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 多対一での戦いでは、その立ち回りが必要になる。

 動き回り、相手からの攻撃をもらわないように心がけつつ、一人一撃で倒すことを心がける。

 無理でも二撃か、しばらく戦闘不能にするくらいが良い。

 それが無理なら数に押されてやられるだけだ。


「うらっ! てめぇら囲っちまえ! 囲っちまえば何もできねぇ!」


 一人のPKの叫びに応じて、立ち上がった奴らが押し寄せる。

 乱雑な集まりには規則性はない。

 連携などは考えず、ただ闇雲に前にいる標的に向かうのみ。


「だから、初手は左右前方を避けつつ後ろに下がり攻撃」


 後ろから狙う敵は、だいたい余裕を持っている。

 反撃される心配がないからだ。

 その心の隙をつき、後ろに下がり、後頭部で鼻っ面を打ち付け──


「そのまま首を持ち、前に投げる」


「ぐえっ!」


 すると、前方の敵に対する武器となる。

 できなかったら後ろ蹴りで金的を当て、腹を蹴って前方に飛び。

 スーパーマンパンチでもいい。

 勢いを付け全身を振っての打撃だから、不意をついた際の威力はかなり強いぞ。


「で、投げた後はそのまま一緒に前転し、左右の敵を回避しつつ後方から距離を取る」


 この時、投げ飛ばしたやつを踏みつけてとどめを刺しておくことを忘れるな。

 そう言いつつ踏みつけようとしたが、すでに二人とも気絶していた。


「これで前と後ろを倒した、次に──」


「講釈垂れてんじゃねぇよ!」


「くそったれがっ!」


 左右、長剣を持った二人が勢いづきながらそれぞれ横薙ぎに振るう。


「コ、コンシリエーレ!」


 コーサーの心配する声。

 だが、目は閉じてないみたいだな。


「落ち着け、こう言う時は落ち着いて対処だ」


 腕を伸ばして胴に横薙ぎの攻撃は、避けづらいだろう。

 両手の新しい手甲で弾き返すこともできるのだが、そうだな。


「ほっ」


 とりあえず跳躍して百八十度の開脚。


「ぐえっ!?」


「ぐはっ!?」


 斬りつけてきた二人の顔に蹴りを入れておいた。

 格闘漫画でよくある両サイドの敵の攻撃をかわしながら蹴る技だな。

 上手く顎に命中させないと、次手で詰みかねない。


「そして長剣を使った戦い方に移行しよう、今のは体捌きでの翻弄だ。長剣がないときに使えよ」


 そう言いつつ悪鬼ノ刀を手元に転移させ、鞘を滑らせながら目の前にいたPKの顔面を切りつけた。


「……か、ぺ……」


 わなわなと震えながらPKはどさりと倒れる。

 そうか、邪気による恐慌補正がかかっているようだ。

 さらに、ローヴォの不幸を呼ぶ瞳の効果で相手にバッドステータスとともにあらゆる状態異常がかかりやすくし、確率によって成果が変わるスキルの確率を下げる。


 これによって相対的に俺が強くなる。

 コーサーは持ってないから、また滝壺のゴブリン倒してドロップ狙おう。

 でもあそこもう穴場じゃなくなって、なんつーか……順番待ちの人がいっぱいいて面倒なんだよな。


「長剣ならば、こうだ!」


 動きは先ほどと変わらん、後、前、両サイド。

 相手の攻撃はすり足気味に体を捌き避け、相手の攻撃が乗る前に背中を合わせ腹を突き刺す。


「ぐふぅっ!」


 そして、できることなら武器を持つ手を切り落とし、膝を逆に蹴り折ってしまえ。


「て、手が、ぐぎゃあっぁああ!」


 正眼に構えたら、相手の攻撃に合わせるようにして剣を薙ぐ。

 武器対武器ならば、武器を持つ手を落とすことで圧倒的優位に立てる。


「前方の敵の攻撃を流し、そのまま返しの刃を薙いだら、蹴り倒しながら喉をつく──ほら前方に空きができた」


 踏み抜け、そして反転し、霞の構え。


「ぐっ」


 両サイドからなんとか攻撃しようとしていた奴らを目で牽制しつつ、刀身に反射する敵を見て後ろの様子を伺う。

 そして前と両サイド、誰も攻めなかったら──、


「必ず敵は後ろから来る」


 後方から飛び込んできた敵を反転し刀を振り上げ一刀両断。

 断面までリアルだ。

 このほかにも正面の敵の目を見ることで後ろの視界を得る方法もある。

 まあ俺レベルになると、気配だけで察知できるが、ここは技法を伝授だな。


「わかったかコーサー」


「ま、前よりはなんとなく!」


「よしっ」


「師弟愛ってやつかァ? 泣けるぜェ……ほろり」


 三下さんは、腕を組んで俺の様子を見ていた。

 女マフィアも、次々とPK達が倒される様子を黙って見入っている。


「く、くそっ……」


 悪態をついて攻めあぐねるPKに、ひたりひたりと近づきながら刀身を突きつけた。


「ひっ」


 慄いて尻餅をつくPK。

 ダサいな、男気はどこにいったんだ。

 アウトローは根性勝負じゃないのだろうか。


「攻撃が届く範囲をよく知っておけ」


 ぐるりと、円を描くように刀を持った腕を動かす。

 上下左右、球体を描くように。


「自分の領域をよく学び、そして戦い方をすり合わせるんだ。一度間合いに入ったやつは、どんな奴で必ず倒すと決めろ。自分の領域を守れない奴に命はないも同ぜん──」


 パンッ──キン!!

 発砲音がした。

 俺は飛んできた魔銃の弾を刀で斬り弾いた。

 ……女マフィアどもか。


「例え女子供でも、殺す覚悟を持っていたら殺される資格を有するからな?」


 人が話してる最中に邪魔するとか、一番やっちゃダメなことだと知れ。

 PKキラーなんか関係ない、これだから女は……人の話にいちいち口突っ込んで来るから嫌いなんだ。


「ひっ」


 邪気と不幸の瞳の効果で、いつのまにか数を減らしたPKより多くなった女マフィア達が慄き後ずさる。

 怯えた表情をしても、死合いの場に立った奴には容赦しない。


「三下さんとコーサー、そしてローヴォ。PK達の後始末は任せた」


 俺は今から、人の話に横槍を入れるような奴らにきついお灸を据えてやるんだ。








霞の構え。

かっこいい奴ですね。

おしゃれな奴です。


あ、そうだ。

ちなみに、感想でちょいちょい反応があったヒロインを出すように心がけています。


いつもGSOを読んでいただいてありがとうございます。

そしてブクマ、評価、感想いただけまして、感無量です。

書籍版、ウェブ版ともによろしくお願いします。



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