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設定をいじくって行間を少し広くしてみました。

これで少しは読みやすくなるはずです。


「ゲホッゲホッ!」


 涙目で首を抑えて転がりながら距離を取る女。

 スカートの中から白いインナーが見えるのも気にしちゃいられないようだった。


「ハッハッハッ──おえっ」


 立ち上がるが、すぐ膝をついて嘔吐。

 上から襲った瞬間、わずかに反応して躱された。

 だが、馬乗りになるに上がって腹部に一発入れて置いた。

 ついでに言えば邪気による【恐慌】も存在する。


「無理もない」


「あ、んた……まさか……」


 杖をついて立ち上がる女魔法使いに言う。


「そうだ、おまえらのリーダーが警戒するやつだ」


「ロ──」


 動かないでいたので、杖ごと首を切り飛ばした。

 そのまま納刀し、女魔法使いは光になって消えた。

 装備品の回収は後回しにして、そのまま後続を狩る。

 足の遅い戦士PKに弾機銛を打ち込み足止め。


「ぐああ!」


 転んだところに羅刹ノ刀で両足を切り落とす。


「ひいいい、ひいいい!!!」


 次に標的を定めると、ローヴォがすでに噛み付いて茂みに引き込んでいるところだった。


「っていうか、ルビー。いい加減遊んでんなよ」


 まるで自分は必要なしとばかりに、いつまでも空を飛んで東の森を探索するウサギを呼ぶ。

 こないだトモガラと十分遊んだだろうに、そろそろ力を貸してもらおうか。


 ──ドゴッ!


「な、なんだあっ!?」


 一秒と置かないうちに、ルビーは空からPKに向かって蹴りを放った。

 流星のように高速で打ち下ろされた巨体からの蹴りで、PKは肉塊になる。


「離脱、奇襲、数を減らせ」


 後ろから蹂躙だ。

 羅刹は人を斬れと言っていたな。

 ならば存分に味わってもらおう。


「ぐあっ」


「ぎゃっ!?」


「えっ? お、俺の体ぁっ!」


 空蹴を使い森の木々を飛び移り、立体的な高速機動。

 そしてすれ違いざまに首、手足、防御の薄い部分から羅刹ノ刀で切り落として行った。

 手傷を負わせて、足手まといにする。

 それが戦争におけるセオリーでもあるのだが、この場合は特に関係なかった。

 残りの処理は契約モンスター達にお願いして、クラフトに接敵する。


「かんにんしてぇ!」


「全て陽動だったのか、このバカが……」


 クラフトは青い顔をしたカイトーを捉えて馬乗りになっていた。

 抜刀した燃える剣でそのまま切り捨てようとする。

 そんな後頭部に駆け抜けて膝蹴り。

 イヤァオと言いそうになってしまったが、そりゃ一昔前のプロレスラーだな。


「ッッ!」


 俺の攻撃に気づいたクラフトは、すぐに身を翻してカイトーから離れる。


「──ローレントッ!」


 クラフトは、現れた俺に対しすぐに牙を剥いた。

 一度剣から消えた炎を、その白銀の剣身に再び纏わせて速攻。

 俺は羅刹ノ刀でそれを受け止めてカイトーに告げる。


「カイトーは避難してろ、一応ルビーとローヴォをつける」


「た、助かるわぁ!」


 直接的な戦闘力を持たないカイトーは、すぐに茂みに飛び込んで姿を眩ませた。

 さて、目の前の的に向き合おう。

 剣から放たれる熱量は凄まじい。


「すごい剣だな」


「それはお互い様だ」


 息を止めると一気に前に踏み込んで、鍔迫り合いに勝利する。

 少しだけ違和感があった。


「……近接職じゃない?」


 日々の基礎鍛錬に加えて、マジックブーストや魔装で補強している俺は、それでも魔法職。

 単純な膂力では身体強化スキルをいくつも重ねがけできる近接戦闘系の職業には、いけてトントン。

 トモガラ並みのパワー構成には確実に負ける。


 そんな俺が、鍔迫り合いで押し勝てるのは、いささか違和感があった。

 それもこのクラフトとかいう男は、なんだか俺の初期からの情報を知っていて用心するほどだ。

 おそらく魔法職なのは誰がどう見てもわかっているはずで、そうなれば単純力押し。

 ナガセの時もそうであるが、技術が及ばない立ち位置で来られるのが弱点だと知っているのに、


「魔法職はブラフだってことはすでに知っている」


 俺の言葉を聞いたクラフトはそう言って顔をにやけさせた。


「力押ししたところで、躱されるか受け流されるかして、その隙を突かれる……俺は貴様のことをよく知っている、ぞローレントォッ!」


 クラフトの剣ではなく、──“左手が燃えた”。


「イグニッション!」


 燃え上がる炎のように、──ボッ、と加速して、燃える左手で摑みかかる。

 あれで掴まれたら確実に重度の火傷を負いそうだ。

 タイミングを合わせて腕を切ろうとするが、同じように燃える剣で打ち払われた。


「その刀も知っている! だが、俺には効かない!」


「くっ、マナバースト!」


 これは通用した。

 クラフトは大きく弾かれるが、そのまま足から炎を噴出し周りの茂みを焦がしながら着地した。


「……魔法職か」


 近接戦闘系や身体強化系のスキルでは絶対に起こり得ない。

 こう言った属性を持てるのは魔法職にしかできないことだった。


「そして、俺は貴様と同じ魔法剣士の称号を持つ」


 ローブを脱ぎ捨て、急所に魔甲虫素材で作られたサポーターを身につけたクラフトは、言葉を続ける。


「教えてやる。道場スキルは持っていないが、それ以外は基本貴様と同じようなもんだ。だが決定定期に違うのは──」


 クラフトは再び剣に炎を纏わせ、足から炎を噴出しながら肉薄する。


「俺が火力に長けた火属性だってことだ!」








三下「ん? ファンかなにかかァ?」


ツクヨイ「んなわけねーですよ!」


三下「そっか、PKじゃなかったら熱く語れたのにな? ……ってか俺も魔法やってみようかなあ」


ツクヨイ「いいと思いますけど、魔法職って生産職以外のと一緒に職業を選択するとレベル上がる効率がすっごい悪くなるらしいですよ?」


三下「ああ、だからあいつもレベル上がるの遅いんだ?」


ツクヨイ「いえ、最初に取れるスキルは職業関係ないですし。ローレントさんのレベルアップが遅いのは、確か契約魔法によって吸われちゃってるからですね」


三下「ほォん」


ツクヨイ「初期スキルはスタート時限定の謎仕様ですからね。スキル取って職業選ばせるって、色々とよくわからないですけど、運営はセオリーぶち壊したかった説が濃厚ですね」


ツクヨイ「ってことで初期スキル以外で魔法剣士称号取るには二つの職業を掛け持ちしなければいけません。ってことは、この人は二つの職業を持ってるものっすごいマゾか、ローレントさんみたいに色々ミスったバカか、特典逃してキャラデリしたモノ好きってことですね」


三下「散々だなァ」





ついに、ファンが来た。





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