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 足首に巻いていたミサンガが光る。

 ……セレク愛してる!


 兎のミサンガが、俺の死を無かったことにする。

 瀕死だったケンドリックが完全復活を遂げたように、HP、MP共に全回復。

 そして、すべてのスキルがクールタイムから解き放たれる。


 掛け直す。

 そして、マナバースト。


「──あ?」


 吹き飛ぶ瓦礫にPK達の視線が集中する。

 ……本気で死んだって思っていたが、首の皮一枚で助かった。


「どういうことだ?」


 完全復活を遂げた俺に、訝しむ表情をするナガセ。

 三下さんがボソッとつぶやいた。


「ああ、あの馬鹿ボンの持ってたやつをローレントも持ってたのか」


 セレクが作った一番最初のミサンガだと思う。

 いやはや、命を救われるとはまさにこのこと。

 もう油断はしない。

 というか、チャージのためがマナバーストで止められてる時に完了していたとか、わからんぞ普通。

 そして吸着とかな。

 とにかく注意していこう。


「……なんだかしらねぇけど、てめぇらお得意の弾きなんか俺には通用しねぇ。何度来ても一緒だ」


「へえ、やってみろ」


 そう言い返すと、ナガセはムッとした表情を作った。

 そして大きく飛び上がる。

 天井に着地し、フライングエルボーの体勢をとる。


「!?」


「お前だけがそれをできると思うなよ」


 天翔飛び。

 逆さまになって交錯する。


 っていうか最初も見た時驚いたのだが、この技を使う奴がいるとなれば……。

 門下生か?

 こんな奴いたっけなぁ。


「てめぇ、どこでその技を」


「そっちこそ」


 ドロップやプレス技は下に叩きつけてこそ、その真価を発揮する。

 全ての技がそうだ、しっかり大事を踏みしめてないとな。

 プロボクサーは地面を蹴って打撃を出すイメージだとかいうらしいし。


「そら」


「ぐっ!」


 悪鬼ノ刀で斬りつける。

 だがヘビースキンというスキルに阻まれて、あまりダメージは通らなかったようだ。

 邪気もタフネスに阻まれているというか、なんというか。

 厄介な相手がPKとして出てきたもんだな。


「エナジーブラスト」


「うおあ!! く、空中チャージ──」


「残像だ」


 地面に足が付いてなくてもいいのか?

 空中をスライドするようにしての突撃。

 強制的に絡め取り、再び背面の壁に叩きつける算段だろうが、無意味だ。


「はっ!?」


「一人でぶつかってろ」


 さっき残像使っとけよって話だろう。

 この戦いを見ていた奴がいたら、さっき使っときゃいいのにとか。

 また舐めプしてるとか、色々と言うだろうが……。


 マナバーストが百パー弾けてたものが弾けなかったと言う隙をうまく突かれた。

 タフネスについての説明書、もってこいよ。

 たまにはミスる時だってあるだろ、と言ってやりたい。


「うおおおお!?!?」


「ん?」


 ナガセのチャージが向かう先。

 そこにちょうど三下さんがいた。


「俺もちっとばっかり負けず嫌いでよォ」


 そういいながら、デリケートモーションの他に、ハイクオリティムービングではないもう一つのスキルを詠唱する。

 プロフェッショナルムービング、と三下さんは言っていた。

 さらに、ボディガードというスキルとともに、サロウレジストを施して、チャージ中のナガセにあえて正面から向かって言った。


「馬鹿がっ! タフネス持ってるっつってんだろ!」


「ハッ! 馬鹿はテメェだろォよォッ!」


 そう意気込む三下さんは、チャージにやや押されながらも、フリップディレクションを唱えて、ナガセの勢いを大きくそらした──余裕ブッこいて観戦決めていたPK集団たちの元に。


『へ?』


「うおおおおあああああ! てめぇら! 退け! 逃げろ! じゃないと轢き殺しちまうだろおがああああ!!」


『ナ、ナガセさん!? うあああああ!!!』


 ──ドゴァッ!

 二、三人ほどまとめて引き連れて壁に突撃していくナガセ。


「ケッ、タフネス? テメェまだレベル75じゃねぇかよ、俺のレベルは85だぜ? 血反吐の思いで取った上位スキルなめんじゃねェよ」


 そんなPKたちを見て、三下さんはそう吐き捨てた。

 かっこいい、ボディーガードとか、サロウレジスト。

 そしてプロフェッショナルムービングなんて、いったいどう言うスキル構成してんだ。


「スキルについて、詳しく教えてもらえないのか?」


「ハッ、企業秘密ってやつだぜ」


 そうこうしてる間に、狼狽する生き残ったPKを狩っていく。


「コーサー、残りのPKはやれ」


「はっ! くっ! おりゃ!」


「くそがあ! よくもナガセさんを!」


 よくもナガセさんをって……まだ死んでねぇよ。

 混乱し、感極まったPKの相手なんか、コーサーの敵ではないだろう。

 今のところボス的存在が俺ら基準であるため、コーサーは足元にも及ばない。

 みたいなことになるのが多々だったんだが、地力はかなり持っているだろうな。


「……くっそ、よくもやってくれたじゃんか……」


「ナ、ナガセ! 大丈夫かしら!?」


 今まで傍観していたファシミが、傷を負ったナガセを心配するように駆け寄った。


「おう、危ないから下がっててくれ」


「くっ……ッッ!」


 ファシミがキッとすごい表情でこちらを睨む。

 あ、ちなみに戦いの最中なんでナガセの場所までかけていけるんだとかそう言うツッコミはなしね。

 実際基本交渉せざるを得ない立ち位置にファシミを持って行くことが重要だから。

 一から十まで説明すると、話の本筋はPK以外のファシミストロの戦力は、できるだけ残した状態でコーサーファミリーに吸収させる、だ。

 全面戦争となる場面では数的有利から基本的に拘束というやり方を徹底させている。


 なら地下水道は?

 皆殺しにしたんじゃないの?


 ってこれまた言ってくる奴がいると思うが、しないとこっちがやられるからだな。

 作戦に犠牲はつきものである!








小言になりますが、近所のコンビニにすっごい美人がいます。

見るだけなら美人が最高。

でも、美人ってちょっと怖いですよね。


まあ、自分のことしか考えてないローレントは美人がいてもコンビニの肉まんに興味をそそられそうですが……。

彼の私生活、気になるところですね。

ええ、書籍版でのみ、深く触れてますよ。^^





ローレント「ダイマには死を」




ウェブ版の方を300話近く読んでいただきありがとうございます。

ここまで読まれました方に、厚く御礼申し上げるとともに、元気が出る念を私から送っておきますね。




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