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「や、やっぱりむ──」


「無理じゃない」


 敵対する者たちの多さに、コーサーが怖気付きそうになるが、ここはグッと引っ張ってやろう。

 三下さんも空気を読んで、率先して前に出てカウンターで攻撃をはじき返していく。


「遠くからやれ! ナガセさんの流儀は今だけは忘れろ! なんでもありのプレイヤーキルだ!」


「ファシミ隊は性根の腐った男に狩りで負けるんじゃないよ! 相手はたったの三人なんだから、それも男! 積年の恨みを今ぶつける時であることを忘れるな!」


 練度は低い。

 いや、女マフィアの練度はそこそこ高いと言ってもいいが、プラスにマイナスを掛けてるような感じだ。

 ゆえに、割って入る隙ができる。


「エナジーブラスト」


 弓矢スキルと使った攻撃と、魔銃の一斉砲撃が開始されかけたのだが、それも圧倒的質量で押し返す。

 エナジーブラストの一閃とともに、前に駆け出して、六尺棒で打ち付けて蹴散らしていく。

 コーサーも長剣を持ってなんとか戦っているのだが、その足さばきはおぼつかない。


「そら」


「ぐはっ!」


「ひっ! いきなりこっちに敵を仕向けないでください!」


 と、俺がぶっ飛ばしてコーサーに差し向けたPKの一人を切り捨てている。

 やればできるじゃないか、だがいちいち喋ると隙ができるぞ。

 コーサーの後ろから斬りかかろうとしたPKの喉笛に、ローヴォが食らいつき仕留めた。


「ヒャハハハッ! いいぜいいぜ! おら、雌ども! 俺を狩ってみろやァ!」


 三下さんはそんな凶悪なセリフを吐きつつ、女マフィアの攻撃を受け流し、そしてたまに魔銃の一撃をカウンターではじき返すと言う芸当をお披露目していた。


 絶好調だなあ……三下さん。


「おらおら! テメェら女マフィアどもはこんな細くてなよなよした男一人すら殺せねェのかァッ!」


「くっ、愚弄するな! ええい、ナガセ殿の雑魚兵は放っておいて、ファシミ隊はファシミ隊のみで隊列を組むんだ!」


 隊列を組んだところで、意味はない。

 六尺棒を足にかけしゃがみこみクルリ足払い、中国拳法で言う後掃腿だ。


「きゃっ!」


 バランスを崩させて、そのままもう一回転し、下水だまりに打ち飛ばす。


「いやあああああああ!」


「く、これだから男は!」


 これだから男は?

 俺はトンスキオーネと戦った時、自ら下水に飛び込んで一人ずつ敵戦力を削いで行ったぞ。

 戦いはなんでもありだからな。

 そう、ガンストの時のように金で雇ってタコ殴りにするのだって、実質なんでもありだ。


 もっとも、周りがどう思うかは別として。

 卑怯な手を使って、周りから孤立してもいいと言うのなら、なんでも。


「でもさァ、普通あの足払いでころりと人が空中に浮くかァ?」


「うーん、打ち所の問題かな。一応魔法職は力不足があるから、こっそり練習してたし」


「見てないところでよくやるぜェ」


 テンバー裏通りの空き地で、空き時間は修練を欠かさない。

 武道場の師範代であるステファンが、スキルも体も鍛えれば魔法職でも立派に近接ができると行っていたしな。

 でもまあ、ガチ近接職を選んだ俺と、魔法職の俺がスキルなしのガチンコの殴り合いをした場合。


 きっと負ける。

 だが、スキルありだとどうなるだろうか。

 周りの人も言うが、幸運なことに俺のスキルはあまり他のプレイヤーが持っているものではないらしい。

 やり方によっては余裕で勝てるな。


 自分自身との戦いか……二次転職の時そうだったな。

 でも、ただスキルとか諸々のものを真似ていただけだったから、本人が持っている技術は真似ることができず、ボコボコにして終わった。


「……とてもそんな風には思えませんけどね」


 俺のセリフにそう言葉を返すコーサー。


「どう言う意味だ?」


「………………生まれた時から強かった?」


 長い沈黙からポツリ。

 んなわけあるか。

 人をなんだと思ってるんだ。


「ローレント戦闘民族説ゥ?」


「んなわけあるか。普通に子供の頃から過酷な修行を積まされていただけだ」


 あと、生まれ持った才能的な?

 体格とかってどうしようもないよね。

 幸いにして俺とトモガラはどっちも高身長。


 だが、高校ではモテなかった。

 と、言うか、あんまり行けてないことが多かったからな。

 変な噂が尾ひれ付いて回ってたのもでかい。


「とにかく、初めは誰だって赤ん坊だ。何もできない。俺だって最初、プレイヤーキラーに殺されたし、この世界での戦い方すら知らなかった」


 だが、慣れればいいんだ慣れれば。

 火もまた涼しって言うだろう。


「俺はコーサーならいけると思っている。お前は他のマフィアにはないものを持ってるからな」


 そう言いつつ、空蹴を使って大きく跳躍。

 コーサーは「え?」と素っ頓狂な顔をしていた。

 俺は最初からこいつのいいところを見つけている。

 なんだかんだ愚痴を言いつつも、こうして戦いについてくる。

 心が弱い人間なら逃げているだろう。

 そんな弱い人間をたくさん見てきたからな。


 同時に、大事なものを持ってるやつは、生まれた時から持ってるからそれに気づかない。

 それが普通だったからだ。


 見つけ出せコーサー、そして自分のものとしてそれを磨け。

 なんだかんだ少しづつ成長の兆しを見せる彼を見ていると、顔がにやけてしまう。


「俺はお前を信用しているぞ、コーサー」


 下水の天井を蹴って下にいたPKの一人を踏みつぶした。

 そしてそのまま──、


「──マナバースト」


 ドバッ!


 袋叩きにしようと攻撃を向けていた周りの連中が吹っ飛ぶ。

 攻撃力上昇、そして魔闘とともに全てのバフを詠唱する。


「マジックブースト」「ナート・エクステンション」「ナート・イクイップメント」


 六尺棒の攻撃力はいくつかな?

 単純攻撃力だけでもかなりのものだろうな。


「瞬きせずに見ておけコーサー。今から少し本気を出す」








コーサーはやられキャラだと、思ってる方います?

次回、ローレントがコーサーに説明しながら集団をぶっ潰すかもしれませんねぇ。

あと、GSOではない別シリーズを10月下旬くらいに出します。

それで忙しかったりしましたが、毎日更新頑張りますね?

ウェブ版書籍版共々ありがとうございます。






ツクヨイ「最近出番が少なくないです?」


アルジャーノ「……贅沢なことを言ってる人が一人」


十八豪「あんたらはまだいいじゃないのさ……」


セレク「出番きてよかったあ……しかも二人っきりよ?」


ブリアン「お、おら……おら!!」


レイラ「え? なんで私も入ってるわけ? ああ、書籍版の影響ね」


xxx「ふふふふふふ、ふふふ、フフフフフフフウフフフ」

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