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-354-※※※三下さん視点※※※

※※※三下さん視点※※※



『う、うわあああああああ!!!』


「レイドボスを味方につけたってェ!? 頼み込んだのか? おい、頼み込んだのかって聞いてんだよ! そんな訳ねェよなァ! 現にこうやってレイドボスにやられてんじゃねェかよおい!」


「グオオオオオオオオオオオ!!!!」


 果敢に飛びかかってくるレイドボスをカウンターではじき返してぶつけてやる。

 ハイクオリティムービングの上からフリップディレクションによってレイドボスは弾き返せることを実証だ。


「ぐあああああ!!」


「な、なんでレイドボスがこっちに弾かれてんだよ!!!」


「し、白い悪魔だ!!!」


 いいねェ、白い悪魔。

 あいつが魔王、邪神だって言われてんなら俺も魔王の系譜で呼ばれて実に嬉しい限りだぜ。

 だが、言った奴はどこのどいつだ?


「んなダセェ名前にしやがって掲示板で色々言われるだろォが!!!!」


「ぎゃああああ!!!!」


 正直ダセェが、悪くないね。

 まあ、ある意味俺も奴の戦いに魅せられた一人であるってことだ。

 さて、最強の防御は最強すぎて攻撃力を持ってねェから、早く来いよローレント!

 それまで俺がこいつらで遊んでやる。


「オラオラどうした! なんなら尻尾巻いて掲示板に書き込んでろや! 怖かったですってな!」


 カウンタースキルの利点は、基本的にMPを消費しない点にある。

 デリケートモーションも、ハイクオリティムービングも全て一度かけるだけで効果が持続する身体強化型スキルだ。

 だが、このフリップディレクションだけはカウンターにのみ発動するスキル。

 なかなか条件が厳しい上に、ミスるとMPかなり持っていかれる。

 MPが少ない戦士職にはなかなかのコストだ。


「だがそんなことは万に一つもないぜェ!」


 レイドボスの相手は俺がやりつつ、戦況を見るが、芳しくねえ。

 さすがにたった三人じゃ無理か?


 トンスキオーネとツクヨイは船を真っ黒にして大きく動かしていた。

 何をしでかすんだ?


「チッ」


 思わず舌打ちする。

 精一杯虚勢をはるが、ジリ貧なのは変わりねえみたいだな。

 圧倒的に攻撃不足すぎる。


 十八豪はいいとして、アンジェリックにコーサー。

 俺が言えた身分ではないが、生え抜きの逝かれたプレイヤーキラー達に対してやや劣勢。

 レイドボス弾きによる援護が無限に続くわけじゃない。

 それに俺はスキルの性質上、集団戦が苦手だ。

 ……まずいな、このままだと──。


 ──ドンドンドンッ!


「うおッ!?」


 レイドボスを引きつけていたら後ろから何かがぶっ飛んで行った。

 一つは駆け抜け二、三人のプレイヤーを弾き船から落とす。

 もう二つは船体に横からぶち込まれ大きな風穴を開けていた。


「ふぅー……まあ、とんでもない三竦みの戦いになっちまったが、勝者は立っていたものだ。湖の上で言うところの、船が沈まなかった方が勝者だってこったな、クククク」


 煙を吐きながら含み笑いをするトンスキオーネ。

 野郎、この船を沈める気じゃねェだろうな?


「おら、闇属性スキルで船の強度上がってっから反動気にせずしこたま撃ってけや!」


『おおおお!!』


 ……やる気バッチリじゃねェかよォ!!!

 マジで、あいつの知り合いにはろくな奴がいねェな。

 だが、それが面白いと思っちまった俺がいる。


「船が沈むだろうが! フリップディレクション!」


 ──カキィン!


「グオオオオオオオ!!!!」


 ──ドンドンドンッ!


「グエエエエエエエエエエ!!!!」


「カッカッカ! レイドボスの野郎、遊ばれてやがる。ヘイトの消費がなかなかできねぇからずっとあの白髪もやし野郎に執着してるからガードが緩くなってるな。よし、今ならトンスキオーネスペシャルが効くはずだ」


「こらー! なんでこっちに飛ばしたんですか三下さん!」


「船が壊れるからだろが」


「あほー! ばかー! まぬけー! こっちにタゲ移ったじゃないですかー!」


「ん?」


 ヤベッ、レイドボスがツクヨイとトンスキオーネの方へ向かって行ってた。


「俺がいくまで耐えろ!」


「ど、どうやってですかー!」


「チィッ!」


 ボートを探す。

 船の脇にロープでくくりつけられているのを発見した。

 だが、レイドボスによる牽制が使えなくなった今、ニヤケヅラ晒したプレイヤーキラーが襲いかかる。


「くっ! 邪魔だ!」


「こいつも確かローレントと同じで高額賞金首だなぁっ! さっきはよくもやってくれやがって!」


「対人戦が苦手だってな! 囲え囲え!」


 向かいくる攻撃を小盾で的確に弾いていく。

 たまにフリップディレクションで向きを変えて同士討ちを狙う。

 対人戦が苦手だっつーのは、あくまであいつみたいな野郎相手だ。


「雑魚カスPKが束になっても一生俺を殺せねェんだよ馬鹿野郎が!!」


 十八豪の奮闘であぶれた雑魚しか俺の元に来ないが、それでも人数が人数なだけになかなかボートまでたどり着けなかった。

 ってかよォ、あいつの子飼いモンスターどもは何を悠長に固まってんだ!


「特にそこのうさぎは俺をそっちに運べ!」


「プイッ」


「おいこらあああああああ!!!!」


 鬼の形相で叫んでいると、狼が一つ吠えて、さも仕方ないとばかりにうさぎが船の間を飛び越える。

 馬が幻影を出現させレイドボスの気を逸らし、狼が目を緑色に光らせながら喉笛に食らいつき一撃を与えていた。


 ……さすがあいつの従えるモンスターだぜ。

 主人がいなくても見事な連携じゃねェか。


 そして俺はうさぎに乗って向こうの船まで移動すると、なんとかレイドボスをはじき返した。


「テメェの相手は向こうの船でしてやるよ!」


 弾かれたレイドボスの身体が船に打つかる。

 それでダメージを負うわけではなく、船横の壁が大きくへし折れるんだから、とんでもない耐久力だ。

 腐ってもレイドクラスってことだろう。

 だが……、


「……はあ?」


 明らかに壊れすぎだろうが。


『う、うわああああああ!!!!』


『なななんで船が真っ二つに!?』


『よ、予備のボートに飛び移れ! 水面に入るとレイドボスの餌食だぞ!』


『さ、先に鎧隊をのせろ!』


『馬鹿言うな沈むだろうが!』


 強烈な飛沫と音を立てて船が真っ二つになり、湖に徐々に沈んでいく。

 ケンドリックの船は今湖に浮いてる船の中でも一番でかく、そして丈夫だと言うのに。

 俺、ツクヨイ、トンスキオーネは唖然とした表情でその様子を見続けるしかなかった。


「ウォ──────────ン!!!!」


 さらに甲高い狼の遠吠えが響く。

 まるで嬉しそうに。





船がやばい。



次回、ブチギレローレント回。

今夜更新します。



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