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「──ああああああああ!!!」


 ツクヨイが俺を指差して大きく口を広げていた。

 次から次になんだというんだ?


「ず、ずるい! じゃなかった今はレイドボス中ですよ! 十八豪さんにアンジェリックさん!」


 レイドボス中と喚いているが、戦闘中に俺の顔に胸を擦り付けて来たり、俺の胸に顔を擦り付けて来た奴はどこの誰だと言ってやりたい。


「ま、まあいいじゃないか、本当に心配したってことだからなローレント! バーカ!」


 そう言って顔を赤くしてバッと離れる十八豪。

 あとで恥ずかしくなるならやめとけよ。


「ホホホ、初心ですこと。妾はこのまま別室でディナーと……」


「いや、レイドボス中」


 いつまでの離れないアンジェリックを六尺棒でぐいっと引き剥がした。


「さ、さすがに手ではなく武器で引き剥がされると凹みますのことですわよ……?」


「知らん」


 さて、振り返ってレイドボス・マナズマを見る。

 相当三下さんに遊ばれて、船と一緒に仲良く水の中へ。

 HPはあとどれくらいだろうか?

 あと四割。


 ……これだけやってもあと四割って本当にレイドボスって化物レベルだぜ。

 だが、ピースは揃った。


「向こうが混乱している間にレイドボスを倒す」


 最強の防御がいてくれれば、攻撃に集中できる。

 四割くらいだったら削りきれるだろう。

 問題はレイドボスって基本的に侮っちゃいけないことにあるんだよな。

 何を隠し持ってるかわからんし、とにかくそのためにツクヨイも読んでるわけだ。


「何かが起きたらリセット頼むぞ」


「あ、やっぱりその要因でした? 全くしょうがない兄弟子ですね、この私の、ぷらっくぷれいやぁの力が借りたければ仕方がない! 一回貸ですよ?」


 そんなことを話していると、トンスキオーネの後ろに隠れた村議会の連中が話しかけて来た。


「あ、あの……」


 何か言いたげだが、今はいいだろう。

 あとで終わったあとゆっくりとお話し合い(・・・・・)をする。

 そう強調して言ってやると、なんだか青ざめた顔色で黙ってとぼとぼと去って行った。


「なんだ?」


「まあ、ケンドリックと繋がってた第一拠点を売ったものみたいな感じのポジションになってしまうのを防ぐ気だったんじゃねぇの?」


 ガツントがそんなことを言いながらHP回復ポーションをチビチビ飲んでいた。

 彼曰く、薬酒っぽいものだと思えばポーションは常飲可能らしい。

 そりゃ中毒だとおもうけどなあ。

 初級はジュース、中級はまずい、上級は美味しいとのこと。


「……あ、かかれてら」


 仮想ウィンドウを開き掲示板をチェックするガツント。


「情報が早いな、いったい誰が書いたんだ?」


「おれだァ」


 お前だったか、三下さん。

 邪悪な笑顔をさらに邪悪にして、三下さんは愉快そうに笑っていた。

 全く良くやると思う……だが、グッジョブ。


「ヘッ、まーた色々バッシング受けるんじゃねえかこれ?」


 ガツントも実に楽しそうだ。


「……いったいなんですかこれ? 三人揃ってすっごく邪悪なんですけど?」


「ツクヨイ、あんたもブラックプレイヤーを自称してんなら混ざって来なよ」


「え、いや、私そんなんじゃないんで……もっとクリーンなタイプなんで」




 ──グオオオオオオオオ!!!

 さて、船の崩壊に巻き込まれていたレイドボスが咆哮を上げて飛び上がった。

 三下さんに向かって濁流を纏い突っ込んで来る。


「今度こそ決着をつけてやるか」


 ローヴォ、ルビーに指示を出し迎撃態勢を取らせる。

 ノーチェには幻影を出し撹乱してもらう。


「よっしゃ俺も!」


「ガツントは見てろ」


「ん?」


「本物の盾使いを見て勉強だな」


 そういうと、ガツントは怪訝な表情をしながらも渋々従った。

 三下さんがレイドボスをカウンターにて弾き飛ばす姿を見ていたからだな。


「まあ、人に見せれるようなもんじゃねェよ」


 いや、謙遜しなくても十分人に見せれるものだと思う。

 彼の、三下さんのカウンター技術はすごい。

 武術でも相手のリズムを読む、合わせる。

 それこそ、間合いに通じるものである。


 相手の隙を読む、未取。

 相手に隙を読ませない、無拍子。

 武道の極みに当たる。


 同じように三下さんの相手のリズムに合わせるカウンター。

 これも一つ合わせと呼ばれる武道の極みだ。

 熟練するには才能の上に途方もない技術の練磨が必要になる。


 ズラす技術を持つ俺やそもそも読ませないモナカには通用しないが、基本的に後の先を取る技なので、相手の先の先を常に取りに行く俺たちに対して、拮抗しうるポテンシャルを秘めている。


 簡単に言えば、三下さんすげぇ。


「ほんじゃま、いっちょもんでやるかァ」


 気だるげな声とともに、三下さんがスキルを継ぎ足しレイドボスに向かって右手の小盾をぶつける。

 これでカキーンって音がしてそっくり其の儘弾け飛んでしまうから凶悪だよな。

 改めて目の前で見てそう思った。


「おら、攻撃しろ。防御は俺に任せてなァ!」


「恩に着る」


 空蹴で跳躍すると、敵の向こうでルビーがカウンターで怯んだマナズマを蹴り返してくれた。

 ナイスだ。

 レイドボスサッカーってなんつー贅沢なスポーツだろうね。


「エナジーブラスト」


 怯んだおかげで防御もろくに取れないマナズマは顔面に放射攻撃をもろに受ける。


「マナバースト」


 そこからマナバーストで一度上に弾き。

 石柱アポートと空蹴のコラボでマナズマのさらに上空へと駆け上がり、スペル・インパクトを使った蹴りでぶっ飛ばし三下さんにパス。


「そろそろ怯みが治ると思うがリセットだ! まだ怯みは続くぜ!」


 またカキーン。

 俺の元へ返えされたマナズマをスペル・インパクトでルビーに。

 ルビーは三下さんに、三下さんはルビーに、ルビーは俺に、俺は三下さんに。


 ──エンドレス。


「……え、えげつねぇですね……」


「……ハメ技ですわね。このゲームは地理的ハメもスキルハメも可能ですのよ? もっとも、モンスターもプレイヤーをハメ殺して来ることがよくありますけども」


「クカカッ! 人間って本当にはめるのが好きだからなあ、いろんな意味で!」


「トンスキオーネ……さすがにそれは下品じゃないか?」






まさかのレイドボスハメ。

モンスターも容赦無くハメてきます。


最近忙しくて調子悪いです。

誤字脱字報告ありがとうございます><

時間ができた際に直しておきますので。


あと、ツイッターの方でスティーブン、ミツバシのキャラクターデザイン。

立ち絵を地味に公開してますから、見てください。

ウェブ版書籍版共々、よろしくお願いいたします。

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