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PKとの本筋が始まる前の幕間のつもりで書いてたらめちゃくちゃ長くなってますね(汗)
すいません(脇汗)
先に動きたのは、もちろんデュアルだった。
息を短くすうと、驚異的な速さでデソルに向かう。
双剣はいつのまにか二つとも抜き放っていた。
『デュアルが速攻をかけたあああ!!』
対するデソルは、どっしりと盾を構えてデュアルに肉薄する。
攻撃が乗る前に、盾を使ったタックルで蹴散らそうってことだな。
「シールド系のスキルなら、確率で相手を仰け反らせるスキルがありませんでしたっけ?」
「ツクヨイ……スキル使ったら負けるぞ?」
「え? そうなんです?」
「動作がそれだけで読めるからな、初期のスラッシュなんか隙がでかいだろ?」
「ああ、それなら私も避けれます! モナカさんから教えてもらいましたし」
ほう、モナカめ、アルジャーノとツクヨイに色々と仕込んでるみたいだな。
ツクヨイ相手だとどうしても本気をだせないし、なんか邪念が混ざってるから、武術を教えてもらえるのは正直助かる。
「スキルなんぞ使ったら、容易に裏をかかれるぞ」
そしてスキルを使った後の硬直。
うまくスキル同士を繋げるいわゆる「チェイン」とやらもあるらしいが、それに信頼を持たせるには三下さんバリのテクニックがいるだろう。
ちなみに魔法職は詠唱があるのでチェインは無理。
だが、その分詠唱関係の補正を行う便利なスキルがあるというが……俺は知らん。
「そうですね、ローレントさんの言ったことは大切な要素です。決闘では、対モンスターではなく、人対人の戦い。読み合い、騙し合い、ここぞのタイミングで切り札のスキルを使う必要があるのです」
トップに上がるほど、隠し持っているスキルは計り知れない。
戦い前の情報戦もマネージメントの仕事で、戦いに臨む闘士には重要な要素となる。
『デソル、突撃! そしてデュアルがステップを踏み華麗に躱して後ろを取りに行く!』
大盾持ちのデソルは、双剣使いで速さと手数に自信を持つであろうデュアルに対し、トップスピードに乗る前に自ら内地へ踏み込んだ。
ついでとばかりに、大盾での面攻撃。
身長的には、デュアルの方が10センチ以上低い。
体積で考えるとふた回り以上の差が出るだろう。
デソルの持っている大盾も、その体を隠し切るほどの大きさを誇る。
「ふおおお! 横に避けましたね! でも黒いハゲの人、すぐに動きに合わせて刺客を取らせない様にしています!」
反時計回りに、デュアルはフットワーク。
そしてデソルも左足を軸にして、引くのではなく追随するように正面で向かい合う。
「大盾持ち……うまいな」
「え? なぜです?」
何気なく出た一言に、ツクヨイが小首を傾げていた。
「盾は、基本的に受け身だ。だから、普通は足を引いて盾を相手に向ける。だが、デソルは踏み足で前進しながらデュアルを正面に構えつつ、徐々に距離を詰めている」
見た所、デュアルの持ち味は速さと手数の速攻。
一度肉薄されれば、大盾での取り回しでは速さを持って徐々に切り崩されていく可能性がある。
後手に回れば回るほど、早いものは後ろを追ってくる。
そうさせない様に、自ら前に出る様な位置どりで、逆にデュアルを後退に近い状況に追い込む。
『デュアルが攻めあぐねている! さすがデソル! 盾職人だあああ!!!』
「……盾職人か」
三下さんを思い出した。
カウンターという何が何でも絶対の盾を扱う三下さんは、状況に左右されない強いアドバンテージを持っている。
動きが一辺倒にならないしな。
双剣で来られても、片っぽをノックバックさせて怯ませることで、封じることができる。
「ローレントさん、どうしたんです?」
俺の顔を覗き込むツクヨイ。
「いや、まあ三下さんの方が上手いな」
「ああ……あの人だいぶん謙遜してますけど、カウンター99%くらいの確率で成功させますもんね。ブロッキングだと100%じゃなかったですっけ?」
……とんでもないな、マジで。
椅子の背もたれを揺らしながら、ツクヨイは言葉を続ける。
「ほんっと、あの人って口は悪いですけど、内面はめちゃくちゃ育ちがいいっていうか、実はすっごくいい人ですよね」
それは知っている。
っていうか本人は悪党ヅラしてるつもりだけど、普通に正義のヒーローみたいな人だ。
「デソルよりも盾の扱いが上手い?」
「今の所は、な」
疑問を浮かべるハリスにそれだけ言っておく。
戦いはまだ序盤の序盤といったところで、それぞれの持ち味が出るのはここからだろう。
十傑というくらいならば、到達レベルは幾つだ。
そういえば、鑑定してなかったので二人を鑑定してみよう。
【デュアル・オーブレイド】Lv100
・闘士
・NPC
【デ・ソル】Lv104
・闘士
・NPC
詳しい職業は見えなかった。
闘技場に入ると、闘士だけになってしまうのだろうか。
両者ともレベルは100に達している。
「マジか……」
思わず声が出てしまった。
「十傑入りするには最低でもそのくらいのレベルは必要です」
「ふむ、それだと魔物を狩ってレベルを上げてチャレンジすれば強いんじゃないか?」
「魔物と対人では勝手が違いますから」
確かに、その通りだ。
それは俺がよく知っている。
同時に、レベルでは測れないものというものが、対人戦には存在する。
スキルの相性でもそうだ。
なら、レベルの必要性は?
ってなことになりうるが、対モンスター戦ではそれが一つの活路となる。
「うーん色々あって色々良い」
「……ローレントさん、たまにずっと独り言言ってますよね?」
「そうか? お前も変わらんだろ」
俺の周りの女子は、尻すぼみのブツブツ独り言が多い。
『なんと! 両者は拮抗して入るとでもいうのか!? デュアルは、貴公子は、断崖に届きうる存在なのかああああ! ここまでくれば、観客席も彼の十傑登頂を応援しているぞおおお!!』
実況の声が響く。
デュアルとデソルに動きがあった様だ。
「アクセラレーション。これで貴様を凌駕する」
「チッ、これ以上早くなるのか。……面倒だな」
【次回予告】
次回、二人の戦いを観戦した後。
ようやく本筋のPK達に復讐の一幕が開始されます。
【一方その頃】
十六夜「ど、どどどうしますか?」
アルジャーノ「……抜け駆けは、許されない」
十八豪「確かに、王都にいかれちゃ現段階だとどうにもならないねえ……チッ」
アンジェリック「妾の扱いが最近手ぬるいと感じますが、無理やり連れていくデートよりも、妾は彼の意思でプレゼントをいただきましたんですのよ!! むきー!!」
コーサー(……気まぐれでは?)
セレク「テージみたいに向こうで拠点を作るなら、専属で移ろうかしらね」
ブリアン「お、おらは農業の都市さ行きたいだよ!」
レイラ「ブリアン、みんな一回連れて言ってもらえるとかないから。っていうか今回の件では一応第一生産組と私にスポットが当たってるはずじゃないの?」




