状態にしといてよかったと本気で思った。




「ああ〜極楽だや〜」


 それから温水プールにやって来たわけだが、ブリアンが入水した瞬間。

 温水プールが流れるプールがごときになった。

 そして溜められていた温水が大量にお釈迦になった。


「どうしただ? ローレンドさも入れ、気持ちいいべ〜」


「う、うん」


 いつもオーバーオールにピッチフォークとかシャベル持った姿を見てるから。

 はっきり言ってブリアンの水着姿は目に毒というかなんと言うか。


 あんまり言ってはいけないことなんだろうと思うけど、なんで牛柄ビキニをチョイスした。

 これ、作ったのはセレクだと思うんだけど、おちょくられてんのかな?


 なんだっていいけど、ブリアンのサイズ感でビキニ姿。

 うーん、新世界。

 海や海岸線は良い修行の場でもあるし、水着を着た娘っ子はたくさん見て着たけど。

 GSOやってて今一番ファンタジーを感じてる。


「やんだ、そんなまじまじとみつめねぇでくれだよ」


「ご、ごめん……」


「セレクちゃんに頼んでリアルでも使っでる一番かわいいのをそっぐりそのまま作ってもらっただ」


 ……自ら頼んでたんか、これ。

 まあいいや。

 とりあえず隣に座ろう。

 近ければ近いほど水着が目に入らないからな。


「ローヴォちゃん気持ちよさそうだべ」


 心地よい温度の温水プールで、気持ちよさそうに目を細めて漂うローヴォを見ながらブリアンは表情を綻ばせていた。


「そうだ、何かようがあったんじゃないのか?」


「あ、極楽すぎて忘れてたべ。ローレンドさ、今日か明日は空いてるだか?」


「明日は空いてないけど、今日なら時間は取れるぞ」


 ちっこい妹弟子を王都まで連れてってやらなきゃいけないからな。

 まあ、ずっと前から約束していてはぐらかしていたのは俺が悪いから、責任持って同行する所存なのだ。

 二日後は闘技大会だし、時間が取れるといえばこの辺だ。


「おお! ちょっと頼みたい事があるんだべ!」


「なんだ?」


「西の農場をもう少し拡大しようと思ってるんだけんど……ちょっと厄介なモンスターがここ最近顔を出すようになってでよ、どっかのタイミングで退治を手伝って欲しかっただよ」


「ほう」


 そういえば、西の農地にはまったく足を運んでないことを思い出した。

 西の平原といえば、崖下のウェストバイソンが有名だ。

 牛肉量産エリアとして、いまだに健在。

 レベリングでも、うまくやればかなりの経験値が稼げるともあって、最近始めたばかりのプレイヤーにとってなかなか良い条件の狩場だったりする。

 解体ドロップだけでも、食料大量ゲットもできるしね。


 その代わりと言っちゃなんだが、仮すぎるとケンタウロス一族がいちゃもんつけてくるらしい。

 俺はハルピニアの盟友とかいう称号を偶然持ってたから割と当たり障りなかったんだが、ケンタウロスたちの信用度をある程度稼いでおかないと、その奥には進めない。


 もっとも、さらなる肉を求めその奥へ向かっても、明らかにレベルが違う牛のモンスター【ランペイジブル】がいてプレイヤーの侵入を阻む。

 ウェストバイソンと違って、プレイヤーを目視するだけでエリア全体のモンスターがアクティブになって特攻してくるみたいだから、生半可なパーティじゃまず無理だろう。

 崖という好条件もないみたいだし。


「了解した、すぐに手伝うぞ」


 西のエリアには、かねがね行こうと思っていたからな。

 新たな牛モンスターにも興味ある。


「おお! ありがてぇだあ! さっすがローレンドさだべ! おら達で退治しようと思っても、空に飛ばれたらどーすることもできないだよ!」


「空? 牛が暴れてるんじゃなくて?」


「なにいってるだ、崖がある限り牛なんて登ってこれないだよ?」


「あれ?」


 ブリアンは「うし、十分あっだまっだから早速行くべ」と立ち上がる。

 温水プールが流れるプールに変わって、さらに水量がガッツリ減った。

 ローヴォ、流されてプールサイドで頭をぶつけて溺れる。


「おら達農家が悩まされてるモンスターの名前はイーグルズっつー名前だべ。おらでも掴まれて持ち上げられるくらい大っぎな大っぎな大鷹だべや」







ちなみに2巻の人物紹介にブリアンいます。

無理言ってデザインしてもらいました。

イラストレーターさんに感謝です。








こうして、幕間書いてて思ったんですけど。

400話の時点で、ローレントが明日の闘技大会楽しみだって地の文で言ってまして……。


あれ?

闘技大会(の前日イベント)が終わったのって……ついこの間だったような。

なんて、ことになってまして、話の展開をもっとサクサクしていきたいと思った今日この頃でした。


いつもお付き合いいただきまして、誠にありがとうございます。

そう考えると一日二日でレベルバンバン上がる闘技大会の乱闘イベントって割と優秀ですかね。

なんてね。




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