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「おいおいおいおい!」


「聞いてねーぞ!」


 PKと睨み合っていて、かつ魔人の一撃から間一髪で逃れたプレイヤーが喚く。

 確かに聞いてないな。

 バッドトーキシックって黒いボコボコした血液の泡じゃなかったっけ?

 大柄なスキンヘッドの魔人が使用した魔閃というスキルは、ボコボコした瘴気の泡というよりも、俺のエナジーブラストみたいな放射だった。


「クククク、すばらしいですねえ」


「どうよ、俺の魔閃はそこいらの魔人とは比べもんにならねーぜ?」


 賛辞を述べるジョバンニに、大柄の魔人は胸を張ってそう豪語していた。

 周りの魔人は鼻で笑っている。


「魔人やべぇなおい」


「どうなってんだよ」


「とりあえず雑魚ども一掃してくれて、俺らは大助かりじゃん!」


 魔人の一撃で流れを一気にPKたちに持って行かれてしまった。

 まずいな。


「魔銀も用意してねえ奴らは何人いたところで雑魚は雑魚。おら、9対4だぜ? 俺たち一人でテメェら一人を相手しても残りの5人であとの雑魚はいくらでも蹴散らせんだよ」


 刀を構える俺の一歩前に出てそう豪語する魔人。


「……」


 どうする、確かに魔人の言う通りだ。

 プレイヤー勢は思ったよりも魔銀装備を持ってない。

 瘴気に当てられれば、バッドステータスにより動けなくなる。


 もし……もしも、だ。


 あの黒い閃光が魔人の力の一端だけに過ぎなかったら。

 奴らが本気を出せばいったいどれだけの規模になるのだろうか……?


 魔人との戦闘はどんとこいだが、ここは集団でのイベント勝利を目指したい。

 隙あらばジョバンニの首を刎ねて、羅刹で生け捕りにできるように準備してあるが……魔人たちもなかなかどうして、隙のない布陣だ。

 睨み合いで時間を保たせるのもそう長くは続かないだろう。


「うぜェな、なんであいつら魔銀もってねーんだよ」


「まあまあ、実際魔銀って最近出たばっかりのアイテムですから、仕方ないですよ」


 悪態をつく三下さんを宥めるモナカ。

 テージシティの魔銀イベント。

 あれからちょくちょく流通してきているが、数は芳しくない。

 ニシトモは、他の商売敵との競合の可能性もあると言っていたが……。

 まさか裏ギルドの奴らめ、このイベントを見越して圧力をかけていたとか?

 そう言った商売のやり取りはよくわからんが、可能性はあるな。


「ククク、睨み合いで時間を浪費するのものやめにしませんか?」


「なに?」


 とぼけてみるが、ジョバンニには筒抜けっぽいな。


「PKと、そしてパンピーの皆さん! 魔人側はこんなに強いスキルが使えるんですよ! そして──」


 先ほどよりも細いが、それでもとんでもない速さの黒い閃光がジョバンニの人差し指から飛んでくる。


「──このように、プレイヤーも扱えるようになるんです」


 そう告げた瞬間、PKも含めたプレイヤー達が湧いた。


「ま、まじかよ!!!」


「スキル公開してんのかよ!?」


「PKイベントって何? まさかプレイヤー強化イベントってこと!?」


「今までレイドボスとか先着順のイベント、指くわえて見てたけど、これからは俺らも簡単に戦えるじゃん!」


「ラッキー!!!」


「ひょえええ! な、なんだかよくわからない流れなんですけど!?」


「……おいおいおいおいィ、どうなってんだァ? いったい何がやりたいんだあいつゥ!」


 三下さんの叫びに俺も同意しておく。

 何がやりたいんだ。

 っていうか、さっきからこいつのプレゼンまがいのことにいいように利用されている感が否めない。


「もう……面倒だから斬りかかるか」


 ここまでグダグダしてしまったら、張り合いがない。

 話を聞けば聞くほど相手のよくわからんプレゼンに乗らされて、踊らされるだけのような気がしてきた。


 だから前言撤回だ。

 みんなで勝利して、なんてもうどうでもいい。

 思惑もろともお釈迦にしてやる、プレイヤーごとな。


「……それで第一拠点消えたんですよねえ?」


「ローレントォ、おまえトモガラ並みに単純だよなァ」


 そうだろうか?

 トモガラよりは流石にまともだとは思うが、どうだかね。


「なんにせよ戦場に犠牲はつきものだ。それでもジョバンニ狩れたら俺は鬱憤が晴れる」


「うわァ……だがまあ、賛成だぜ。魔人がプレイヤーを脅しに使おうが、関わってない奴らなんぞ、スキルひとつで流されるってんだしィ、犠牲犠牲ィ」


「まあまあ、もうどっちが悪かわかりませんね」


 苦笑いするモナカに言っておく。


「勝てば官軍」


「それもそうですね」


 さて、では気を取り直して魔人と戦ってジョバンニとハザードの首をいただこう。

 そう思った時、


「すいません、イベントごとなのに遅れました……って、なんですかこの有様」


 いきなり観客席の入り口からニシトモがトンスキオーネとコーサーファミリーの武闘派集団を連れて登場した。


「ニシトモォ!」


 ガストンの大盾の影に隠れていたミツバシがすがるように叫ぶ。

 ちなみに、生産組の護衛としてローヴォ、ノーチェ、ルビーがそれぞれ彼らのそばに控えてくれているんだが、大体が怯えるミツバシに寄り添ってくれている。

 本当にできる契約モンスター達です。


「おせーよ! もうだいぶ最終局面だぜ!」


「それについては申し訳ありません。何かと準備に手間取りまして」


「準備? いったいなんの準備をしてたのよ?」


 レイラの問いかけにニシトモがアイテムボックスから銀色に光る装備類を取り出して答える。


「ボスが魔人だと聞いて、魔銀装備一式をかき集めてました」


 ニ、ニシトモォ!!!

 できる男だ!!!


 ニシトモは細めで周りを見渡して唸る。


「ええと、必要ない感じですか……?」


「いや、必要か必要ないかで言ったら、必要だけど……なんだろう、魔人のスキル目当てにPK側についたプレイヤーもいて、なんだかもうしっちゃかめっちゃかなんだよな」


 苦い顔して状況を説明するミツバシに、ニシトモが「そうですね」と手をひとつ叩いて告げた。







「こっち側についてくれるプレイヤー様には、今回のみ格安ではなく、無料で魔銀装備を融通しますよ。はい、早い者勝ちです、どうぞ」






 プレイヤーがみんな戻ってきた。





プレイヤー(笑)

私が一般プレイヤーだったら、多分魔銀もらってからPK側にこっそりいきますね。(ゲス)







魔閃のかっこいい名前をまだまだ募集。

ちなみに感想で書かれていました掲示板の件は。


イベントごとはプレイヤーが使う掲示板ではなく。

あくまで広場やギルドなどに置いてある、大衆掲示板に告知するということです。

わかりづらくてすいませんでした。

明日もこのくらいの時間に更新します。


いつもGSOを読んでいただき。

さらに感想をくださる皆様に感謝です。

おかげさまで500話を超えて、これからもさらに更新進めていきたいと思います。

がんばります!






あとがきこばなし。

五島うどんを知っている方が意外と多くて驚きです。

あれ、めっちゃうまいですよね。

手元にあと900gあるので、大事に色々アレンジして食べています。

いつかうどんを登場させたいです。

グルメものを書く気はありませんが。



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