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「それで、たった二人か?」


 色々と関係ない話になってしまう前に、三下さんが簡潔に話題を進めてくれた。

 この場にいるプレイヤーは俺と三下さんのみ、なにも聞かされてない三下さんはやや怪訝そうな表情を作る。


「そうです、たった二人でファシミストロを相手にするのは少し心許ないのでは? いくら二人が強いからと言って、ファシミストロは今では双頭を成す大マフィアの一つですよ」


「双頭? 厄介なのがまだいんのか?」


「ええ、裏ギルドと繋がってるのはノスタルジオという古い歴史を持つマフィアです」


「なァるほど、ちっともわっかんねェ」


 オルトウィルがずっこけた。


「まァいいや、とにかくなんでもいいからたおしゃいいんだろォ」


「……単純明快ですね。ええもう、突き抜けるほど」


「それもこれもローレント、テメェが説明しないのが悪い」


「ごもっともですな」


 三下さんの標的が俺に向かう。

 そしてそれにセバスが乗っかってしまった。


 説明は後でするつもりだったんだけどなあ、勝手に二人で話を進めるからだよ。

 説明が少ないとか、しょっちゅう言われるけど、みんなが勝手に話を進めるから悪い。

 俺は悪くない。

 さて、説明して置く。


「PKを一つ、参加につけて争わせるつもりだったが先に独裁女とやらが唾をつけていた。だから、そっちも潰し、そしてPKと独裁女を味方につけてノスタルジオと彼らが繋がっている裏ギルド、盗賊ギルドをやっつける」


「……こっちも単純明快ですね……ぶっ飛んでる」


 オルトウィルはこのアイデアがうまくいかないと思っているみたいだが、勝算はある。

 コーサーファミリー全てを集結した大合戦だ。

 そしていざこざしてる間に、俺はPKの頭であるナガセと独裁女ファシミを倒す。

 いつだかは正面突破を担って裏方をコーサーとアンジェリックに任せていたからな。

 今回は正面玄関ではなく裏から入って直接攻撃だ。


「なるほどなァ、まあ早期決着はいいことだと思うぜ。そろそろノークタウンで闘技大会が始まるからよ、それに合わせて裏ギルドもなにやらきな臭いってプレイヤーの間で噂がはびこってるぜ」


「そうだな、魔人の心配もある。テージシティはすでに戦闘用のエリアがあるし、夜になればその範囲も増える。魔人がいたとしてもマフィア勢が駆逐できるだろう」


 じゃなかったら、いつだかセバスに乗り移っていた魔人が裏からコツコツと乗っ取り工作とかできるはずがない。

 あいつなんて言ってたっけ、俺が悪意を少しづつ振りまいてたとかなんとか?

 まあ、あんまり覚えてないからどうでもいいが、俺が魔人でハイパー強かったら誰彼構わず、マフィアや市民関係なく壊滅させるくらいのでかいことをやるから、きっと一人では勝てないと徐々に混乱を描いていたのだろう。

 筋書きがノスタルジオって線もあるが、今となってはどうでもいい。


「魔人……ですか」


 オルトウィルとその後ろに控えていたセバスが苦い顔をする。

 お互い魔人にはしてやられていたからな、恐怖が心に残っているのだろう。


「ノークタウンの闘技大会で人が集まる時、大きな悪意が動くかもしれん」


 対魔人用にレベルを上げて置く必要もできた。

 レベル70じゃないと魔装が使えんのだ、まーた魔銀を無駄に消費する羽目になる。

 できればそれは避けたいところ。


「ふゥん……時間はあんまり残されてないってことだな、早いところ行こうぜ」


 珍しく三下さんが乗り気?

 どうしたんだろうか。


「えらく乗り気だな」


「ああん? いい加減頭に来てんだよ。PKってだけでもうっとおしいのに、目立つだけ目立ちやがって、目障りだ。鼻の穴から熱した棒突っ込んでかき混ぜても気分が晴れねェ奴らだから、虫はさっさと踏み潰して置くに限るぜ」


 良き心がけだ、とにかく、まずは浮きポジションにいるPKを参加にし、そしてPK同士で争いの渦中へ送る。

 それが共食いだな、まさに。


「で、だ」


 ややイライラした様な表情になりながら、三下さんが言う。


「二人だけかって聞いてんだ」


「いいや、そんな訳ない」


 そう言ったところで、倉庫のドアが開いた。


「コンシリエーレ! コーサーファミリーとその参加、倉庫前に集結しています!」


 ベスタとワルドを連れたコーサーが部屋に入って来た。

 そしてその後ろにはもちろん、彼の育成係を未だ引き受けているアンジェリックも、優雅に蛇のエスメラルダを投げながら部屋の中へ。


「妾の私兵隊ももちろん、引き連れていましてよ?」


「出来した。あ、そうだ」


 ツクヨイにでもやろうと思っていたのだが、アンジェリックも魔法使い。

 それも精霊を使う特殊なスキルの持ち主だったよな。

 いつもコーサーの面倒見てもらってるし俺からお礼を上げておこう。


「なんですの?」


「これあげる」


「え!? ──な、なんということですこと!? ローレント様が、妾にプレゼントだなんて……家宝にします」


 そして彼女はお付きの物を手を叩いて呼び寄せると綺麗に梱包し直して運ばせた。


「装備したらいいのに……」


「あの、それ……私がお礼として差し上げたものなんですが……」


「うわァお、お礼の品をくれた本人の前で人にあげちゃう奴かよォ」


 唖然とした顔をするオルトウィル。

 そしてケラケラと笑う三下さん。

 セバスは顔を伏せて「これだから悪称号は……」とため息をついていた。


「え? 姐さん羨ましいです。コンシリエーレ、私にはないんですか?」


「何をだ?」


「ほら、いつも辛い鍛錬を頑張ってるご褒美に……」


「──さらなる鍛錬を授けよう。よし、今度俺が直接見てやる」


「コンシリエーレエエエエ!! それだけは嫌だあああああ!!」


 取り乱すコーサー。

 うおお、あっという間にカオス空間になった。


 先ほどまではビシッと決めていたベスタとワルドは、ローヴォの姿を見ると子供モードになって駆け寄り。

 そしてルビーも混ざってはしゃぎながら外に出て行ってしまった。


 最近契約モンスター勢がかなり空気化しているが、対人戦ばっかりだから仕方ないよね。

 よし、色々と事が終了したらがっつり狩りにでかけるぞ!

 ツクヨイの予定……よりも契約モンスターとの絆づくりが大事だ。

 って説明すれば納得してもらえるかなぁ……?


「えっと……なんですかこれ……?」


「俺に聞いてもわっかんねェ。とにかくこいつらが今このゲームで一番力持ってる奴らだって事だ。だから大船に乗っておけ、ローレントは、あいつは規格外の中でもさらに規格外クラスだからな」


「それは存じておりますが……ってあんまり深く考えても意味ないですね。私はあなた方を信じて待つことにします。南の産業も公爵殿がお認めになられさらなる発展をとのことですから、私としても悪を討伐していただけるともあれば全力でバックアップする所存ですよ」


「ふゥん……まあなんでもいいや興味ない。俺が興味あるのはPKぶっ殺すことだけだぜェ……」


「ええ……」







人があげたそばからいらないものだからって別のやつにあげるやつって居ませんでした?

次の次くらいからバトル。

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