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■ノークタウン/乱闘イベント/ステージ:密林



 結局、しがらみに取り残されているのは俺だけだったというのか。

 なんて重っ苦しい展開にはしない。

 俺が第一拠点を潰した時から、すでにみんな覚悟は決めていたみたいだった。


 一応ヤラレっぱなしも癪に触るということでみんな籠城していたが、敵が攻めてこない結果出向くことにした。

 とツクヨイが言っていた。


「まあ、ローレントさんがPKぶっ潰すところ見てたいっていうみんなの思いが一つになりました」


「なるほど」


 ならば、派手にぶっ潰さないとな。

 思わず顔がにやけてしまう。


「むむ、この笑顔は何かやらかす顔です! モナカさん逃げてー!」


「あらまあ?」


 モナカの手を引っ張って俺から距離を取るツクヨイ。

 なんだろう、そんなに俺が信用ならないのだろうか。


 やらかすも何も──、




「第一生産組の総力をお披露目するだけなんだがなあ……」




 ──と、言いつつ連続アポートで手榴弾を大量にばら撒いた。

 そして連続的な爆発が巻き起こる。


 マーダーアントの大群ですら蹴散らし。

 第一拠点でそこそこ大きな飲食店だったサイゼミアンも崩壊させる威力。


「う、うわあああああ!?!?!?」


「どわあああああああ!?!?!?」


「ふごおわあああああ!?!?!?」


 爆風の嵐が巻き起こり、闘技場がやや揺れた。

 そして生い茂っていた密林ステージが禿げる。


『GMベータ……』


『あ、うん……次からアイテム制限かけよっか……?』


 GM達もドン引きのこの状況。

 これが街中だったらさすがにできないけど、運営が設営した闘技場なら壊れてもあんまり問題ないよね。

 だから、派手にやってもいいと思ったんだ。


「こ、殺す気でやがりますかああああ!?」


「隠れてただろ」


 爆風に転げ回ったツクヨイがモナカとともに俺に詰め寄る。

 モナカは少し目を回しているようだった。


「か、隠れてたとかんな問題じゃないですってば!!!!」


「でもあれだ」


 これで、あらかたのプレイヤーはお陀仏。

 そして、この状況で生き残ったやつこそが、生き残れるほどの腕を持ったツワモノだということ。


 さらに乱闘イベントの集計が上空の飛行艇につけられた巨大モニターに映る。


「よし、トップだ」


「トップだ。じゃねーですって!!!! ──ひっ!?」


 ツクヨイに向かって矢が飛んできた。

 とりあえず腕を掴み引き寄せて回避させる。


 見通しのよくなった周囲に目を向けると、生き残ったプレイヤー達が武器を構えて俺を取り囲み始めていた。

 プレイヤーキラーも、プレイヤーも、みんななんか殺気立っている。


「くそローレントが……常識ってもん考えて動けや……」


「PK狙ってくれるとは思っていたが、まさかパンピープレイヤーごとやるとか……」


「許せんぞ、こうなったらここにいる全員で袋にしてしまえ!」


「俺らも普段はPKやってっけど、今回はプレイヤーの味方するぜ」


「まずはあの厄介なクソ野郎をぶっ倒してからテメェら殺してやんよ」


「はあ? あいつ倒したらPKなんか俺らの餌に決まってんだろ?」


「そうだぜ、今だけだ協力してやってんのは。PKとか普通に許せんから後で殺す」


 そんな言い合いをしながらも、なんだかんだ意思疎通は取れているようで、徐々に取り囲み、そして武器を構えてジリジリと距離を詰めてくる。


「ひっ! わ、私は関係ありませぇん! ただの弱っちいぶらっくぷれいやぁなんです、ただの一般的なぶらっくぷれいやぁあああ!!」


「あらまあ、恨みを買うのがお得意ですね」


「褒めるなよ」


 昔からなんかよくわからない因縁をつけられることが多かった。

 でも恨みを買ったというか、向こうが勝手に恨んできているんだよな。

 断じて俺は何もしてない。


「ほめてねぇーーーーーー!!!」


「うるさいなあ。とりあえずツクヨイは隠れててくれ」


「どこに!? こーんなに見晴らし良くなってるのにどこに!? ホワァッツ!? パードゥーン!?」


 ぴーちくぱーちくうるさいな、本当に。

 とりあえず、


「モナカ任せた」


「はいはい、任されました」


「いやいやいやいや、無理ですって幾ら何でもこの数ですよ!」


「この数……?」


 約二十数人か。

 みんなが武装して殺気立ち、士気も上々。

 だが──、


「数には含まれんさ──エナジーブラスト」


 目の前にいた奴らを一瞬で蹴散らす。

 反応が早く飛び避けたものもいるが、三人やれた。

 その隙をついてアポートで石柱を遠距離武器を持った奴の眼前に遮蔽物として出す。


「はいはい、ツクヨイさんは動かないでくださいねー」


「ひえええ!」


 俺じゃなくてツクヨイ達を狙われる攻撃は全てモナカが防いでいた。

 デリケートモーションのスキルを用いて飛んでくる矢を手で掴み投げ返している。

 魔法は闘志を使い無理やり叩き落とす。


「……すこしは手を貸して欲しいものですけどね」


「そうだな」


 俺も攻撃をかわし、走って接敵しながらツクヨイにいう。


「闇属性はこういう時こそ真価を発揮するだろうに」


「はっ、そうでした! ダークサークル! ダークボール! ブラックカーテン! シャドーホール!」


「まるで要塞ですねえ」


 ダークボールを操作して、守りを固め、さらにシャドーホールに投擲物系を飲み込んでいく。

 手元を離れた投擲物にはめっぽう強いと思う、そのスキル。


「でもこわいー!」


「我慢しろ」


 叫ぶツクヨイに短く言葉を返しながら刀でプレイヤーキラーの首をはねた。

 プレイヤーからも狙われているが、とりあえず第一優先はレッドネームの阿呆ども。

 っていうか、早めにこいつを倒さないと厄介な真打が来る。


「くそ! 連携とれ! ってかプレイヤーキラーごと叩き殺せ!」


「おいこら、てめぇら! 今だけ呉越同舟しろや!」


「しらねぇよ! なんかローレントがPKばっか狙ってくれてるからそのまま狙えー!!!」


「お、おい、──ってぎゃああああああ!!!」


 よしよし、うまい具合に俺の攻撃の一部としてプレイヤー達が作用してくれている。

 ツクヨイやモナカを狙う攻撃も少なくなり、PKを集中的に狙う俺にプレイヤーの攻撃集中する。

 これで、どんどん数を減らせ。


 減らさないと面倒なのが来る。

 密林とか森にはめっぽう強い。

 だから、あまりこっちが動かないように警戒していた。


 そんな大物が。

 一度は負かした、だが諦めてない。


 こういうイベント時に限ってPKと一緒に俺をガチで殺しに来る。

 正直PKよりも質が悪い、あいつが──、


「──オラアアアアアアア!!!!! 雄叫びだ雑魚ども! PKで忙しいっぽかったけどイベントなら俺も再戦権があるだろうがよー!」


「む?」


 全貌から大声をあげて怯ませた相手を片手斧でなぎ払い、盾でぶっ飛ばしながら威勢のいい男が姿を現した。


「ガツント……」


「へへ、密林ステージから打って変わって混戦のステージかあおい!? いいぜ、雑魚ども俺にも同じように攻撃浴びせてこいよ! 同じ条件でやろうぜぇ!」


 ガツントの方向から強烈な殺気が膨れ上がる。


「まて、今すぐどいたほうがいい」


「ああん? 何言ってんだ?」


 膨れる殺気はガツントではない、その後ろから大斧担いで歩いて来る筋骨隆々のヤンキー男。

 ガツント、お前のいる場所は通り道だぞ、癇癪玉の。


「邪魔」


「ぐわっ!?」


 身体強化スキル全振り男に蹴り飛ばされたガツントは、そのままその巨体をライナー軌道で飛ばされ周りにいたプレイヤーを巻き込んで闘技場の壁にぶつかった。


「中途半端に斧キャラ被ってんだよバーカ」


「……トモガラァ」










さん、はいっ






トモガラァ

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