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-353-※※※三下さん視点※※※

※※※三下さん視点※※※



「なるほどなァ」


 拘束を解きながら色々話を聞くと、どうやらあいつはこの大馬鹿糞野郎ケンドリックとか言う奴のせいでレイドボス中に横槍MPKをされたって訳か。


 だが酒豪女……もとい十八豪は言っていた。


 ローレントへのクリティカルヒットはしっかりガードされていたということが、カウンターすら任意のタイミングで外してくるが武器を捨てて対処してくる奴だから、できるだろうな。


 さらにガツントを庇う形にレイドボスの薙ぎ払いをもろに受けていたらしいが、身体全身をぶるりぐるあって動かす感じで、よくわからない謎の回転運動を行い対処を行なっていたそうだ。


「……ごめん、さっぱりわかんねーわ」


「もう一度説明する必要があるかい?」


「いや、ねェわ」


「そう、なら良かった」


 一応俺は十八豪と面識がある、だからこんな感じですぐに会話を切り上げようとしたのだが、その前に金髪縦ロールが何やらわらわら言い始めた。


「良くないですわよ! 妾にきっちり説明してくださいまし!」


 聞くところによると、こいつはケンドリックの実妹という話じゃないか。


 拘束されているのを見ると、みんな兄弟喧嘩に巻き込まれたとしか思えない訳だが、実際そうだったらあいつもとんでもないとばっちり女を引いたってことだな。


 ドンマイ、ローレント。

 だが、全ての元凶がそのローレントとかいう男にある説。

 それも否めねェのが怖ェよな。


「説明も何も、俺はそのローレントの連れているモンスターに乗せられてここまで運ばれたんだぞ? レイドクラスの攻撃を食らって即死したら従えるモンスターもプレイヤーのリスポーン地点に戻る。ってことは、そこの狼と馬、あと俺を連れてきたうさぎがまだいるのが何よりの証拠じゃねェか? あいつが生きてるってな」


 縦ロールはそういうと、ハッと気づいた顔をして、やや曇っていた表情を明るくさせていた。


「ケッ、端っから希望を捨ててんじゃねーよ」


「……ええ、実兄にここまで愚弄されると、さすがに凹みますわよ? 誰だって」


「ケンドリックと同じ血が流れてても人間落ち込むんだねえ? 母か父が違うんじゃないかい?」


「……それは秘密ですことよ? ホホホ」


 さて、拘束されていた連中は開放した。

 今この状況はレンドボス、ケンドリック、そして第一拠点関係の三竦み。

 船の上だってのがやや戦いずれェところだが、やりようによっちゃ時間は稼げる。


「テメェら、俺は正直言って対人戦が得意じゃねェ……誰か対人戦得意なやつはいるか?」


 そう尋ねると、手を挙げたのはツクヨイ以外の全員だった。


「……対人特化野郎の妹弟子の癖してなさけねェ……」


「しょ、しょうがないじゃないですか! どっちかっていうと私は彼が戦える場所を作ることに特化してますですよ!? 闇属性魔法職は自分の領域でこそ本領を発揮するのに、敵陣真っ只中だとどうしようもないです!」


 はっきりいうが、それならそれでいいだろう。


「よし、ツクヨイはそっちの船に移って強化しろ。鑑定したら所有権はトンスキオーネって書いてっから、一時的に権限を譲ってもらえ」


「……てめぇ、勝手に仕切ってんじゃねぇ──」


「待ちなさいトンスキオーネ」


 縛られていたデブのトンスキオーネがガンつけながら啖呵を切ってくるが、それをアンジェリックが止めた。


「ローレント様の助っ人ですから、無駄な争いはやめるのが懸命ですわね……それに、悔しいことに彼はローレント様が認める技術をお持ちの一人、ここは素直に従うべきですわね」


「ケッ、そういうことなら仕方ねぇ……だが俺もあのチンチクリンと一緒に自分の船に戻り指揮を取る。腹も減ったしな。それに闇属性魔法職は色々とやりようがあるぜ、クカカカ」


「なんでみんな身長のこと言うんですかー!」


 トンスキオーネは葉巻に火をつけ息を吐くと笑いながら、横でプリプリ怒るツクヨイと一緒に、拘束されていた他のプレイヤーを連れて隣の船に戻って行った。

 ちなみにだが、チンチクリンなのは身長だけじゃねーんだな、これが。


「さて、残ったのは……」


「──さっきからなんなんな君は、目障りだぞ!」


 口を挟んできたのはケンドリック。

 左右にレッドネームを持ったプレイヤーキラーを二人従えている。


「目障りも何も、俺はレイドボスの相手をしにきたってのに、何くだらないプレイヤー同士の争いしてんですかってことだよ金髪ロン毛野郎」


「きんぱつろんげ!? くっ、誰だか知らないがいきなり出てきて僕の処刑の邪魔をして……そ、それに僕のこの美しい金髪のわ、悪口を言うなんて!」


 お?

 なんか金髪バカにしたらすっげェ動揺してるぞこいつ。


「バカにした報いを受けろ! あの金髪ショートカットの十八豪という女にさえ気をつけていれば、この人数差をひっくり返すことは到底無理だ! 厄介なのはレイドボスがやってくれたからね! ハハッ! 僕の作戦勝ちだよ! 大人しく湖の藻屑になることだな!」


 その声に合わせてプレイヤーキラー達が一斉に俺たちを取り囲むように動き出した。


「……ダセェな、ほんとにダセェよ、笑っちまうくらいにな」


「何がおかしい! 笑える状況じゃないのはわかってるぞ? 虚勢の方が格好悪いと思うけどね僕は」


 いや、ダセェのはこのバカだ。

 お抱えの私兵隊ではなく、プレイヤーキラー達を従えて強くなった気分なのか知らねーけどさ、何もかもが自分の思うようになると思ってる、そんな面をしてんのが最強にダセェ。


「お前みたいなのを見てると意地でも抗いたくなってくんぜェ……全て思い通りに行くのはお門違いだってなあ」


「明らかにピンチなのは誰かな? プレイヤーキラーのスキルでレイドボスのヘイトを全てお前に向かわせることができるんだぞ? もはやレイドボスすら味方につけた僕は半神クラスにジョブチェンジしたのさ!」


 バカがただのクソになっただけだろうが。

 適当に聞き流してると十八豪が俺に問いかけてきた。


「あんたさ、対人戦でいえばあたりらよりも弱いイメージなんだけど、ほんとに戦えるのかい?」


「いや、俺は対人戦は正直得意じゃねェ」


 スキルを度外視した戦いになると、かなり弱い部類になるだろう。

 ローレントと戦った時、それを思い知らされたしな。

 だが、道場に通い詰めて段位を昇格するほどの格闘センスなんてものも持ち合わせちゃいねえ。


「ただ俺ができるのは、モンスターの攻撃にカウンターを合わせること、それだけだ」


 攻撃を開始したプレイヤーキラーの一撃を盾で受けると、レイドボスの咆哮が聞こえて俺にターゲットが写っていた。

 プレイヤーキラーが何かしたのだろうか、厄介なスキルだな、対処のしようがねェ。


 だが。


「──あいつが対人戦特化ならよォ!!! 俺は対モンスター特化なんだよなァ!!!! フリップディレクション!!!」


 デリケートモーションからハイクオリティムービングを重ね、カウンターの方向を変えるフリップディレクションを使う。

 タイミングを合わせるのが難しいが、たかだかヘイト操作されたレイドボスの一撃なんぞ簡単に弾き飛ばすことができるんだよ、散々練習したしな。


「おら、レイドボスは俺に任せてテメェらはプレイヤーキラーと戦え! あいつの分を残すなんて考えずにそのまま獲物をぶんどっちまえよ戦狂者供ォ!!!」




三下さん無双編は次で終わりです。

十分行かれてますけど、三下さん編の後にはもっと逝かれた切れた男の話が待っています。


主人公が出ていなくて申し訳ないですが、個人的に好きなキャラクターである三下さんの無双をやりたかったのです。


そろそろ空気になりつつある契約モンスターたちにも焦点を当てていけたらと思っています。

ローレントと一緒に。


後地味に二週間くらい先に第二回闘技大会もあるんですねぇ……色々イベントが目白押しになってきました。

これで遅い展開もまだマシになると思っています。



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