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土曜スペシャルでした。
「ああ、すいません、東の川が問題が多そうだって言ってしまって……」
「いえ、実際に問題ありありなのは確かです。私達だけじゃなくてその周りもそうですが」
村の建設が難航しているのも、そもそもその他の対応に追われていることが原因の一部でもある。
レイラがよく愚痴っていたが。
村を作る側の、生産職メインの人達の都合で建物が建つのは仕方ないと思う。
サイゼとミオンだって自分のお店を持ちたいと言っていたし。
他の生産職だって自分の工房欲しかったりするんじゃないの?
独占は良くないが色んな生産職で寄り合って活動できるスペースがあるのは良いことだと思う。
これで結果的にみんな諦めてしまったら。
目も当てられないな。
もっとも、レイラに限ってそれは無いと思うが。
「プレイヤーの拠点、早くできると良いですね」
「そうですね」
ブラウ達も待ち遠しいのだろう。
ありきたりな返答をしておく。
気軽に物を言える立場じゃないしな。
とにかく、今は東の川の拠点から離れて。
色々と熱りが冷めるのを待とう。
「それでは」
会話が出来たのは楽しかったが、流石にパーティの邪魔になると思うので。
トンボ狩りは一旦辞めて、森へ入ってみようかと。
「あ、あの。よろしければ野良でパーティ組みませんか?」
ブラウから提案があった。
「一応テイムモンスターも経験値が等分されちゃうんですが、大丈夫ですか?」
俺を一人として計算すると。
ローヴォの分、余計に経験値を獲得してしまうことになる。
サモンモンスターとかじゃ無いので帰還とか召喚とか出来ません。
「……構わない」
透き通った瞳が俺を射抜いていた。
アルジャーノだ。
「別に良いわよ? そこを気にするようなら他のパーティがいない状況でフィールドになんて出ないし?」
「どうですか?」
エアリルもあっさりとした受け答え。
そう言ってくれるのであれば。
是非ともパーティプレイをお願いしたい所。
「よろしくお願いします」
無論、断るという文字は無いのである。
「魔法使いですが、前衛で大丈夫です。ローヴォは索敵と奇襲が得意です」
「……知ってる。興味深い」
「お噂は予々です。僕は剣と共に近接格闘スキルも修めているので、是非ともご教授願いたい所です」
「まあ、私達は掲示板なんてどうでも良いから気にしないで」
ありがたかった。
優しい世界が広がっていますよ。
と、言う訳でパーティ申請が来た。
遠慮なく承諾。
「トンボ狩りですか?」
「ええ、ヨイイブシの集団を引き連れたギンヤンマというモンスターが居ます。それがこれを落とすので」
銀インゴットを見せると。
エアリルが目の色を変えた。
「狩るわよ! 狩り尽くすのよ!」
ジュエリーモンスターだったか?
そんなことはどうでもいいや。
発生条件がわからないので、とにかくヨイイブシを狩りながらグルグル周回するしか無いのである。
沼の周りは見晴らしが良いので。
そこをグルグルと。
「めんどうだわ……ウィンドカッター!」
草刈りだ!
お、接近して来ていた数匹のバッタが倒れている。
どうやら触覚と後ろ足をスッパリやられているみたいで。
便利です、風魔法。
「え? まあそうね。草刈りくらいならスキルマックスボーナスで扇状に広がり指定できるから便利よ?」
幾つか質問するとエアリルが機嫌良く答えてくれた。
空を飛べる日が来るのだろうか?
いつかきっと。
さて、都合良く現れてくれたのはヨイイブシの集団でした。
レベル帯は7〜8と、手頃なメンツ。
数は?
五匹か、うん丁度良い数だ。
「リットライト」
アルジャーノの詠唱。
頭上に光の玉が上がる。
そして俺らを照らす太陽のように輝きだした。
もしかして灯りの魔法?
カンテラ要らずだ、これも便利過ぎる。
「各自迎撃で」
ブラウが言う前に、草むらの中に身を隠していたローヴォが、アルジャーノの閃光と共に飛び出していた。
ローヴォ出来る子過ぎ。
撹乱するトンボを六尺棒で叩き落として行く。
「MP温存しとくわね」
「ここは前衛の僕たちが頑張りましょう。ハイブースト!」
渦中へ、ブラウも剣を構えて飛び込む。
【ブースト】よりも更に速く動けるようになるのね。
その【ハイブースト】ってスキル。
トモガラの【マッシブ】は腕力特化の派生だが。
この【ハイブースト】は【ブースト】の正当後継スキル。
片手剣と近接格闘のコラボなら。
小太刀術とかどうだろうか?
ブラウの戦い方を見てそう思った。
「戦果は上々ね!」
後ろで見ていたエアリルがドロップ品を集めながら言った。
まあトンボの翅なんて持ってても意味ないし。
倒した分だけ貰うことに。
そんな訳で、三十分程トンボ狩りながらグルグルしていると。
【ギンヤンマ】Lv5
月夜の水辺に姿を表す魔物。
羽音が唸り声の様に聞こえるので、水目に現れる謎の魔物として恐れられている。
【ヨイイブシ】Lv9
月夜の水辺に姿を表す魔物。
紫色の模様が身体を月夜に溶かす。
出ましたギンヤンマ。
時間を確認すると、大体一時間くらいかな。
時間わきのようでした。
お供のヨイイブシもレベル9と高め。
ってか次クラスチェンジ控えてる組なのかな?
これは。
「レベル5だけど?」
「気をつけてください、クラスチェンジしていると思うので本当はレベル15相当だと思います」
「わ、わかったわ」
ギンヤンマのレベルを確認したエアリル。
僅かに疑問を浮かべるが、ソロ討伐じゃかなり苦戦する敵。
ここは油断せずに当たってほしい。
「ギンヤンマの突進は私のHPの約四割を持って行く程です」
「強敵ですね、みんな詠唱準備してて!」
「……委細承知」
「わかった!」
流石に手は抜けないので。
俺も詠唱セットしておこう。
最初は補助魔法。
「ハイブースト!」
「ブースト!」
……スキルが劣るとか言わないでね?
仕方ないじゃないの。
【アポート】の出番が最近全くないのも頂けないな。
そろそろ大剣も使って行くべきだが……。
如何せん素早い敵が多い。
「フィジカルベール! メディテーション・ナート! エンチャント・ナート!」
敵の攻撃が来る前に詠唱が間に合った。
ローヴォは既に藪に身を潜めている。
「リットライト」
「エアーフロウ!」
遅れて照明代わりの光の玉が浮かび上がり。
エアリルを中心に風が吹いた。
……気流?
なるほど、制空権を奪いに行く作戦ね。
素晴らしい。
ヨイイブシには有効な作戦だと思う。
ややホバリングするのに苦労している節が見て取れた。
だがギンヤンマには何処吹く風って感じ。
出力が足らんのかな。
「レベル的に持て余します! ギンヤンマの方はよろしいですか?」
「了解です!」
ブラウも流石にきついと思ったのか。
ローヴォと共にヨイイブシを片付けに行く。
「……ライトブレス」
浮かび上がった光の玉から、俺の身体に補助魔法が降り注ぐ。
何となく身体が軽くなった気がする?
プレイヤーネーム:ローレント
職業:無属性魔法使いLv15
◇バフ
ダメージ軽減Lv2.52(3.0)
魔力向上Lv1(1.2)
武器属性付与Lv1(1.2)
身体能力向上Lv4(4.8)
光の祝福Lv6
デスペナとかが表示される場所に、バフが表示されている。
上からベール、メディテーション、エンチャント、ブーストの順かな。
そしてよく見てみると、カッコ付けで更に上昇しているっぽい。
アルジャーノが瞬き一つせずに俺の顔を見て言う。
「……ライトブレスは向上と熟練のパロメーターを大きく上げてある。スキル効果が約1.2倍」
ありがたいことだ。
【ブースト】がほぼマックスの状況まで持って行けた。
だが詠唱が補助魔法なのにやや長いようだ。
光属性魔法使い、すげー。
得物は?
素早い手合いにはヌンチャクとレイピア。
とりあえず一投。
久々のレイピア投げ。
ギンヤンマは難なく交わす。
その隙に前に出る。
そしてヌンチャクは?
投げます。
無手の状態に陥る。
機敏な上下の動きで、ヌンチャクは躱され。
ギンヤンマは再び同じ位置に戻ると。
無手の俺目がけて急発進。
躱しますか?
その選択肢はノー。
後の先?
いえ、織り込み済みの先々の先です。
【アポート】でレイピアを手元に。
「スティング!」
正面からひとつき。
今回は逃げられないように突きの動きにスキルを重ねてみました。
結果、突き攻撃の動きが素早くなります。
「おお、それがアポートですか? 意表をつくのにうってつけですね」
「……興味深い」
「あれ? ウィンドカッター詠唱してるのにもう終わってるの?」
とりあえず投げたヌンチャクを手元に寄せとく。
六尺棒に切り替えよう。
五人パーティだと、統率の取れたトンボ達相手でも全然楽に勝負できる。
ほぼノーダメージで狩れるのは美味い。
その分経験値も等分されるけど、消耗が少ないのは良いことだ。
「解体どうぞ、私は既に一体狩ってましたので」
「いいんですか? ありがとうございます」
レイピアに刺さったままのギンヤンマをブラウに差し出す。
そして光の粒子に。
「おお、銀インゴットと翅が取れました! 翅も銀素材が取れるみたいですね?」
喜んでもらえたようで何より。
代わりに俺は【月夜蜻蛉の複眼】を頂くことにした。
錬金素材は欠かさず保存しておくのだ。
そのまま、彼等と共に。
夜が更けるまでトンボ狩りを行っていた。
倒したギンヤンマは二体。
ドロップは【銀インゴット】と【銀蜻蛉の翅】でした。
安定のと言った所。
その他のドロップも見てみたいが……、銀が取れるので良しとしておく。
【ヒノワトンボ】Lv3
朝焼けと共に姿を表す魔物。
広げた羽の模様が日輪にも見える。
「モンスターが変わりました?」
「もう、夜明けですからね」
ヒノワトンボを斬り捨てたブラウがドロップを回収しながら言う。
ドロップは【日輪蜻蛉の翅】でした。
特に代わり映え無し!
どうやらヨイイブキとギンヤンマは夜専のモンスターだったみたいだ。
ポップしたヒノワトンボのレベル帯もかなり低め。
「そろそろ疲れたわぁ」
エアリルが欠伸を一つ。
アルジャーノの目が半開きになっている。
十分な戦果も挙がっていることだし。
この辺りでパーティは解散の運びとなった。
「その、フレンド登録いいですか?」
「そうね、また何かあれば一緒に狩りましょ」
「……私も」
「どうぞ」
楽しい一時を過ごせたので、快く了承しておく。
前衛と後衛、補助が揃っていると、魔物を狩るのはかなり楽だった。
機会があればまたこっちからお願いしたいくらいです。
「私はもう少し狩りますね」
「はい、ではまたいずれ!」
町の方へ戻って行く彼等を見送った後。
さっそくスキルポイントを振る。
ローヴォは回り見といて!
プレイヤーネーム:ローレント
職業:無属性魔法使いLv16
信用度:80
残存スキルポイント:0
生産スキルポイント:4
◇スキルツリー
【フィジカルベール】
・軽減Lv5/5
・熟練Lv1/5
・消費Lv1/5
・詠唱Lv1/5
もちろん防御上げで。
硬くなっといて損は無い。
物理攻撃力の低さ……。
それは急所攻撃でカバーだ。
おっと、ローヴォもレベルが上がっているな。
◇テイムモンスター
テイムネーム:ローヴォ
【グレイウルフ】灰色狼:Lv3
人なつこい犬種の狼。
魔物にしては珍しく、人と同じ物を食べ、同じ様な生活を営む。
群れというより社会に溶け込む能力を持っている。狩りが得意。
[噛みつき][引っ掻き][追跡]
[誘導][夜目][嗅覚][索敵]
[持久力][強襲][潜伏]
※躾けるには【調教】スキルが必要。
藪から奇襲してたからかな。
何にせよ、出来ることが増えて素晴らしいです。
買い置きしてある携帯食料を頬張る。
ローヴォにも与えようと思ったが、余り好きじゃない様子。
森の魔物でも齧らせるべきか?
駄犬がそれでいいなら、俺もそれでいいけどさ。
では行きましょうか。
森へ、山へ。
魔物が俺達を待っている。
プレイヤーネーム:ローレント
職業:無属性魔法使いLv16
信用度:80
残存スキルポイント:0
生産スキルポイント:4
◇スキルツリー
【スラッシュ】※変化無し
【スティング】※変化無し
【ブースト(最適化・補正Lv2)】※変化無し
【息吹(最適化)】※変化無し
【エナジーボール】※変化無し
【フィジカルベール】
・軽減Lv5/5
・熟練Lv1/5
・消費Lv1/5
・詠唱Lv1/5
【メディテーション・ナート】※変化無し
【エンチャント・ナート】※変化無し
【アポート】※変化無し
【投擲】※変化無し
【掴み】※変化無し
【調教】※変化無し
【鑑定】※変化無し
◇生産スキルツリー
【漁師】※変化無し
【採取】※変化無し
【工作】※変化無し
【解体】※変化無し
◇装備アイテム
武器
【大剣・羆刀】
【鋭い黒鉄のレイピア】
【魔樫の六尺棒】
【黒鉄の双手棍】
装備
【革レザーシャツ】
【革レザーパンツ】
【河津の漁師合羽】
【軽兎フロッギーローブ】
【軽兎フロッギーブーツ】
【黒帯(二段)】
◇称号
【とある魔法使いの弟子】
【道場二段】
◇ストレージ
[貸し倉庫]
セットアイテム↓
※残りスロット数:10
◇テイムモンスター
テイムネーム:ローヴォ
【グレイウルフ】灰色狼:Lv3
人なつこい犬種の狼。
魔物にしては珍しく、人と同じ物を食べ、同じ様な生活を営む。
群れというより社会に溶け込む能力を持っている。狩りが得意。
[噛みつき][引っ掻き][追跡]
[誘導][夜目][嗅覚][索敵]
[持久力][強襲][潜伏]new
※躾けるには【調教】スキルが必要。
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本日の更新はここまで。
明日からまた一更新していきます。
ちなみに、朝更新ではなく。
夜零時過ぎの更新にします。
予約投稿がめんどくさいです。
今日の24時以降に更新です。
捕捉ですが。
光属性はかなり補助よりの派生スキルが多め。
と言った所。
光属性はリットライトという魔法を基盤に。
補助スキルをパーティにかける。
そしてそういったグロウイングをして行かなければなりません。
無論、攻撃魔法もありますが。
補助魔法の性能の方が良し。




