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ネットが繋がらなくなっており、更新遅れました。


 結果的に納刀しない限りHPは絶対になくならないことが確定。

 納刀と同時に血がブシャーするので、カイトーがえらいことになっていた。


「なんつーけったいな武器をもってんねんな……」


 付着した血痕は時間経過とともに取れる。

 だがそれでも青ざめた顔でカイトーはそんなことを呟きながらとぼとぼ俺の後ろを歩いていた。


 四肢と、首、その他諸々。

 欠損できうるところは全て網羅してみた。

 だが死ななかった。

 HPが絶対1残るって、それどんな呪いなんだろうか。


『悪鬼ノ刀に比べて、羅刹ノ刀は成長条件が著しく難しい』


「悪鬼ノ刀に比べて、羅刹ノ刀は成長条件が著しく難しい……んだってさ」


 心に喋りかけてくる女の子の声をカイトーに適当に説明してやる。


「へぇ、確かに条件が厳しいと、それだけ強力なスキルになったりするもんやけど……これほどの効果っていったい何をどうしたらなるんやろか、それが不思議でたまらんのやけど」


「うーん俺もそう思う」


 何も考えずに使っていただけなんだけどな。


『プレイヤーとNPCを総計千人斬る、これが一つの条件』


 ……そんなに斬ってたっけ。

 でもマフィアを三つ潰して、そしてPKもなんだかんだめちゃくちゃ倒してきた過去があるな。


『魔人を斬りある程度のダメージを与え討伐する、これが二つ目の条件』


 確かに斬ったが、ぶっちゃけ倒したのはエナジーブラスト。

 そしてトモガラやモナカの手伝いもあった上だったのだが、その辺どうなんだろう。


『相手のHP依存ではなく、こちらの攻撃の蓄積によるもの。すぐに達成した』


 そうか、HPが見えない状態でも腕斬ったり、胴体斬ったりしたもんな。

 どうやらHPを減らしてなくてもこちらが与えたであろうダメージが条件に含まれるとのことだった。


『最後の条件。それは悪鬼が持ち主を喰らうこと』


 どういうこと?


『戦闘中に、装備者が悪鬼ノ刀で自ら二回の欠損ペナルティに相当するダメージを負うこと。それが最後の条件』


 なるほど、魔人戦で一回。

 そして三次転職のミラージュ戦で一回。

 合計二回、俺は自分の腕を自ら切り落とした。


『インテリジェンスには供物が必要。賢者の石もその力を得るに相当数の人の命が、魂が犠牲になる』


 ……どういうことなのかわからないが、とにかく了解した。

 面倒なので、条件を満たした結果、悪鬼は羅刹に至ったと。

 そういうことね。


『……ちがう、もっと凶悪でおぞましい……しゃべり疲れたからもう寝る』


 羅刹はそれだけ言うとそのまま黙ってしまった。

 心の中で何を語りかけても無反応なので、とりあえず六尺棒に持ち替えて森を歩く。

 サーチアンドデストロイの続きだ続き、


『寝てても使って、見てるから』


 背筋に何かを感じた。

 それは今まで戦ってきた歴戦のツワモノのそれとは明らかに違っている。

 なんだろう、強いて言えば十六夜と似ている。


 ……こええ。


「グルゥ……」


 そんなことを思っている間に、次の標的が接近しているようだ。

 索敵対決第二ラウンドはローヴォの勝ちといったところ。

 誇らしげに前を歩くローヴォの後を追って、次の獲物の場所へと向かう。




「……まーたえらい集団やな」


「情報が割れたのかもしれん」


 PKもプレイヤーの一人だ。

 メッセージ機能もあるし、リアルで連絡を取ろうと思えば取れる人間もいるだろう。


「くそっ、いきなり人集めて隊列を組めって……んなことやってられっかよ」


「そうだぜ、PKやってんのは好き勝手できるからだろ……ったくよぉ」


 そんなことを愚痴りながらダラダラと歩く後続の男たちを、先頭を歩いていた一人の男がたしなめる。


「おい、静かにしろ」


 低い声、ローブを身につけているので姿はわからないが、体格から近接戦闘を得意とする戦士職らしさが伺える。

 腰の位置には帯剣しているような形の突起がある。

 もしかすれば、魔法職がわざわざ杖を腰に身につけているのかもしれんが……身のこなし的には魔法職らしくない。

 パーティによくいる魔法職は、隊列を組んで歩く場合は先頭を歩かない。

 盾役に守られる火力を担当するからだとトモガラにも言われたことがある。


「おーこわ、まったく、面倒なイベントだぜ」


「ま、拠点奪うっつーでけぇことしたのはすげぇよな」


「ははっ、それだそれ。プレイヤーを殺すよりもでけぇよ、俺もいつか」


「静かにしろ」


 二度目の言葉で、男たちはようやく黙った。

 それでも舌打ちは聞こえてくる。

 PKはやはりPKだったってことだな。

 裏ギルドとかいっても、所詮雑踏どもの集まりだ。


「ねえねえ、これだけいればさすがに大丈夫だと思わない? 三次転職すませたのだって十人以上いるし」


 ローブを身につけた大柄の男に、杖を持った小柄な女プレイヤーが話しかけている。

 装備は、明らかに森を歩く格好ではない。

 女性プレイヤーって強さや機能面よりも、こうやって見栄えを重視するから好きじゃないな。


「バカか?」


 ローブの男は女魔法使いを一蹴。

 いいぞ、もっといってやれ。


「バカってなにさっ」


「情報を確認しろといつも言っているだろ。今この森の東側にいるプレイヤーはローレントだ」


「ああ、まだあの二人しかPKキルできてないっていう、あの男ね」


 俺の名前を聞いた女はつまらなそうな顔をする。


「でもPKされたんでしょ? もっかいしちゃえばっ?」


「それがバカだと言っている」


 ローブの男は、後続にいたPKたちにも聞こえるように振り返る。


「いいかよく聞け。ヘジーとザークがキルした時は、装備を何も身につけてないただの初心者プレイヤーだったそうだ。それからすぐ、奴は一人でヘジーとザークにPKKしたんだ」


 だいぶ前のことを、よく知ってるな。

 裸一貫で森に入って見た俺は、PKを知らなかった。

 そして遊び半分で殺されて、すぐに仕返しを行なった。

 まあ、狼がピンチを救ってくれたんだけどね。


「チッ、いちいちうるせぇな。それがどうしたんだよ?」


 後続二人のうち一人が悪態をつく。


「余程油断でもしてない限り、奴は未だキルされてない。闘技大会優勝や、エリアの解放。各所で散々目立ってるにもかかわらず、お前らは誰一人として奴からキル取れてないだろ?」


「テメェだってとってねぇだろ」


「バカが、闇雲に狙うからそうなるんだ。計画的にPKしろ、頭を使え」


 続けざまに出てくるローブ男からの罵倒。

 有象無象のPKたちは、あまりの言い草に表情が殺気を帯びていく。


「PKは初回が全てだ、そこに命をかけるもんだ。何にも目立たないプレイヤーを遊び半分で倒して、仕返しから未だリベンジを成し遂げてないヘジーとザークを見てみろ。大掛かりな計画を練ってるらしいが、どうだかな? まずは自分の反省を──」


「うぜぇな! くそったれ、やってられっか!」


 ぐちぐちと言葉を紡ぐローブの男に、後続の一人が剣を抜き放ち食ってかかった。


「いちいちウゼーんだよ! 殺したいから殺す! それでいいじゃねぇか。今の俺にはてめぇも標的だぞクラフト!」


 それに流れるように、不満を募らせていたPKがぶつかっていく。


「あわわわ! な、クラフトがいちいちうるさいからっ!」


 女魔法使いは、素早い動きでローブの男から離れて木の後ろに隠れていた。


「……半端な覚悟でPKがつとまると思っているのか?」


 武器を携え斬りかかるPKたちに、クラフトと呼ばれるローブの男は静かに言った。


「いいか、やめろ。二度は言わない」


「うるせぇ!」


 最初に不満を爆発させた男は、彼の制止も聞かずに切り掛かり。

 そして、


「ぐわあああああああっちいいいいいい!!」


 クラフトが抜きはなった赤く“燃える剣”によって顔面を斬られのたうち回る。

 斬り捨てた男に、何のためらいもなくとどめを刺すと、残りのPKたちを睨みつける。


「……隊列を組んで静かに動け。殺すぞ」






羅刹へと至った仕組みでした。

すっごい偶然ですねぇ〜!

でも魔人戦あたりでそろそろ進化するよな〜って思ってみてましたよぉ〜!






羅刹ちゃん「<●><●>」




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