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 下水道にも一応人手が張らせてある。

 なんともプレイヤーキラーが待ち構えていたってのは意外だけどな。


 それもさもありなんか。

 上では陽動撹乱の意味も含めて派手にどんぱちやってるみたいだし。

 トンスキオーネスペシャルも火を吹いている。


「あなたたち! 助っ人なんだから頼むわよ!」


「けっ、ついに俺たちアウトローPKも女マフィアに命令される立場かあ」


「仕方ねぇよ、ナガセさんが言ったんだから」


「そんなに女ボスが……」


「……糞男風情が口には気をつけることだな」


 あれ、なんだか仲が悪そうだぞ。

 一体どういうことだろうな。


「けっ、まあいい。勝てば官軍。そして褒美は女NPCだってことだ。てめぇらも俺らの強さに濡らして待ってろや」


「下衆め……」


 末端の方では仲が悪いのだろう。

 アウトローPKのミーハーは、男気も捨てたただのクソ野郎だってことがすでに周知の事実だからな。

 お零れに、さぞかしありつきたいのだろうが、残念ながらそれはない。


「──あ?」


「──へ?」


 二人いたPKに空蹴で一気に近づくと、そのまま戒人の六尺棒で喉笛を二連付き。

 全バフをつけているとなかなかの威力じゃないか、戒人の六尺棒。

 椎骨ごとぶち抜けたぜ。


 声も上げることができずに血飛沫あげてぶっ倒れるPK。

 PK相手にすると、なかなかのってくるな。

 なんだかとっても調子がいい。


「ひっ!」


 これは女性マフィアじゃなくてコーサーの短い悲鳴。


「……コーサー」


「すいません! でも、みてらんなくて!」


 死体蹴りをするつもりは毛頭ないが、ここまで屁っ放り腰だとちょっとな。


「今殺したPKの死体が消える前にその長剣で斬って遊んでみろ」


「いやです! それはマフィアの流儀に反します!!」


 うーん、本来流儀とか関係なしに敵には容赦ないはずなんだけどな。

 まあ、それくらいの男気があればよしとしておく。

 屁っ放り腰さえなんとかなればな。


「まずはよくみて覚えろ、立ち回りをだ」


 次に、うろたえている女マフィアへと向かう。

 どちらもソルジャークラスでレベルは45。

 取るに足らんので、接近して銃撃をかわしながら開脚してしゃがみ、お得意の足元すくい上げだ。


「きゃっ!?」


「体制と整えるんだ! 私がサポートする!」


 とっさに、時間を稼ぐために隣にいた女マフィアの一人が銃を構える。

 パンパンッ!


「──カハッ!」


 銃口の向き、そして引き金を引く指の動き。

 容易に躱せるな、更に言えば俺が躱した後ろ、君のお仲間だ。


「な、なんてことを!」


「コーサー、これが銃を見切って避ける技術だ」


「……できるかわかりませんがよくわかりました! ってコンシリエーレ後ろからまだ銃持ってるのが!」


 わかっている。

 そのまま振り向かずに六尺棒を踵で蹴り上げて女マフィアの手を打ち付け銃を弾き飛ばした。

 銃を受けてもまだ生きているので、倒れたやつの首を踏み折りながら、手を打たれ怯んだ女マフィアの顔を掴む。


「──くっ、あっ」


 さてと、拷問だ。


「うわァお、女NPC相手でも容赦ねェのな」


 当たり前だ。

 敵は敵。


「ごのっ! ごのっ!」


 四肢をバタバタさせながら抵抗を試みる女マフィア。

 攻撃させないように顔をつかんだ手を動かし相手の動き制御する。


「面倒だな」


「ギッ、──ああああああああああああ!!!!!」


 金切り声がうるさい。

 ヒステリックな女の叫び声の周波数って幾つになってもなれないよな。

 急にわーきゃー言うあの声色とかさ。

 膝と肘の関節をそれぞれ逆に曲げただけなんだけど。


「うるさい、早く吐けば解放する」


「いう、いうから、痛いのはお願い、やめて……やめてぇ……」


「ヒハハハ! 結局メスはメスだってことだなァおいィッ!」


 なぜかそれをみた三下さんが興奮してそう叫んでいた。


「……おい、じっとみつめんなよ。こうやったほうが恐怖心が出て情報ゲロると思ったんだよ……」


 そう言うことか。

 ならもっとやれ。


「いう、いうからぁっ! いやぁ!」


 三下さんのブーツが女マフィアのケツを強烈に踏んづけていた。

 少しでも揺さぶられると、かなりの激痛が走るから効果覿面だな。


 そうしてあんなことやこんなことをしつつ得た情報は、どうやら独裁女ファシミはナガセという男にご熱心らしい。

 PK側の意見ではナガセはマフィア側から関係を取り持たれていい思いしてるって話だったけど、女マフィア側からすれば、適度に補充の効くただの兵隊って側面が強いようだ。


 果たしてどっちが真実なのかわからないが、男を毛嫌いするこの女マフィアNPCは、男である俺に泣いて許しを懇願していた。

 うーん、戦いの場にいるのであれば死を持って許す。

 女子供でも、自分の足でそこに至ったのならば敬意を持ってね。


 ってことでバイバイした。

 優しく首の骨を折ってあげた。


 さて、独裁女ファシミの居場所も特定できた。

 俺なら死んでも情報を吐くことはないが、少しいたぶれば悪なんてこの通り。


 悪のつながりなんて脆い。

 独裁女は男嫌いという女の感情を武器に驚異的な統率力を生み出していたみたいだったが……この死んだ女マフィアの言葉から察するに、男のPKにとり入ろうとしたのは致命的なミスだったのだろう。


 男に属するくらいなら死を選ぶ。

 くらいの覚悟であれば苦戦していたかもしれんが、案外ちょろいな。

 っていうか吸収しても使い物にならないんじゃないかとさえ思えてきた。


 ……どうすっかなぁ。


 そんな間、コーサーはずっと青い顔している。

 アンジェリックの元でレディファーストでも教え込まれたのか?

 戦いでは捨てろよ、そんな思考。

 女の子相手に拳を震えませんって言われたら俺が斬り殺す。







女でも容赦ねぇ。






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