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 聞くところによると、マネージメントの役割は相手の情報収集やら戦略立案もあったり、選手のサポートを一身に背負うものらしい。

 このハリスという新米マネージメントは、そういうものに一切口を出さないことを約束してデュアルとのマネージメント契約を結んだのだ。


「はは、本当にブッキングするだけの仕事で。しくしく」


 二人三脚で決闘場に臨む、マネージメントと闘士達。

 十傑入りした選手のマネージメントは、マネージメントの中でもかなり上の存在として認められるみたいなのだ。

 だから有望株には争奪戦が巻き起こったりするらしい。


 ランキング圏外の闘士には、見向きもしないが、一皮むけると扱いがかなり変わって来る。

 そんなドリームが決闘場にはあると、またさらに人気を呼ぶんだとか。


「私は複数のマネージメントはやったことないですが、下のランクの方では十数人規模でマネージメントをしてランキングを総なめしてる方もいますね」


「そうなのか」


 いろんなタイプのマネージメントがいるのだろう。

 力関係とかどうなってるんだろうな?

 マネージメントが偉いのだろうか?

 闘士達はあくまで商品として見られていたりするのだろうか?


 疑問は尽きないが、闘士になればわかるだろう。

 歓声の中、ハリスの後ろを歩いて俺とツクヨイは関係者席へと向かう。


「マネージメントは控え室でもモニターから観戦できるようになっているんですが、勝手に入るとデュアルさんが怒るので、基本的に関係者席と呼ばれる場所での観戦になりますね」


 ハリスがそう言いながらドアを開くと──、


『うおおおおおおおお!!! デュアル!! デュアル!!』


『負けんなよデソル!! 俺はテメェに賭けてんだからよ!!』


 ──滾らんばかりの熱狂が広がっていた。


『さぁ、この試合でデュアルが勝てば新十傑の一人として名を残し、もう一人が十傑除外となる大一番です!』


 マイクを持って観客を煽る実況の声。

 その一声一声が決闘場の中央に作られた円形闘技場、それを囲む三階層に別れた観客席に歓声を産む。


 一階席は円形闘技場を近くで座って見下ろすことができ、二階席は少し遠いが席に座って観戦できる。

 そして三階席は立ち見だが、少し広めにスペースが取られ、飲み物や軽食を販売する売り子のお姉さん達が歩き回っていた。


 関係者席は一階席のしたにあり、真横から見渡せる。

 優雅に食事をとりながら観戦している偉そうな雰囲気の人たちも大勢いて、何だか得した気分だ。


「マネージメントは基本的に立ち見ですけど、一番近くで見れますよ」


「椅子ならこっちで準備するよ」


 ストレージにいくつか保管してあるから、アポートで出して座る。

 ツクヨイとハリスの分も出しておこう。


「……え、一体どこから……」


「説明が面倒なので秘密ってことにしておく……が、ツクヨイはどこに座っている」


「え? ローレントさんです」


 ナチュラルに俺に座っていると言われてしまって返答に困る。

 とりあえずげんこつして隣の椅子に座らせておこう。


「あいたー……」


「余計なことをするからだ」


「あはは、仲がいいですね」


 頭を抑えるツクヨイに苦笑いを浮かべながら、ハリスも失礼しますと俺の準備した椅子に座った。


『さぁて、そろそろ場の空気もあったまってきたところで! いよいよ入場だああああ!!!』


「始まるみたいですよ!」


 会場の空気に、あまり乗り気ではなかったツクヨイもワクワクとした表情を見せる。

 決闘場、こんなに賑わってるのか。

 正気にプレイヤーイベントだった闘技大会よりも数倍の華やかさだ。


 プレイヤーの流動とともに色々と解放されていくみたいだから、さもありなんといったところだな。

 王都はまた違った楽しみがあってよいし、開拓したい組は開拓すればいい。

 と、いってもテンバーで基本的なことをこなさなければテージを超えて王都まで足を運ぶことは難しいだろう。


 ……そう考えるとスティーブンの転移ゲートはかなりズルだな。

 まあ、半強制的に修行と称してえらい厄介な場所に連れて行かれる時もあるけど。


「来ます。今までただの双剣使いだったデュアルさんが……今日勝利すれば十傑入り、闘技大会のスターダムへと駆け上がっていくんです。私の実績も……それで……」


 そういうハリスは闘士が入場して来る入り口に熱い視線を向けていた。

 ギュッと手を固く握り締めて、こっちにも緊張感が伝わってきた。


『まずは東軍のチャレンジャー! ここまで破竹の勢いでのし上がって来た期待の新星! “双剣の貴公子”──デュアル! 繊細で高貴なその出で立ちからは想像できない、猛火の様な双剣での連撃は、見るものを圧巻させる!』


 煽りとともに、最初にあった頃の格好と同じ姿のデュアルが姿を現した。


「…………フゥー……」


 深く息を吐くその表情、その瞳は真剣そのもの。

 精神統一とウォーミングアップをみっちりこなし、やや体から湯気が立っている様に思えた。


『そして迎え撃つのは決闘ランキング十位! 十傑の最後に名を連ねる“断崖”──デ・ソル! これまでに数多の挑戦者を退け叩き潰して来た、まさに最初の壁と言える大盾使いだ!』


 西軍の門から出て来たのは、筋骨隆々のスキンヘッドの男。

 何だろう、ガストンに似ている。

 いろんな部分でガストンに出ているが、こっちは生産職ではなく戦う男の体つきをしている。

 一つ全く違う点を挙げるなら、ガストンよりも皮膚の色が濃いってところかな。


「来たな、チャレンジャー」


「ふん……“断崖”のデ・ソルか」


「気軽にデソルと呼べばいい」


「……なら私のことはデュアルさんと敬意を込めろ。これから私が貴様を抜き去り新たな十傑入りを果たすのだからな」


 デソルは、あまり表情が変わらないところもガストンと似ているみたいだ。


『おおっと! 双剣の貴公子、いきなり勝利宣言だああ!!』


『うおおおおおお!!』


『期待してるぞデュアル!!!』


『いいや、そんな生意気小僧は蹴散らしてしまえデソル!!!』


 そして、両者がそれぞれ開始線に立ち。

 戦いのゴングが、──なった。







どうせまた地の文で説明されると思うんですが、なんとなくあとがきのネタがないのでここでも先に説明。


ランキング圏外の戦闘では、スキル制限がかかります。

下位上位の制限ではなく、スキルの個数制限になります。


“使用可能スキルは千差万別あれど、五つまで”

それが圏外のルールであります。

戦い方は何をやってもいいのが決闘ルールですね。(だって死なないし)


ランニング掲示板に載ると、300〜101まではスキルが十個選択可能になります。

100〜1はもうなんでもありです。

どんなスキルが来ようと何かを隠し持っていて、対抗しうる判断力があるとされています。

100〜は結構王都でもファンがつく様ですが、トップテン入りしたものたちには及びません。


こんなに毎日盛り上がった決闘場があるので、テンバーで行われた闘技大会は、え?なにそれ?お祭りか何か?ふーん、あっそ。って感じで眼中に内容ですね。NPCの方々も。


ちなみに決闘王が上限称号ではありませんので。あしからず。




あとがきネタ募集。



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