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「けっ、この間はレイドボス逃したからな、今回は派手に暴れたいぜ」


「えへへ、とりあえずぶち抜いちゃうよ? ねえ、ぶち抜いちゃうよ?」


「レイドボスなんぞ図体がでかいだけなんだ、図体が」


 大剣を持った細身の男、弓を持ったやばそうな女、片手剣に盾を装備した背の高い男。

 それぞれを持ったプレイヤーの三人組が、ひときわ異彩を放っている。

 そして俺を見つけるやいなやなんだか敵視して来るんだが、なんなんだ。


「けっ、あいつ。闘技大会優勝者でレイドボスで見せつけてきたローレントじゃね?」


「えへへ、宿敵十六夜の男? えへへ、略奪しちゃおうかな? しちゃおうかな?」


「間近で見ると普通のプレイヤーじゃないか、普通の」


 ……とりあえず隣にいるアンジェリックに尋ねる。


「新手のプレイヤーキラーか?」


「んなわけないとのことですわよ……ただのお馬鹿プレイヤーですわね」


「なんだ、ただの馬鹿ボンか」


 ため息の中、トンスキオーネがそんな異色な奴らを取り仕切る。


「おら、てめぇら馬鹿どものボスは俺だ、大人しく言うこと聞いて戦線を構築しろ」


「あ、トン」


「誰がトンだっ! って……アンジェリックか、なんだよ」


「お馬鹿ボン達はお兄様でも従わなかった輩ですわよ?」


 その言葉通り、馬鹿ボンプレイヤーは猛烈な反発をする。

 ただ、その反発がトンスキオーネに効くかと思えばそうではない。

 分厚い面の皮の下にさらに脂肪を蓄えるほどのやつだ。

 周りで小鳥がピーピー囁いてるようにしか聞こえないだろう。


「じゃーとりあえずてめぇらでなんとかしてみろ」


 あっ、こいつ、生贄にしやがった。


『グオオオオオオオオ!!!!』


『うわあああああああ!!!!』


 その間にも、ヘイトを集めた別の船がマナズマの攻撃を受けて大きく損壊している。

 船内に待機してて何も知らなかった馬鹿ボンたちは、改めてマナズマの強大さを前に静まり返ってしまった。


「おおぅ、ビビってら」


 ガツントが顔を歪めて彼らをそう評する。

 だが、ビビるのはまだ常識的なリアクションだと思う。

 楽しそうに勇み足を踏む輩が数人いるんだよな……。


「けっ! なら好きにさせてもらうぜ!」


「えへへ、見ててね? 十六夜よりすごいところ見せたら、ちゃんと略奪されてね? ね?」


「レイドボスごときがなんだってんだ、レイドボスごとき」


 あの、三人が甲板に立ち、弓を持ったヤバ目女が一撃を頭部にヒットさせる。

 スキルによる射撃っぽいな、絶対命中精度を誇るが威力は半減する。

 反則的な武器依存の攻撃力を得るにはプレイヤースキルが必要になって来るのが弓だ。


「──グオオオオオオオオ!!!!!」


 存在が目障りだと思ったのだろうか、マナズマはなぜかヘイトをその三人へと向けていた。

 圧倒的に、ヘイトを集めていたのはもう一つの船舶だと言うのに、なぜかその三人にだけ強烈に咆哮しながら襲いかかる。

 うざかったんだな……存在が。

 レイドボスの気持ちがわかった瞬間でした。まる。


「けっ、きやがった。俺の大剣で真っ二つに料理してやるぜ」


「えへへ、スーパーミラクルショットで脳天ぶち抜いちゃうよ? ぶち抜いちゃうよ?」


「よし、そのまままっすぐこい、そのまま」


 それぞれ真っ向から相対するお馬鹿ボンたち。

 大丈夫なのだろうか?


「正面突破なんてガツントで難しいぞ、俺はできるけど」


「うるせぇな、てめぇのは反則級だろ!」


「とりあえずアンジェリック、奴らは強いのか?」


 ガツントも気になっていたのか、言葉を飲んでアンジェリクの方を見る。

 彼女はなんだかなんともいえないような表情をして言う。


「……いいえ、ただのお馬鹿ボンですわよ……」


『グオオオオオオオオオオ!!!!』


『うわあああああああああ!!!!』


 なぎ払いで船外へぶっ飛ばされていた。


「……こんなんしかいねぇのか! この船には!」


 ガツントがそう叫びつっこむが、当然言葉を返すプレイヤーはいない。

 ケンドリック陣営、恐ろしいな。

 まさか彼でも制御できないお馬鹿ボンがいるなんて、宝庫じゃん。

 吉○じゃん。


「とりあえず二進も三進もいかんだろ、ガツント出るぞ」


「おう、俺は何をすりゃいい?」


「盾で攻撃を弾け」


「無茶言うな!」


 大丈夫だ、俺がその間は攻撃を当て続ける。

 今の間だけ、絶対防御三下さんの役割を果たせればいい。

 とりあえず戦えるプレイヤーは増えているし今のうちに立て直して一気に叩け。

 これ、長引かせると面倒なことになりそうだし。


「しゃあねぇな、ハイブースト、ガードブースト、パッシブデコイ」


 ガツントがそうスキルを紡ぐと、マナズマの興味が彼に移った。

 ハイブーストはわかるが、ガードブースト?

 聞いたことがないスキルだ。

 三下さんでも使ってない。

 パッシブデコイは、おそらくマナズマのヘイトが移った要因のスキルだろう。


「これが俺の硬さの限界だ。レイドボスにはちょっと心もとねぇが、てめぇらならきっとできるって信じてるぜ」


 そう言いながら前線に立ち、マナズマの攻撃を盾で受けて行く。

 急所をなんとか守りながら、なんとかしのぎ、ブロッキングできる部分は確実に決めて消耗を抑える。


「大丈夫だ、死なせない」


 上級HP回復ポーションを一つぶん投げて、俺はマナズマに再びアタックを仕掛ける。

 初手はどうする?

 とりあえずガツントが攻撃を受けた瞬間にカウンターで攻撃を仕掛けよう。

 マナズマの動きに注視し、攻撃を合わせようとした、その時だった。


「──ぐあッ」


 ガツントの胸から鋭い長剣が生えていた。

 







ガードブーストは盾による防御耐久をあげるスキルです。

パッシブデコイは自分にヘイトが向くようになります。

ちなみに闇属性スキルに相手にヘイトを集めることができるスキルもあります。

プレイヤーキラーようスキルでもあります。


パッシブデコイの次はミニマムニオウ→仁王立ち→○○仁王








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