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■ノークタウン/乱闘イベント/ステージ:密林/プレイヤーネーム:三下
「死ねやぁ!」
「……ったく、懲りねぇ奴らだな。そっくり其の儘返してやんぜェ」
攻撃が触れるタイミングでカウンターを行う。
盾が触れない場所を徹底的に狙って来ているようだが、そもそもほぼ確実に弾けるところまで練度を積んでいる奴が、その一番の弱点を取らせるかって話だ。
「ここでやられても、いつかどっかでPKしてその盾奪い尽くしてやるからな!」
「あっそゥ」
別に盾を奪われたところで、新しい盾をアイテムボックスから出せばいいだけだ。
オフェンス・ブロッキングとグロッジ・リバースはともに使えば使用する武器が壊れてしまう可能性を持ったスキル。
それがある時点で俺が武器にこだわってるとかこだわってないとか、そんな者お察しだろうに。
まあ、唯一こだわってるのはこの軍服かな。
あいつの話に便乗して生産組の一人に作ってもらった装備だが、すこぶるつええ。
生半可な魔法攻撃なんぞ、普通に打ち消し、刃も通さない。
レギオンコングだっけか、南の岩山を取り仕切るレイドボスの系譜。
は、おもしれぇ。
イベントが終わったら一人で行ってみっかな。
「死ねやあ!」
「学習しねェなーもゥ、攻撃するなら弾けない規模のモンもってこいや」
ブロッキングもカウンターも、ポイントを、点をつくプレイヤースキル。
例えばあいつのエナジーブラストや、レイドボスのビーム攻撃なんか。
放射が一定時間続くもんは弾けないしブロックも難しい。
だからフリップディレクションで軌道を変えてやるのが手っ取り早いが、それすら及ばないスキルを提げて来れば俺なんかは意味ないだろう。
スキルビルディングも耐久オンリーかって言われれば違うから、並みの戦士よりも脆い。
もっとも、徹底的に抵抗させてもらうけどな。
「ぐあっ!」
周りに蔓延っていたプレイヤーキラーをせっせと弾いて蹴散らして行く。
ヤンキー面した野郎に弾いてやれば、勝手に処理してくれる。
人力シュレッターだ。
「──カカカカカカカッッ!」
「……あん?」
密林の中でよくわからん軽快な音が響いて来た。
そして、俺の周りを取り囲っていたPK達が、次々に茂みの中に引き摺り込まれて悲鳴を上げて行く。
「う、うわあああ!」
「な、なにぎゃあああ!」
「ぺぇっ」
「ぎゃひっふひっ」
「……はあァ? 新手か?」
訝しむ表情をしていると、ヤンキー野郎。
もといトモガラが叫んだ。
「三下ぁっ! 今すぐそっから離れろっ!」
「あぁん? PK狙いだから、味方じゃねェの?」
「もうそいつは味方じゃねぇ」
トモガラがそう行った瞬間、茂みから刀を加えた男が俺に飛びかかる。
「ッッ──ローレント!?」
そのまま顔と首に手を回される直前に、盾で弾く。
強制的に怯み状態に入るローレントは、空中で身を翻して適当な蔓を掴むを器用に座る。
そしてぎろりと俺を睨むと、首を傾げた。
「──?」
「んだァこいつ……逝ってんのか?」
「落ち着け三下ァ、今のこいつは密林にかこつけがガチもんの猿拳使ってやがる……」
トモガラは、注意深く蔓の上でなんか伝説チックな獣みたいな雰囲気を待とうローレントを見ながら言葉を続ける。
「刺激すんな、その辺の熊よりヤベェから」
「……状況がわかんねェ」
「いいから避難しろって、今なら周りに殺気ムンムンのPKがいるから、とりあえず時間が来るまであいつらを囮に別の場所で……」
豪快な奴だとは思っていたが、その表情はいつにも増して焦っているようにも思えた。
ローレントをしょっちゅう騙しているようなイメージがあるのだが、今回はガチっぽそう。
「わかっ──」
そんな返事をする前に、3人揃って立ち止まる俺たちを好機と見たPKどもが集まりがやった。
「止まってる! 一気に攻めろ!」
「うおおおお! いくぞ!」
「──チィッ、めんどくせェな」
そこへ、今まで首を傾げながら不思議な沈黙を保っていたローレントが動いた。
不安定な蔓の足場から大跳躍をかますと、後ろをとってPKの耳を引きちぎる。
そのまま顔面を崩壊させ、首を切り落とし、その一連の動作を跳躍してから二秒くらいであっさり行い。
PKを唖然とさせていた。
さらに、茂みに引きずり込まれた現象が再び巻き起こり。
なんだ、と思って見ていると。
「引きずり出した腸でとっ捕まえてんのかァッ!?」
とんでもねぇスプラッターだぜ。
PKも、とんでもない悲鳴をあげながら一人一人と消し飛ばされて行く。
トモガラはすでにジリジリと距離を取り始めていた。
まるで大きく動けば優先的に狙われると、とんでもなく凶悪な猛獣を相手しているかのような気分。
「く、食わないで! 食べないで! いや、いやだああああ!」
「……オイィ、何食ってんだあいつゥ……」
まさに気が狂って暴れまわるチンパンジーだぜ。
マウントを取った相手の胸掻っ捌いて心臓とか諸々を食いちぎり見せつけてやがる。
玉とか、目とか、身体中のぶち抜けるもん全てぶち抜かれたPKは泣きながら絶命。
これ、フィードバックとかどうなってんだろうな。
やっぱ最低限のプロテクトはかかってるが、設定マックスにいじってるやつは御愁傷様だな。
こんだけの殺気と狂気を前にしたら卒倒もんで、二度と家から出られなそうだ。
「……おいおい、もうPK蹴散らしちまったのかァ……?」
周りにプレイヤーなんか考えずに。
ローレントはあれだけたくさんいたPKに恐怖を植え付け再び退却させていた。
「……あ、やべェ」
気づけば一人しかこの場所に残ってない。
どうしよう。
できれば戦いたくねぇが……
「──ッッ!」
「やっぱり来やがるかッ!」
噛み付いて来た。
顔を盾で弾くが、こいつは寸前で顔を引いて俺のカウンターを躱した。
そのくらいの芸当はいくらでもできるってことか。
「くっ!」
まずいな、完全に盾を躱された上に、こいつの攻撃の範囲内にいる。
なんとか手を打たないと、あのPKどもと一緒になっちまうな。
「フルカウル・ガードォ!」
ボディガードから派生した上位スキルを紡ぐ。
デリケートモーションからの基点スキルであるハイクオリティムービングは、すでに使っている。
プロフェッショナルムービングに移行する前に、俺のある意味最強とも言えるスキルを使おう。
これなら、盾がなくてもこいつを相手取れる。
「ギッ!?」
体を掴んでいたローレントを“盾を使わず”弾き飛ばした。
「いいぜェ、いいぜェ! クソ猿ゥ。とりあえずテメェで俺の持ってる全てを試してやんよ──プロフェッショナルムービングゥ!」
外へ外へと爆発するような身体強化スキルとは違って。
内へ内への繊細さを極めた俺好みのスキル。
どんだけ素早い動きを行なっても、今の俺はこいつらみてぇな達人クラスの動きに昇華される。
タイミングを合わせられないような亜音速の読み合いですら、後出しが可能だぜ。
「こいやローレントォ! いつだかの借りをここで返してサンシタ以下にしてやっからよォッ!」
盾キャラが一時的に盾が必要なくなる。
そう、全身盾判定となるのがフルカウル・ガード。
ボディーガードからのフルカウルガードは、
ハイクオリティムービングとプロフェッショナルムービングを所持していないと派生しません。
ってことで三下さんの公開されているスキルを一部置いておきます。
三下さん(88)
デリケートモーション(起点スキル)
グロッジ・リバース
オフェンス・ブロッキング
ハイクオリティムービング(基点)→プロフェッショナルムービング
ボディーガード(基点)→フルカウルガード
サロウレジスト(???)
フリップディレクション(弾く方向を変える)




