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■ノークタウン/どこかの一室/プレイヤーネーム:???
「ハザードさん、リアードドさん」
爆発したような寝癖後をつけた長髪ガリガリの女とも男とも言い切れない人物が、ニタニタと気持ち悪い表情を作りながら木箱に腰掛けてトランプに興じる男二人に話しかけた。
「……トランプでも占いってできるのか? 普通、タロットカードとかじゃないの?」
「できる」
「あの、ちょっと」
ハザード、リアードドと呼ばれた男二人は、にやけ男の話を無視してトランプに目を向ける。
「まあ、当たるならなんでもいいぜ」
「的中率はそこまで高くないが、稀にすごく当たる」
「……どう言うことだよ」
稀にすごく当たるという謎ワードを呟く、全身バンテージに厚手のローブ男は、ハザードという名前のレッドネームプレイヤー。
そのハザードの対面に座り、トランプによって今後の運勢を占って貰っている顔のいたるところに傷が入ったモヒカンのイカツイ大男はリアードド。
同じくレッドネームプレイヤー。
「……なんで無視するんですか……」
無視された結果、部屋の片隅に膝を抱えて座るのがジョバンニというプレイヤーである。
「と、言うか。いい加減にしましょうね? ハザードさん、リアードドさん?」
「あーもう、はいはい、無視して悪かったからその劇物置けよ」
立ち上がったジョバンニがそう言いながらフラフラと近づいてきたところで、リアードドの方が観念したように手をあげながら彼を静止させた。
ジョバンニに握られているのは「ポコポコォ」と粘性を持った泡が沸き立つ怪しげな薬品。
その薬品を見ながらリアードドは舌打ちとともに後ろに下がって行く。
「これ以上近寄るとぶち殺すぞ? いいか? 近寄るんじゃねぇ」
「あなた達が私の話を聞かないからですよ。でも安心してください、この飲み薬は飲むと三十秒だけ達人と同じ空間にいるような時間加速状態に入ることができるものですから」
「……それ飲み物なのか? だからにじり寄ってくるなってば!」
ガタッと立ち上がって禍々しい大剣をジョバンニに向かって構えるリアードドに対して、ハザードがローブとバンテージの隙間から目だけをギョロリと動かして静かに告げる。
「うるさいぞ、神聖な儀式中だ」
「トランプタワーを神聖な儀式だって思ってるテメェの頭もおかしいけどな」
「神聖な儀式を邪魔するのはいけませんねぇ?」
ジョバンニはくつくつを笑いながらさらににじり寄る。
「とりあえず試飲をお願いしますよ、リアードドさん」
「テメェ、こないだもそれでバッドステータス20個くらいついたんだけど」
「それでもHPもMPも十倍くらいになったでしょうに?」
「ピーキー過ぎるんだよ」
「だって、そう言う契約じゃないですか。いいから飲んでください」
「ちなみに適当な雑魚魔物で試して見たんだよな?」
「ええ、ギジドラさんに頼んで手伝って貰ったんですが、彼の制御を超えるくらいに蟻が強化暴走してギジドラさん殺されちゃいましたよ?」
「……あいつ、最近運悪いな。で、それだけ強化されたその後は?」
蟻系の魔物使いとしては、最上位につけているギジドラの制御が外れること。
それは即ち現状とんでもない類の魔物になったってことをリアードドは察する。
察した上で、その事の顛末を追求した。
あわよくばジョバンニも死んででくれればいいのにと思いながら。
「ああ、私は死にませんでしたよ? ハザードさんが相手してくれている間に逃げましたので」
「心を読むな」
「心なんて読めるわけないじゃないですか、分析ですよ、分析。リアードドさんって意外と単純ですから、分かりやすいですしねぇ」
「それも止めろよ……まあ、行っても意味ねぇか。で、ハザードがぶっ倒しちまったのか?」
「いいえ、ハザードさんでも私の逃すのに精一杯で無理でした」
「んだよ、ならハザードもデスペナっちまったのか?」
鼻で笑いながら、リアードドがハザードに目を向けると、彼はトランプタワーを作る手を止めないまま、視線すら返さずに短く告げた。
「デスペナはしてない」
それに対してジョバンニが補足する。
「もともと三十秒を過ぎればただの雑魚蟻に戻りますからね。まあでも、三十秒経ってからボロボロと体が崩壊したらしいので、直接手を下す必要もなかったそうですよ? 視界カメラを通して私も見ていましたし」
「死ぬんじゃねーかよ! 絶対のまねぇぞ! 確かに契約してるが死なないくらいまで実験繰り返してから持ってこいよ!」
「まあまあ、せっかく作ったんですから、とりあえずアイテムボックスにでも入れておいてください」
「押し付けんな。クサっ、なにこれクサっ!」
腫れ物でも触るように、劇物の入った小瓶を受け取ったリアードドは、匂いに顔をしかめた後さっさとアイテムボックスにしまう。
なんとなく、アイテムボックスが臭くなりそうな気がして嫌だったが、それでもジョバンニの作り出すアイテムはピーキーだが確かな効果を持っていると言う事で、頭を無理やり納得させた。
「まあいいや、とりあえずそろそろ時間だから行くぞ。祭りだろ?」
「祭り……ですか……そうですねえ、そろそろ時間ですねえ、ククク、リアードドさんは先に行っていてください」
「先に? テメェが魔人連れてこないと始まらないんじゃないのか?」
訝しげな表情を作ったリアードドは、とある女を拘束した鎖を持ち、部屋の片隅に黙って突っ立っている魔人に目を向けながらジョバンニに言う。
「……」
魔人はリアードドが目配せしても、なんの反応もなくじっと見つめ返すだけだった。
ジョバンニから聞いた話ではテージシティに似た魔人はもっと血気盛んだったらしい。
魔人も人だから、いろいろいるのだろうか。
「ま、なんでもいいか」
余計な思考は適当にほっぽり出して、リアードドはジョバンニ返答を待つ。
「いえいえ、結果的にエキシビションに間に合えばいいんですよ。闘技大会は開始前イベントよりも、決勝もしくは前回優勝者が出てくる時のほうが人が多いですからねえ、それ以外に絶好のタイミングなんてありえません」
「はっ、楽しいお祭り気分だな。一癖も二癖もある達人連中を騙すってのか?」
クツクツと笑うジョバンニをリアードドは鼻で笑う。
「エキシビションでローレントと戦えるからって契約で裏のプレイヤー陣営に引っ張ってきたんだろう? まあ、言う事聞かない奴もいるけどな」
「くくく、達人さん方には適当に動いていただいていいのです。もう十分なデータはいただきましたから、私も必要な情報とさっさと強くなれる方法を提示して、彼らは彼らたる由縁を私に教えた。もう契約は履行されてますし、それ以外のことに関してはお互い言いっこなしですよ?」
「なんか、こうしてみるとキモいうえにすごい悪い奴だな」
「私の評価は私とハザードさんが決めるので、なんでもいいのですよ」
「なんかすごい極論だな、まあ俺もそっち側だけど」
と静かに告げながらリアードドは部屋を後にしようとしたところで、不意にジョバンニが彼を止めた。
「あ、待ってください」
「なんだ?」
振り返ると、すごく邪悪なニヤケ面をしたジョバンニがいた。
リアードドはこの時の顔を「すごく楽しそうな顔」だと察することにしている。
なぜか、それはジョバンニ本人が言ったからだ。
「モルモットが一人、いるみたいなのでそれを処罰してからお願いします」
「へえ」
リアードドも、その言葉を聞いてどう猛な顔になる。
……しもうた、バレたわぁ……。
いったい誰視点だったのか。
と、いう疑問を残して、次回乱闘イベントが終わったところからスタート。
思いっきりDBのあのネタから名前を引っ張ってきたんですが、途中からリアードドが完全にドドーリアになってまして、自分でも謎すぎて笑ってしまいました。
名前、修正してます。
ドドーリアではなく、リアードドです。
ハザーボンさんではなく、ハザードです。
すいませんでした。




