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(二次転職は85話です)


 確か、二次職業への転職は魔法職のギルドで行ったよな。

 あの時はスティーブンに連れられたのだが、今回は一人で赴く。

 三次転職後のスキルはすでに受け取っているからだ。


 それに、いつものパターンだったら俺に時期が来れば彼から自ずと案内されていた。

 今回はそれがない、一人で行けってことですね師匠。


「あら、お久しぶりですね」


「うす」


 ギルドのお姉さんは変わらず妙齢。

 改めて魔法職ギルドの内装って不思議な感覚がする。


 なんで内壁に蔦が張ってるんだろうか。

 光源になっているところを見ると、普通に灯りとして流用しているんだろうな。


「んだあ? 新入りか?」


 受付で三次転職について尋ねようと思ったら、受付の向かい側にある休憩所のような場所からニヤケ面晒して話しかけてくるリーゼントがいた。




【ブレイム】Lv75

・上級魔法師(火)

・NPC




 とりあえず鑑定いれてみるとNPCだった。

 しかし……なぜ、リーゼントなんだろう。


「……あんまり出入りはしないが」


 そう答えておくと、このリーゼント男は勝手に納得したのか、


「けっ、あんまりセリーナちゃんに絡んでんじゃねぇぞ」


 そう言って指を鳴らし、煙草に火をつけた。


「……あんまり絡まない方が身のためよ」


「はあ」


 絡むつもりは毛頭ない。

 っていうか、ブレイムの言うセリーナとは目の前のこの受付のことなのだろうか。

 このセリーナとかいう女性も実際に仲が良いかと問われれば別にそんなことない。

 事務的なことしな話さないしな。


「とりあえず三次転職に」


「はい、三次転職ですね。あなたの師匠であるスティーブンさんから何か聞いてますか?」


「いいえ、特に」


 ……しまったな。

 もしかして一言でも言っておくべきだったか?


「なるほど。では三次転職へのご案内なんですが、先にボーナススキルポイントを全て消費していただけますか?」


「え? あ、はい」


 俺の思いは杞憂に終わる。

 どうやら魔法職ギルドのの中でも立場が上っぽいスティーブンにお伺いを立てるつもりだったのだろう。

 いなくても問題なく転職は進むようだ。




プレイヤーネーム:ローレント

レベル:70

信用度:130

職業欄▽

[中級魔術師(無)]

[漁師]

[契約魔法師]


残存SP:47

ボーナスパラメーター▽

効果値:30

消費値:10

速度値:0

詠唱値:50

熟練値:30

見識値:30




 残存するポイントは47ポイント。

 ために溜め込んだポイントである。

 さて、ここで何に振るか、問題になって来るのだが……。


 見識値を50に。

 残りを詠唱値に振っておこう。


 詠唱の手間が省けるのは接近戦を主とする魔闘家の生命線でもある。

 だが、見識を上げておかないと上位スキル取れないとかそういう変なのあるだろう。


 先んじてインフォメーションメッセージには三次転職後取得できる的なことが書かれていたが、絶対三次転職終わったら、見識値足りてません的なメッセージが表示されると思うので、ここは見識値へ余裕を持って振っておく。




プレイヤーネーム:ローレント

レベル:70

信用度:130

職業欄▽

[中級魔術師(無)]

[漁師]

[契約魔法師]


残存SP:0

ボーナスパラメーター▽

効果値:30

消費値:10

速度値:0

詠唱値:77

熟練値:30

見識値:50




 溜め込んだポイントの大解放じゃい。

 詠唱値が77と、縁起のいい数字に。


 スキルポイント制がアップデートで無くなったのはありがたいが、うーん……スキルレベルもさることながらまた別でポイント制も復活してほしいと思うこの頃だ。


「終わりました」


「はい、では三次試験の案内ですが……」


「よい、ここから先はわしがやる」


 奥の扉から神々しいほどの銀髪を揺らした少女が姿を見せた。


「ミラージュ様」


 少女の姿を見たセリーナが一言。

 ミラージュ?

 どこかで聞いたことのある名前だな。


「久しいのうローレント」


「…………」


「覚えとらんのか、たわけめ」


 ミラージュ……ミラージュ……。

 頭の中を深く探る無言の俺に、ミーラジュと呼ばれた少女は口角をニヤリと引き上げると言った。


「まあよい。セリーナよ、ちとこの小僧を借りるぞ」


「あ、はい……でもよろしいんですか? 普通なら……」


「よい。こやつはわし本体が相手するに値するやつじゃからのう……では行くかの」


 パチンと指を鳴らすと、俺の後ろに大きな鏡のようなものが出現した。

 目の前にいるミラージュの後ろにも同じ鏡が存在し、俺とミラージュを挟み込む。


 風景が変わる。

 テレポート系の魔法スキルか?


「……ここはどこだ?」


 風景は大きな泉のほとりのような場所。

 神聖な雰囲気を醸し出すそんな場所で、スッと俺の目の前に姿を現したミラージュが空中に浮かび上がりながらこう告げる。


「鏡の世界、とでも覚えておけば良い……では三次転職(、、、、)の試験と行こうかの」


 パリンと音がして、ガラスの破片のようなものが押し寄せる。


「ぐっ」


 今回は、武器を手に持っているので、六尺棒で薙ぎ払う。

 思い出したぞ。


 ミラージュ、二次転職の時ボコボコにした鏡の精霊というかそんな感じのスタンスのやつだ。

 確か二次転職の時は、スキル構成や身体能力をそっくりそのまま映し出して戦いを挑んで来た。

 自分自身を乗り越えろって運営の意図なのかわからないが、とにかくあれだな、スキルや身体能力は一緒でも、それを運用するのは俺自身。

 使いこなしがなってなかったのでボコボコにして泣かしてやった記憶がある。


「また、泣かされたいのか」


「この戯け。少々三次試験の私的利用にもなるが、お灸を据えてやろうかの!」


 空中から、再び割れた鏡の破片が飛来する。


 ドスドスドスドス。

 と、縫い付けて来る強襲を後ろに下がりながら冷静に捌いていく。


「スティーブンから話は聞いていたが、ふむ……なるほどだの」


「何がだ」


「何故、スティーブンがお主がそのままの道を進むように促したか……だの」


 意味深にそう言いながらミラージュは二、三度頷くと「次はこいつじゃ」と指を鳴らし再び鏡を召喚。

 そして砕け散った破片を飛ばす。


「何度も通用すると……む?」


 六尺棒で鏡の破片をなぎ払った。

 だが先ほどまでとは違い、打ち払うことは叶わず。


 三下さんのカウンターのような感触を持って、六尺棒の一撃をはじき返した。

 無防備になった俺に、破片はまっすぐ向かい来る。


「マナバースト」


「無駄じゃ」


 絶対弾くマンが機能しなかった。

 マナバーストによって俺を中心とした魔素の爆発力を持ってしても、破片は押し返せずにそのまま身体に突き刺さる。


「ぐっ」


「ほっほ、いい気味じゃ。わしの持つ固有スキル【絶対反射】は超えれぬよ。同属性を駆使しても、相殺し必ず相手に突き刺さる」


 あざ笑うミラージュ。

 まさに、鏡の精霊の真骨頂ってところか。

 っていうか、ナチュラルにマナバーストを超えて来る奴が出始めて、ちょっと上位スキルの取得とレベルあげに奔走しないといけない必要性が出てきたな。

 依然として浮かんだまま俺を見下ろすミラージュに聞く。


「カウンターとは違うのか?」


「ふむ、カウンターは一つのカウンターポイントを利用し、威力をそっくりそのまま弾き返す。まあわしがプレイヤー用に作った物理法則みたいなものじゃ、それと比べるのは些かどうかの?」


 膝をつく俺に、ミラージュは新たに長方形の大きな鏡を3枚出現させる。


「わしの鏡は全てを跳ね返す強制力を持つ、チンケなカウンターと同格にしてくれるな? ──【三華の鏡】」


 鏡は巨大化し、俺とミラージュを囲むようにスッと外に広がった。

 何が来る、予想がつかない。

 スキルの場合、一度確かめないとどんなスキルかわからないことが多い。

 とりわけミラージュのスキルはとんでもない効果の匂いがプンプンする。


「スティーブンの弟子じゃから、ヒントを与えておこう。【三華の鏡】は……相手の命中率を下げつつ、わしの命中率を上げ、なおかつ攻撃力三倍じゃ」


 またもや、ニヤリと口角を上げるミラージュ。

 まじかよ、強すぎだろ。




さて、強力なロリババアキャラが出現しました。

ロリババアと言っていいものかわかりませんが、鏡の精霊です。

この戦いが終われば、ついにローレントも上級職へといたれるわけですね。

契約魔法は強すぎるかと思い、あえてマフィアを噛ませて途切れさせていますが……きっとどこかで復刻すると思います。

それはクラスチェンジするか、誰かをクビにするか、奪われるか、裏切られるか。

どうなることやら。






あとがき小話。(読み飛ばしてオッケいんご)

今月は別作品の書籍が再びtera名義で世にでる月で忙しかったのですが、毎日更新は続きます。

でも来るべきEDF5のために練習がてら4.1をやらねばいけません。

日々、葛藤の毎日です。

あ、仕事は一応ちゃんと本職持ってやってますよ〜。




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