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「折るっつったってどこをどうするんだ?」


 ガツントの言葉を聞き流しながら船底を見ていく。

 とりあえず竜骨を発見した。

 船を支える大きな部位なだけに、極太だ。


「これだ、竜骨だ」


「ふってぇ……でも竜骨ってはっきりわかんだな」


 昔の船はここが命だからな。

 今もそうだけど。


「真ん中から両断するぞ」


「え? で、出来んのか?」


「できるできないではない、やるんだよ」


 俺も大剣を取り出してスラッシュにてガンガン攻撃を当てていく。

 ガツントは斧。

 木に対して大きなアドバンテージを持つ。

 それこそ大剣よりもなぜか斧の方が負荷が少ないとトモガラが昔言っていた。

 そんな気がする。


「これ、結構しんどいぞ……」


 息継ぎの心配をするガツント。

 心配いらない。

 アポートで空き瓶を出現させる。

 空き箱でもいい。


「……倉庫くせぇ」


 文句言ってんな。

 息継ぎメーターも回復し、作業を続ける。

 漁師のスキルを取ると水中行動にある程度の補正がつき、そして無呼吸状態でも長時間酸素メーターの減りが遅くなる。

 海マップとかあったらこれどうするんだろうな?

 アクアベール必須で、もしくはそういうアイテムが出現するとか?


 まあいいか。

 全てのスキルを使用して竜骨を削っていくぞ。

 そしてスペル・インパクトと六尺棒で船底に穴をちまちま開けていく。

 一つの線にするように。


「そろそろいいだろう。よし、ここから中へ入りそしてさらに柱をへし折っていく」


「竜骨はもういいのか?」


「それはフィニッシュでやる」


 船底の一室部分には何も積まれていなかった。

 そりゃそうか、人だけ乗せてきたっぽいしな。


「太い柱をどんどん傷つけて行け」


「おうよ! これだけ上でドッタンバッタン音を立ててたら気付かれねぇな!」


 ケンドリックの船だから、何の憂いもなく破壊できる。

 あとは燃やすか?

 っていうか燃やせるのだろうか?

 俺のエナジーブラストでも第一拠点の建物を一部焦げ付かせたからいけるだろうな。

 ストレージから松明を30本ほど出して、さらにカンテラ用の燃料をぶちまける。


「チャッカファイヤー!」


「うおおおお!? いいのか!? いいのか、マジで、そんなことしてよぉっ!!」


「どうせ沈む」


「……掲示板の魔王って噂は本当だったみてぇだな、拷問もえげつねぇし」


 まーだ魔王とかそんな噂が広まっているのか。

 広めたやつを調べたいもんだな……盗賊ギルドに依頼するか?

 でもデリンジャーとか盗賊陣営は、援軍にケンドリックを読んだから敵っぽいよな。


 さて、とりあえずこっちが燃える心配はない。

 煙も上に上に行き気づかれるだろうが、まあ様子をみにくることはないだろう。

 来ても火の海だろうしな。


 バケツに水を汲みかぶる。

 これで意味があるのかわからんが、とりあえず熱に少しでも対処しておく。

 船が焦げて耐久を失えばあとは竜骨やら船体基盤に強攻撃をぶつけて行く。


「全力だぜ!」


 ガツントも意気込んで大きくぶん殴って行く。

 ちなみに、煙中毒もこのゲームには存在する。

 一酸化炭素中毒だっけな、漁師スキルが役に立つ。


「よし、そろそろ良さそうだ。沈めるぞ」


「……ちなみに、上にいる人はどうするんだ?」


 三下さん、アンジェリック、十八豪、コーサーだな。

 コーサー以外はなんだかんだ水中でも大丈夫だろうしオッケーだな。


「問題ない。下がってくれ」


 エナジーブラストだ。

 徐々に水が大きく浸水して腰くらいの高さになっているが、そのくらいだったらなんてことない。

 そのまま脆くなった船横の板材を貫通し大きな穴を開けた。

 そこから水が流入、メキメキミシミシと大きな音を立てて壊れて行く。

 小さな決壊が大きな決壊にいたり、本来丈夫であるはずの竜骨も最初に痛みつけたおかげで軋みを生む。


「仕上げだ」


 ──ドンドンドンドンドン!!!

 石柱を連続でアポート。

 さらに上からスペル・インパクトでごり押しして竜骨は真っ二つに割れた。


「うおおおおおお!!!!! 軋みがすげぇ! んで崩壊してっけど大丈夫か!?」


「いや、巻き込まれたらまずいから逃げるぞ」


「どうやって!?」


 慌てるガツントの襟首を掴み、崩壊する船の横にスペル・インパクトで穴を開けて大きく飛び出す。

 さらに空蹴を使い一気に飛び出して後ろに石柱をアスポート。

 視認転移はあと三十分くらい使えないから、こうするしかない。

 とんでもない水流が襲う、だが水面の方がもっと暴れ狂ってるだろう。


「あいた!」


「どうした?」


「レイドボスの尻尾が頭をかすったぜ」


 ……本当に危ない。

 とりあえずもう一度空蹴して黒塗りの船へと向かう。

 どうやら三下さんと同じくして呼び出していたツクヨイがダークサークルを使ったのだろう。

 荒波にも耐えうる。

 全ての体制が上昇するので、ケンドリックの船もこうして黒塗りにしていればよかったのにな。

 俺に沈没させられなくて済んだ。


 まあ、かなりの規模の船だ。

 それを全て覆えるほどの闇属性スキル持ちはあまりいないのだろう。

 ツクヨイは改めて貴重な人材。

 もっと大事にしとくか?

 いやいや、なんか最近ベタベタうっとおしいから適度にガス抜きして放置だな。

 俺だって女の扱いくらい知ってるんだぞ? マジで。


 ──ザバァッ!


「ロ、ローレント!」


「帰還した」


「おーい、俺も生きてるぜぇ」


「「──よかったぁ(ですわ)!!」」


 十八豪とアンジェリックに抱きつかれた。


「おわっ」




本当は、

ローレント「ハアアアアア!! 超絶無双両掌!!!」

ケンドリック船「バコーン!! ギャアアアア!!!」

ってする予定でしたが、さすがに頭おかしいと思ったのでやめました。

普通に混乱に乗じて燃やしました。



あとがき小話(読み飛ばしてもオッケー)


三下さんが高レベルの理由は、盾職人だからです。

実は、生産職は自分で作った装備を身につけるとある種のステ補正と経験値増加があります。

漁師、木こり、石膏などは得意なモンスターがいて、生産解体でアドバンテージを取れますがそれだと二次生産のプレイヤーがある意味不遇なので、地味にそういう措置が取られています。


では、純粋な戦闘職はどうなるの?

なんかGSOって無駄に生産職優遇されてるよね?

って話になりますけど、

スキルの攻撃倍率の方が高いですし、相手に異常状態やらなんやらを与えることができたり、AIMがなくても絶対当たるマンがあったりします。(マップ全体系の攻撃とか頭おかしい)


と、いうわけでいつも読んでくださってありがとうございます!

好き勝手やってるWEB版も書籍版も合わせてよろしくお願いします!


今日も二回更新。

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