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「──と、いうわけで拷問完了」


「手際いいなァ」


「時間もないし、時短コースだ」


 残ったPKの首を斬り落として自分で持たせる。

 いつだかのリーゼント火属性魔法使い君にやったことと同じだ。


『久方ぶりの登場。闘技大会、お腹いっぱい、好き』


 出てくるなよ、気が散るから。


『はーい、でも、もっと、食わせろください』


 ツクヨイの口調が移ってる気がしないでもないが、まあ細かいことはいい。

 今は闘技大会前の乱闘イベント中。

 羅刹ノ刀にくれてやる餌はまだまだ豊富にあるから安心してほしい。


「……全部話しただろ! ひと思いに楽にしてくれよ!」


 ちなみにもう死にたいというのに、大人しく切れ込みが入った首を手で押さえているのは、接着剤で固定しているからだ。

 ハントスパイダーから取れる初期の素材だが、まだまだ現役だな。

 情報を吐かなければえぐい殺し方をするが、もういっそのこと殺してくれみたいな感じになったら簡単には殺さないタイプのものにした。

 激痛は続くから生き地獄だよなあ。


「何が全部だ、肝心なところはまだ吐いてねェだろォがよォ」


 白々しいPKの太ももに盾の角をグリグリ押し当てる三下さん。

 PKは苦悶の表情を作りながら痛みをこらえている。


 このPKの“いち”とかいうふざけた名前はPKネームで、本当の名前はニュギーとかいう言いづらい名前だった。

 他はムクーリ、スージー、ターバー、ドルグ。

 五人揃って最強PK特戦隊だそうだ。

 裏ギルドの中層以上に所属し、そこそこな情報を知り得ていて、ようやく尻尾をつかめるかと思ったのだが……こいつらも俺が欲している情報は握っていなかった。


「魔人とともに契約した裏ギルドのプレイヤーが闘技大会に現れるだァ? で、それはいつで、首謀者はどこに潜伏してるのか教えろっつってんだよォ」


「う、ぐぅ……し、しらねぇよ。別に知る必要もねぇし、それに俺はてめぇらからPKとって金もらえればそれでよかったんだからよ! ぎゃっ!?」


「舐めてんのかァ? 聞きてェのはテメェが何がしたいじゃなくて、テメェの親玉が何がやりてェのかって話だろォが!」


 三下さんが座り込んだニュギーの股間を思いっきり蹴り上げていた。


「……痛そうですね」


「実際に痛いかと思います。裏ギルドイベントも重なって、PKとPKKは痛覚オフ設定にできなくされてますから……それに男は股下からの攻撃に本能で恐怖します。ゲームの中でもそれは変わりませんので」


「……き、きんて……きが有効なのは兄弟子のローレントさんから教わってますね……汚いから蹴りたくないですけど、万が一はそれが意表をつく一番の技になるって」


 金的というワードを顔を赤くしながらボソボソと口にするツクヨイ。

 蹴られても耐えてくる奴には効果はないが、一般的な男プレイヤーには有効だ。


「ローレントさんで練習させてください」


「は?」


「いえ、なんでもないです。すいません、ちょっと焦って変なことを言ってしまいました。ぶらっくぷれいやぁ、たまに自我を抑えきれずこういうことを口走る闇の者が左目の中に眠っているので、はい」


「まあ、直接稽古の時に使ってみろ。まあ、その隙をつけるかつけないかはお前次第だが、金的、目潰し、諸々の販促行為と呼ばれるものはオールオッケーで相手してやる」


 その代わり、俺も同じことを反復するがな。

 と、心の中で呟いておいた。

 口にしたら稽古せずに逃げる可能性があるからな。


「二人っきりの秘密の修行予定が、そんな殺伐としていやらしさよりもむしろエグ味の方が強いなんて嫌です! 普通にやさぁしく手ほどきしやがれください!」


「うい」


「ちゃんと返事しろー!!!」


 そんなツクヨイはおいといて。

 ニュギーから得られた情報はPKが魔人を率いて闘技大会で何かやるぞってかなり大まかな情報。

 三下さんが何か情報を放り出せないか頑張っているが、どうやら無理そうだ。


 何かやるぞってことで面白半分で集ったPKが大半で、更に言えば奴らがプレイヤーキル行為をするのはあくまで集団行動ではなく、莫大な賞金が俺たちにかかっていて、あわよくば乱闘の隙をついてというのが多かった。


 徒党を組んでいるから、まとめ役がいるのかと思っていたが見当違いだったようだな。


 それにしても、魔人引き連れてくるのか……。

 なんだろう、いつだかレイラが予想していたことがそのままになりそう。


「しらねぇ、しらねぇよ!!」


「チッ……」


 叩いても出ないから、三下さんも匙を投げた。

 二進も三進も行かないので、とりあえず始末することに。


「もういい、他の奴に聞く」


 ニュギーにそれだけ告げて、視界を奪うとこの場を後にする。


「ッッ!? ──ぁぇ……?」


 視界を奪われる瞬間、目をつぶって自らのデスを覚悟したニュギーであるが、すぐに自分が死んでいないことがわかると間抜けな声をあげながら首を傾げていた。


「あれ? 倒すんじゃないんですか?」


 その様子に、ツクヨイも首を傾げていた。


「今回の拷問は、この場に衰弱死するまで残ることだ」


「……ヘェ、えげつねェなおい」


 俺の言葉を聞いた三下さんは、表情を凶悪ににやつかせながら唸っている。


「……どこが拷問なんです? ローレントさんだったらとんでもない恐怖を相手に植え付けながら、こう、ドグシャアアって相手を一瞬で倒すのかと思いました。っていうかそれ見てきましたし?」


「んんー、死にたがるから殺さないことにしたんだよ」


 知ってるかな、人って何もない暗闇だったり、空間で、何もできずにじっとしていることが苦手なんだぜ。

 思考能力だけは無駄にあるから、色々と考え事をしてしまう。


 修行僧の座禅にもよく似るが、状況が違うんだなこれが。

 いつ死ぬかもわからない不安が、こういう状況だと一気に押し寄せてくる。

 そして俺が刀を抜いている間ログアウトもできんし、じわじわ死に戻りの時を待つことしかできない。


「……って考えたらどうだ?」


「早く死にたくなりますね……」


「だろう?」


 PKは一生そこで悟りでも開いていろ。

 悟り開いて出家でもしてしまえば、一人悪行を行うものが減ってそれだけ空気が綺麗になる。


「お、おおおおいおいおい、冗談だろ、冗談だよな?」


「ん?」


「ま、まま、マジでこの状態でおいていくのかよ? お、おい?」


「ああ、ちなみにここはガーディアンも出てこないからお前一人だ」


「──くそがああああああ!!」


 PKは急に声を荒立て始める。


「殺せ、殺しやがれえええええ!! 喋っただろうが!! おい!!! くそ、こうなったらやっぱ舌をさっさと……あふぇ? お、おふぇのしふぁがぁ」


「今斬り落としたぞ」


 羅刹ノ刀で斬り落とされた箇所は形状を記憶するとでもいえばいいかな、とにかく舌が丸まって窒息死することはないので、一生そこで声にならない声で叫んでいればいい。


「──ふほがああああああああああッッ!! あああああああッッ!!」


「さて、いくか」


 叫んで消耗すれば、力尽きるのも早まるから妥当な判断だろう。

 だが、いつか声は枯れ、気を紛らわせるものがなくなった時……どうなるかな?









拷問回でした。

今回は置き去り拷問。

無論、足は切断してますよ笑




ちなみにモン○ハンですが、

更新速度はかわりませぇん!

安心してください、書いてますよ。


そしてツギクル様のHPでスペシャルサンクスキャンペーン中です。

あとで活動報告にアドレスのっけますが、

みなさんの名前が本の裏に載ります。(あんまり応募がいないので高確率で載ります)

ぜひ、よろしくお願いします。


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