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 カンテラを腰に結びつけ、足早にロープを継ぎ足し継ぎ足ししながら500メートルくらい降りると、積み上げられた白骨死体が乱雑に散らばる場所にでた。

 白骨死体なんて、なんだろう、雰囲気づくりのために作っているのだろうか。

 すでに存在するダンジョンのコピーみたいなものだから、ダンジョンアタックして、そのまま息絶えたNPCの残骸を、こうしてそっくりそのまま作り出しているのかもしれないな。


 もしかしなくても、本来のダンジョンならば動き出したりして。

 砂漠のエリアか、是非とのイベントが終わったら冒険に出たい、そんな心持ち。


『だいたい体感で500メートル前後の縦穴、降りれば抜け道あり』


 それだけメッセージに書いて三下さんに送ると、すぐに返信が来た。


『掘りすぎィ……、とりあえずチビだけ先に送るわ』


「ん? 先に……」


 チビが誰を言っているのか、一瞬首をかしげた。

 だって二人いるしな、でもすぐにツクヨイだとわかる。


 上から降って来たからだ。


「ほっ!?」


 トラップだった回転する床材が無理やりひっぺがされて上から降って来た。

 空気を切り迫り来る急激な落下音が近づて来て、嫌な予感がして一歩隣にずれると、大量の白骨を粉砕しながらズガンと着地した。


 そしてその床材にカンテラの光を当ててみると、黒い影のような穴が開き、そこからツクヨイが泣きながら飛び出してしがみついて来た。


「ぶぅぅわわあぁぁぁあああおおおおおああぁぁぁぁああ~~~!!!」


 泣き顔すげえ……。


「死ぬかと思った! 死ぬかと思った! 死ぬかと思ったああああああ!!!!」


「大丈夫だ、生きてる、よかったな」


「生きててよかった! 生きててよかった! 生きててよかったああああ!!! ……って、一回戻って来てくれるんじゃなかったんですかああああ!? 縛り付けておんぶして一緒に降りてくれる想像した時間を返せ! なんかしらないけど失ったものを返しやがれください!!!!」


「……とりあえずすまん」


 こういう時は謝っておけばいいんだ。

 さすがに500メートルくらい上から落とされれば重しの石材は粉々だろうが、三下さんはそこをあえてひっぺがしたダンジョンの床材にしたんだろうな。


 まあ、壊れる可能性の方が高いけど。


「ちなみに、隠れてた床材が粉々になったらどうなるんだ?」


「まだスキルレベルが足りなくて穴の深さとか、出入り口の大きさとかギリギリなんて、私の体を丸めた状態より小さくなったら出られなくなって窒息死するんです!! 生きててよかったああああ!!!」


 なるほど、シャドーポイントの影の中は息ができないのか。

 使い勝手がいいのか悪いのかよくわからんが、どうなってるんだろうな。


「一緒に空気を取り込めばいいですけど、それでもいずれ尽きるんですううう! はわぁぁぁ~、ほ、ほんとうに死ぬかと思いましたぁ……頭撫でてください、やさぁしく、めるてぃに」


 とりあえずガチで落ち込むツクヨイにどうしたもんかと思っていると、上からロープを伝って三下さん達が続々と降りて来た。


「上、見ないでくださいね? お尻見ていいのはローレントさんだけですから」


「見ねェよ、うぜェ」


 俺も見ねぇよ、うぜぇ。

 何言ってんだあのダークネス。


「うーん、いいお尻ですね、安産型です」


「モナカさん、気にしてるんで、セクハラです。でも……強い子を産む自信はありますよ。チラッチラッ」


 チラ見するな、見てないふりしようにも反対側には妖怪ちんちくりんアタマナデロがいる。

 だめだ、囲まれた。

 妖怪安産強い子自身アリも俺を虎視眈々と見つめている。


「助けて三下さん」


「知るか、死ね」


 ……世も末だな。


 さて、無事にかなりの階層分をショートカットできた俺たちは、ヒカリゴケみたいな光源すらない真っ暗な細道をどんどん突き進んでいく。


 魔物がわかない設定になっているから、白骨達は全員オブジェで楽だった。

 でもツクヨイはとにかくそれが恐ろしいようで、ずっと俺の袖にしがみついている。


「歩きづらいんだけど……」


「こ、こうなったのもローレントさんの責任です! 責任とれ!」


「どうやってだ……ていうか、錬金素材のアイテムとほぼ見た目同じだろうに」


「違うんです! 女の子は雰囲気で生きているようなもんなので、こういうバッチリ整えられた状況に弱いんです! 弱点属性なんです! 怖い感じがするととても怖く感じちゃうんです!」


 話がわからんからシカトしていると、


「この無責任者ああああ!」


 と腕にガブガブ噛み付かれた。

 ええい、うっとおしい。

 でもこうなると意地でも離れない感じなので、放っておくことにした。

 ほとぼりが冷めれば自ずと離れていくだろう。


「確かに……雰囲気で生きてましたね……学生時代も、とりあえず話を振られたら「わかる」とか「思う」とか返しておけばそれで丸く収まっていました……ふふっ、まあずっと一人で、周りの学友達の会話を聞いて心の中で返事をしていたんですけどね……ふふ」


「もうやだァ、こいつの後ろ歩きたくないィ……」


「まあまあ、いいじゃないですか。私は楽しいですよ? こうしておしゃべりしながらですと、なんだか遠足みたいで良いですねぇ、小さい頃を思い出します」


「このパーティやだァ」


 三下さん、耐えてくれ。

 だべる女子達の会話をBGMに、さらに暗い道を進んでいくと、大きく開けた場所に出た。

 そして、すぐに罠にかかったと思われるプレイヤー達がドサドサドサと上から降ってくる。


「はわわわっ!?」


「上から、転がり落ちて来たみたいですね。人数から考えると3パーティ分くらいでしょうか」


 同じような落とし穴でもあったのか、それとも何か別のトラップを踏んだのか、昏倒、気絶、さらには骨折、断裂、そんな異常状態を受けたプレイヤー達がたくさんだ。


「う、ぐ……あ……ああ、まじかよ……」


 そんな中、重たそうな鎧を身につけた大柄な男が、うめき声をあげている。

 身体強化優先のスキル構成で、なんとか助かったのだろうな。

 どんどんデスペナルティで消えていくプレイヤーを唖然とした表情で見ながら、正面に立つ俺たちの存在にようやく気付いたようだ。


「か、仇を、仇を討ってくれ……」


「はァ? いったいどうしたってんだよォ?」


 放置するか、一思いに殺そうと思ったんだけど、三下さんは優しいな。

 いちいち話を聞いてあげるなんて。


「と、とんでもねぇPKがいた……こ、これだけ人数揃ってんのに……みんなやられちまった……」










そろそろ話が動きますな……!




二巻絶賛発売中……ではなく予約受付中です。

早くみなさまに進展届けたい。

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