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ログインした。
いつものベッド。
スティーブンに間借りしている部屋からである。
ローヴォはいなかった。
デスペナルティ中だ。
正直ホッとする。
これで永遠の別れとか、辛過ぎる。
今日は一人か。
インフォメーションメッセージの確認からしよう。
[プレイヤーのレベルが上がりました]
[スキルポイントを獲得しました]
[称号”復讐者”を獲得しました]
[※※※フレンド登録者以外のメッセージを遮断しました※※※]
[毎日更新、日刊GSONPCS。詳しくは公式サイトをご覧下さい]
[ゲーム内動画収録機能についてのお知らせ]
[ゲーム内公式イベントについてのお知らせ]
[ツクヨイ様からメッセージが届いています]
[トモガラ様からメッセージが届いています]
[ガストン様からメッセージが届いています]
[セレク様からメッセージが届いています]
[イシマル様からメッセージが届いています]
[ニシトモ様からメッセージが届いています]
多いこと、多いこと。
そういえば、昨日プレイヤーキラーを返り討ちにしてレベルが上がっていた。
皮肉なことに、プレイヤーキルの経験値はかなり良い。
そしてアイテムも奪える。
アイテムはどうしたか?
武器とか装備、金になりそうな物だけ回収して、後は放置した。
時間経過と共に消えて行くだろう。
昨日の内にニシトモにメッセージを送っておいた。
ニシトモからもメッセージが届いている。
これは多分昨日の返事だろう。
順を追ってみて行こう。
プレイヤーネーム:ローレント
職業:無属性魔法使いLv19
信用度:60
残存スキルポイント:0
生産スキルポイント:4
◇スキルツリー
【フィジカルベール】
・軽減Lv5/5
・熟練Lv5/5
・消費Lv1/5
・詠唱Lv3/5
もうすぐレベル二十の大台へと突入しそうである。
連戦に次ぐ連戦。
雑魚も多いが、比率的に強敵もそこそこだった。
この上がり方も納得かもしれない。
スキル振りは詠唱を上げておいた。
正直、どっちでも良い。
後レベルを3程上げれば、スキルレベルマックスになる。
次は【息吹】で。
その次は【エナジーボール】に振るぞ。
【復讐者】アクティブ称号
パーティメンバーもしくは自身がプレイヤーキルされると稀に出現する。
[効果]
対レッドネームプレイヤー攻撃時、一時的に痛覚100%判定付与。
一撃につき信用度を5消費する。
称号を確認してみた。
とんでもない物があることですな。
ローヴォがデスして、信用がまたしても10減った。
デスペナって信用度マイナス10みたいだ。
え、二撃使ったらデスペナ並みの消費じゃないか。
使いどころ難しい。
【とある魔法使いの弟子】
スティーブンの家の宿泊などが可能になる。
【道場二段】
道場での階級。
特殊スキルが使えるようになる。
ほーん。
まったく気にしてなかったけど。
それぞれ効果があるのね。
息吹以外パッとしねぇな。
[ゲーム内動画収録機能についてのお知らせ]
ゲーム内動画収録機能についてのお知らせは、単純に新しく実装されたプレイ動画の収録機能に対する概要と、諸々の書面に対して、同意のチェックボタンがついてあるだけだった。
動画の保存先はどこですか。
ああ、RIOクラウドか、便利な世の中になったもんだ。
何を撮影する?
俺の見た世界か?
主観モードと俯瞰モードで選べました。
戦いの記録を取るなら俯瞰モードを選択しておこう。
[ゲーム内公式イベントについてのお知らせ]
公式イベント。
ちょっと公式サイトを覗きに行ってみた。
サイトトップにでかでかと広告が打たれている。
【待望のタイアップイベント第一弾!】
【町中が、闘技場に、……変貌する!】
【人気格闘VRゲーム、バトルコミュニケーション・オブ・エンカウントとのタイアップイベント!】
バトルコミュニケーション・オブ・エンカウント。
俺も地味にアカウント持ってる。
近未来、中世ヨーロッパ、古代ローマ。
もちろん近代、現代も。
そんな色んな時代背景の町を舞台に。
様々なルールで戦う。
ちなみに俺はトモガラのギルドに入れられてた。
チーム名は奔放流。
俺の職務は特務師範代。
まあ人数合わせみたいなもんだったけど。
期間中は決闘コマンドが使えなくなって。
町中でプレイヤー同士の戦いが推奨される。
個人でも、チームでも動いて良い。
んでもって、戦いに勝利すると経験値とポイントが入るのね。
敗北によるペナルティは無し。
期間中は取得ポイントによるレースが行われる。
毎日その日のポイントを集計してトップ100位まで賞金が出る。
それと同時に格闘技大会の受付も開始。
タイアップイベントが終わった翌日。
テンバータウンにてプレイヤー参加型の闘技大会が開催されると。
おお、優勝は豪華賞品だって。
痛覚は100%固定。
……これで参加する人いるのかな?
まあ参加賞もあるって書いてるし、遊び感覚でも参加する人いそうだね。
前向きに、検討しよう。
[ツクヨイ様からメッセージが届いています]
さて、ようやく個別メッセージを開いて行く。
ツクヨイから。
『回復のスクロールは完成しています。あとレイラお姉様と話し合ったんですが、血清には毒蛇がまるの状態での素材が必要みたいです。機会があれば持って来て頂けると幸いです。と、言っても猟師スキルってなんだかんだ嫌厭されてますですねぇ……』
うーむ。
猟師の知り合いと言えば。
思い当たる節が一つだけ。
でも、フレンド登録してない。
するつもりは……、まだわからん。
最悪猟師スキル取れば良いや。
[トモガラ様からメッセージが届いています]
『闘技大会、絶対でろ。懐かしのメンバーもいる』
わかりやすいメッセージでした。
と、言う訳で出場の方向で。
懐かしのメンバーって、俺あんまり覚えてない。
非常勤の人数合わせだったし。
戦闘中は目の前の敵を打ち砕くことしか考えとらん。
[ガストン様からメッセージが届いています]
『銀の使用法であるが、聖属性という対魔の力が宿るみたいである。錬金術に回すことで、ミスリルと呼ばれる魔銀も精製できそうな話も上がっているが、如何せんまだプレイヤーレベルもスキルレベルも低い。なので正直持て余しているのである。これで武器を打っても良いであるが、耐久度は期待できないである』
とのこと。
保留でお願いしますと返事しておこう。
聖属性よりも、魔銀の方が気になる。
[セレク様からメッセージが届いています]
『ねえねえ、ブリアンからコーヒー豆色々貰ったんだけど、今度一緒に飲みましょうよ?』
うむ、それはいずれ。
装備を修繕依頼をする時に。
[イシマル様からメッセージが届いています]
『宝石職人だっけ?まあそんな感じのスキルもったプレイヤーとコネができたから、近いうちに紹介するわ、俺がログインしてる時に石工所きてくれ』
来たぜ、宝石職人。
これは近いうちに顔を出しましょう。
そうなると、パンドラストーン集めに走らなきゃ。
スティーブンに頼んで再び修行の地へ連れて行ってもらう必要があるな。
[ニシトモ様からメッセージが届いています]
『近日中に持って来て頂ければ対応します。あと、個別依頼なんですが、この間行商クエストで第二の町であるノークタウンに窺った際、水運の事で色々と情報収集してみた所、取引先の商会でも再び水運が使えると商売の幅が広がるそうなので、是非とも着手して頂きたいとの事です。東の川はノークタウンにも繋がっているようでしたし、いずれ詳しい話を設ける機会を頂けたらと思っています』
着実に前に進んでいる。
行商クエスト、気になります。
機会があれば俺も同行させてもらえないかな。
なんか報酬が良さそうな匂いがするよ。
フレンドリストを確認して。
今日の予定が決まった。
さっそくいつもの公園で飯を食べた後。
ニシトモの元へ向かうことにする。
「あら? 今日はローヴォちゃんいないんですね」
「昨日プレイヤーキラーにやられてしまいまして」
「ええ! ど、どうなるんですか!?」
「いえ、一応一日のデスペナ中みたいです」
それを聞いてホッとするサイゼ。
今日はホットサンドでした。
具材は、ソースがかかったお肉。
そろそろフィッシュサンドが食べたい。
川へ行くべきか。
そこへ、ツクヨイがやって来た。
「むー、メッセージには返信してくださいよ」
「すいません」
一杯来てると返すのが面倒なものだ。
最重要案件であるニシトモにはちゃっかり返しておいた。
本日中に向かいます。とね。
「では、回復のスクロールです。ちなみに今日のご予定は?」
「どうも、これからニシトモさんの所へ向かう予定です」
「同行しても良いですか?」
少し考える。
まあ人手があるに越したことは無いだろう。
「多分大丈夫だと思います」
「わーい! あ、サイゼお姉様! 私はベーコンレタストマト下さい!」
「はい少々お待ちくださいませ!」
中二臭いセリフをのたまうツクヨイ。
だが、その実態はただの菜食家であった。
鑑定してみよう。
【ツクヨイ】職業:闇属性魔法使いLv13
・錬金術師
以前に比べてそこそこ育っているな。
錬金術師の方も、見習いが取れている。
皆、日に日に成長していて、俺もうかうかしちゃいられないなあ。
「あれ、ローレントさん、……もうレベル19なんですか」
「え? まあはい」
「早過ぎますですよ、いくらなんでも」
「あれ、多分トモガラも同じくらいじゃないかな」
「きえー! ぶらっくぷれいやぁの私でも、レベル上げるのに頑張って森に籠ってるのにぃ!」
狩場によって経験値効率も変わってくれば、組んでるパーティによっても変わってくる。
俺なんか特に、ほぼほぼソロに近い状態で、ずっと狩りし続けてるから、レベルの上がりも早いんだろう。
「南東の茂みと、東南東の森。虫系モンスターが多いですが、その分わらわら出て来るので経験値の実入りも良かったですよ」
ツクヨイには教えておく。
ぶっちゃけ隠すようなことでもない。
「む、虫ですか」
「今度行きましょうか?」
「……機会があればです」
一生無さそうな物言いである。
虫が苦手そうだな。
確かに、子蜘蛛はかなりぞわぞわした。
でも火に弱いから上手くやればかなり美味しい。
ニシトモから返信が来ていた。
丁度北門にて、行商馬車に荷積みを行っている最中。
良ければ御同行ついてに話しましょうだって。
よし、行きましょう。
ってか商人の朝って早いのな!
北門には馬車が一台。
荷積みを手伝っているのは道具屋のおっさんだった。
「よし、ニシトモ。今回から一人でこなしてみろ。まあ森の魔物には気をつける事だ」
「どうもありがとうございます。お世話になりました……、と言えれば良いんですが」
「なに、無事に帰って来れるさ」
「はい」
道具屋のおっさんは、珍しい程に笑顔だった。
いつもはぶすくれた表情で店番してるのに。
目が合う。
「ん、頼むぜ」
「え? はい」
「じゃ、俺は店番があるもんでな」
それだけ言うと、元のぶすくれた表情に戻る。
そして足早に北門から去って行った。
「ローレントさん、おはようございます」
「おはようございます。今のは?」
「今回の行商で、ようやく私も一人前だと認めてもらえるみたいですよ。要するに独り立ちの為のクエストだと思って頂ければ良いです」
「なるほど」
「ちなみにこれからノークタウンへと行商に行くんですが、一緒に行かれますか?」
「ええ是非」
是非とも、行ってみたい。
なんだかんだ行かなかった彼の有名な第二の町。
プレイヤーバッシングが勃発したことで。
二つ返事をすると、安心したような表情をするニシトモ。
「そういえば、彼女もいいですか?」
「ツクヨイです、錬金術師です。まあそれは仮の姿で本当は闇の魔法を使うぶらっくぷれいやぁ!」
「ええ、しってますよ」
ポーズを決めるツクヨイ。
それに対してニシトモは笑顔でスルーした。
「べ、別に悲しくなんか無いです」
「ひとまず時間も押しているので荷馬車に乗ってください」
頷くと、三人で御者席へ。
流石に狭かったので、軽いツクヨイは荷物の上にちょこんと座らせた。
プレイヤーネーム:ローレント
職業:無属性魔法使いLv19
信用度:60
残存スキルポイント:0
生産スキルポイント:4
◇スキルツリー
【スラッシュ】※変化無し
【スティング】※変化無し
【ブースト(最適化・補正Lv2)】※変化無し
【息吹(最適化)】※変化無し
【フィジカルベール】
・軽減Lv5/5
・熟練Lv5/5
・消費Lv1/5
・詠唱Lv3/5
【メディテーション・ナート】※変化無し
【エンチャント・ナート】※変化無し
【アポート】※変化無し
【投擲】※変化無し
【掴み】※変化無し
【調教】※変化無し
【鑑定】※変化無し
◇生産スキルツリー
【漁師】※変化無し
【採取】※変化無し
【工作】※変化無し
【解体】※変化無し
◇装備アイテム
武器
【大剣・羆刀】
【鋭い黒鉄のレイピア】
【魔樫の六尺棒】
【黒鉄の双手棍】
装備
【革レザーシャツ】
【革レザーパンツ】
【河津の漁師合羽】
【軽兎フロッギーローブ】
【軽兎フロッギーブーツ】
【黒帯(二段)】
◇称号
【とある魔法使いの弟子】
【道場二段】
【仲間の復讐者】
◇ストレージ
[スティーブンの家の客間]
セットアイテム↓
[カンテラ]
[空き瓶]
[中級回復ポーション]
[夜目のスクロール]
[松明]
※残りスロット数:7
◇テイムモンスター
テイムネーム:ローヴォ※デスペナルティ
【グレイウルフ】灰色狼:Lv5
人なつこい犬種の狼。
魔物にしては珍しく、人と同じ物を食べ、同じ様な生活を営む。
群れというより社会に溶け込む能力を持っている。狩りが得意。
[噛みつき][引っ掻き][追跡]
[誘導][夜目][嗅覚][索敵]
[持久力][強襲][潜伏]
※躾けるには【調教】スキルが必要。
ーーー
お馴染みの闘技大会ですね!
どういう立ち位置で開催しようかなって思ったんですが。
別VRゲーとのタイアップ企画という訳で。
これからもこういう公式イベントは、やっていきます。
ローヴォの事を皆さん心配なされてくださって、嬉しい限りです。
生きてますよ。
いよいよ交易ですな。




