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 結局ツクヨイは倒しきれず、俺が倒すことになった。

 うん、魔装のスキルも得ているし、攻撃力ではまだまだ負けないな。

 マジックブーストで身体能力も格段に上昇しているし、ガーディアンとて素手で倒せる。


「た、助かったぁ……」


「助かったじゃなくて、自分一人で倒してみろ」


「む、無理です! だって闇属性の特権である状態異常が効かないもん!」


 もん、じゃない。

 まあ確かに、その辺の優位性がなくなってしまうのはいささか相性が悪かった。

 ブラックカーテンでもなぜか捕捉してくるあたり、魔物ではないナニカであることが窺える。

 だが、一次スキルのブラックスタッドとダークバーストを使えば倒せないこともないだろうと思った。


「時間経過とともに蓄積ダメージを大きく爆発させるバークバーストなら余裕だろうに」


 もっとも、それまで攻撃をかわし続けることが必要になってくるが。

 そう言ってやるとツクヨイは俺の体を駆け上がって驚くべき速さで肩車状態に持っていくと頭をポカポカ殴って噛みつき始めた。


「むぐぐぐ! 躱せてたら私もトッププレイヤーなんじゃぁい、むががが!」


「それだけ素早い動きができるなら、いけるんじゃねェの……?」


 その様子を見ていた三下さんがポツリ。


「いえ、多分こういう時限定のスピードですねぇ。アルジャーノさんはなんだかんだ私の稽古についてきますけど、ツクヨイさんはたまにすごい速さでどこかへ消えてすっぽかしてしまいます。いわゆる逃げ足ですね」


 モナカのその言葉にツクヨイが固まる。


「あ、あの……逃げてるわけじゃ……」


「逃げも避けも一緒じゃねェのォ?」


「エンカウントしてるかしてないかで変わってくるのでしょう。恐ろしく私の隙をついて逃げるのが上手くなりましたから、戦いの場面だとまた話は変わってきますね」


「なるほどなァ」


 ニコニコとそう評価するモナカと納得する三下さんは置いといて。


「おいツクヨイ、逃げたってどういうことだ」


「え……いや……その……えっと……えへへ、ちょっと用事思い出しただけで……」


「体の動かし方を学びたいと言ったからモナカが教えてくれてるんだろう」


「いやでも、その」


「言い訳無用」


 げんこつだ。


「ぴぎっ!? ほっほっほおおお、い、痛い、痛いですぅ~」


「今度俺直々に稽古をつけてやるしかないな」


 少しきつめのブートキャンプだ。

 もちろん、コーサーも一緒に。

 だが、恐れおののくかなと思ったツクヨイは、俺の予想とは違う反応を見せる。


「最初からローレントさんに稽古をつけて欲しいって言ってましたってばぁああ!」


「ん? そうだっけ?」


 てっきり女の子には体格も似ている同じ女性のモナカが合っていると思っていたのだが俺の思い過ごしか。

 ならば、良いだろう、稽古つけてやる。

 コーサーも一緒に、テージシティの裏路地残党討伐スペシャルだ。

 ノスタルジオとかいうマフィアも裏で色々とトンスキオーネたちにちょっかいを出し始めていると聞くし、削ってやる、稽古にかこつけて戦力をこそぎ落とす作戦だな。


「辛い修行になるぞ……ん?」


「ぐへへへ、これでまた一歩ステップアップ……むふふ、二人っきりの状況で男と女が体をぶつけ合うぶつかり稽古に持っていければあの鈍感戦闘狂魔王ローレントさんですら、意識しないはずが……ぐふむふ、なんという策略、さすがぶらっくぷれいやぁですぅふふふ……」


 き、気持ち悪いくらい一人でボソボソ喋っていた。

 十六夜の癖が移ったのだろうかと思って十六夜を見ると。


「うふふふ、やりますねぇツクヨイさん……うふふ、ふふふふ、さすがですふふふふ、でも私も負けて入られませんねぇ、ふふふ、爆発矢を大量生産してもらって手いっぱいにさせてその修行には私が同行……うふふふふ、獲物を掠めとることにかけては、ふふふ、猟師の私が一枚上手ですよふふふふふ……」


 や、闇に引きずり込まれている。

 つられて闇に引きずり込まれているのか?


 なんと恐ろしい。

 二つのブラックホールができているようで、すごく恐ろしかった。

 とりあえず三下さんの方に寄っとこう。

 この雰囲気も弾き返してくれ、三下さん!


「おい、キメェトリップかましてんじゃねェよ」


 さ、三下サァン!


「ガーディアンの次はプレイヤーどもが相手だぜェ? おら、ギラついた目をした奴らがお出ましだァ」


「む?」


 三下さんの示す方向を見ると、レッドネームが目立つPKたちが武器を構えてぞろぞろと。


「ガーディアンの次はPKか」


 三下さんの言葉を借りるなら。

 イイネェイイネェ、ガーディアンで若干不完全燃焼だったからこういうのはすごくありがたい。

 さっさと倒して経験値、いや血肉にしてやろう。


「……美男子様の方が目がギラついてるように見えますけど」


 モナカのセリフは無視して、俺は有無を言わさずPKのパーティに突撃した。


「──きたぞ!」


「バカが! 一人で突っ込んできやがって!」


「お得意の石柱やらなんやらはこの場所では使えねぇぜ!」


 そう言いながら突き出された剣を手甲で受け流し、八卦掌の扣歩と擺歩を用いて回転しながら彼らの中心へと体をめじ込み、そして、


「マナバースト」


 大きく蹴散らした。

 構えて居た陣形もこれで無駄になる。

 一人の首元を虎口貫手で掴み壁に叩きつける。


「まず一人」


 気道を潰してひねりちぎった。

 そして立ち上がって剣をしたから突き刺そうとする奴を蹴り殺し。

 そいつの持っていた剣の峰を蹴り飛ばしたら運良くもう一人の首に突き刺さった。

 ああ、“運悪いな”このPK。


「早く相手しろ! ……て、え?」


 四人いたパーティはあっという間に一人になる。


「よし、殺すか」


「ひっ!」


「待てやおいィ、尋問しろ尋問! 殺すのは他に残党いるか吐かせてからだ!」


「む?」


 三下さんの言う通りだな、あっさりと殺してしまってはいかん。

 そう言うわけで、ストレージからロープ取り出して縛って吊るすか。

 もしくは石杭で両手両足、このダンジョンの壁に貼り付けるとか、どうですか三下さん。







何かあとがきに書くことあったかな。

と思って……今思い出しました。


そういや二巻でローレントのプレイヤーネームの理由判明します。笑




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