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「……面倒な奴がきた……ああもう、ローレント、あたしは船の中にもどっていいかい?」


「さすがに戦闘中だぞ? ダメじゃない?」


 そう言い返すと十八豪は頭を掻きむしっていた。

 彼女も、スペシャルプレイヤーともなればしつこい勧誘を受けたのだろうな。


 そう、ノークタウンのプレイヤーズ拠点を統べる。

 トンスキオーネ以上に面の皮が厚い見栄っ張り。

 天変地異が起きたとしても自信を失わないであろう毛が生えた心を持った。

 ある意味上に立つものの資質を備えたバカ────ケンドリックだ。


 妹にアンジェリックという巨乳縦ロールがいる。

 コーサーをよく見てくれているので、アンジェリックは信頼できる。


「ローレント様!」


 ん?

 ケンドリックがいる場所にはあまりいないと思っていたのだが、船にアンジェリックがいた。

 コーサーとともに手を振っている。


「コンシリエーレー!」


「コーサーにアンジェリックか」


「なんで私までレイドボスに強制参加なんですかー姐さんーーー!!! コンシリエーレもなんとか言ってくださいよーーー!」


「黙りなさいコーサー」


「よし、今からレイドボスにアタック仕掛けるぞコーサー」


「やっぱりこうなるんですか!! もおおおおおおお!!!」


 なんだか懐かしい絡みであった。


「腰抜けもちっとはマシな面になったかと思いきや……根本的に変わってねぇ」


 トンスキオーネが毒づく。

 自分の上に立つボスが情けないと嘆いているのだろうが、コーサーの情に熱い性格は割と認めてるっぽいトンスキオーネだった。

 豚も丸くなったな、いやもともと丸かったか。


 奴の船は特大の推進器を積み込んでいるらしく、そこそこの速度で俺らの船の横につけた。

 そして板を渡してこっちの船に乗り込んでくるケンドリック。


「町長殿!」


「町長様に姫様!」


「やあセイスにシエテ、調子はどうだい? と、言っても少しピンチみたいだけどね? スペシャルプレイヤーに闘技大会優勝者の野蛮人がいてもやっぱりレイドボスは無理なんだ? まあ、想像できてたけどね。ハハッ、僕がきたからにはもう安心だよみんな」


 ナチュラルにこっちをバカにしてきたな、あのバカ

 シエテとセイスという名前を聞いて、色々思ったことがあったのだが、俺の予想は正しかった。

 スペイン語の数字表記は確かケンドリック親衛隊のナンバリングだったような気がする。


 ほら、アンジェリックの護衛とかさ。

 もう忘れたけど数字だった気がする。


「何日和ってんのさ! そんなことよりくるよ!」


 なんだかいろんな勢力が闊歩し始めて、すごくカオスな空間へと様変わりしてしまったが、十八豪の一声でみんな現実に引き戻される。


 そう、おとなしく待っていたマナズマさんのチャージが終了してしまった。

 咆哮を上げて大きく上に飛ぶと、そのままの勢いで急落下。

 とりあえず大きくて目障りだったケンドリックの船が狙われるようだ。


「こ、こっちに来たんですが!」


「落ち着きたまえシエテ」


 あまりの迫力に慌てふためくシエテを、ケンドリックは手で制した。

 この落ち着きよう、何か準備して来たってところか。


「見ていろそこの邪悪な蛮族」


 ……ん? 俺のこと?


「大盾隊! 前に出よ!」


『はっ!』


 声に合わせて大きな盾を携えた、フルプレートメイルの集団が甲板前方に立ち並ぶ。

 ブラウ達クランを真似てか、甲冑にはケンドリックとかっこいいフォントで彫り物がしてあった。


「構え!」


 ガジャッと前衛が盾を上に向ける。マナズマの方。


『クランシールド!』


 スキルを発動した瞬間、スキルによって何やら大きな盾が生まれた。

 な、なんだ?

 ギャリギャリとマナズマの纏った濁流が擦れる音が響く。


「ハハッ! 見てくれ、レイドボスの一撃を完全に防いで見せたよ! ハハハッ!」


 金髪ストレートの長いサラサラとした髪をたくし上げながら気障ったらしくいう。


「今のはなんだ?」


「ハハッ! 教えて欲しい? 教えて欲しい? 絶対に教えて上げないもんねー!」


 ……イラッ。

 別に教えなくていいわ、なんかスキル名でよくわかるし。


「馬鹿お兄様は、自分のクランを持ちましたの」


「アンジェリック!! なんで言っちゃうんだ!!」


「今は戦時中でしてよ? くだらない因縁の付け合いは後にしてもらえませんと? ホホホ」


「グヌヌヌ!」


 俺の隣にコーサーを連れて歩いて来たアンジェリックが種明かし。

 名付けて、ケンドリッククランと呼ばれる集団。

 クランでの戦闘は、十人以上で同じ装備、同じスキルを使うとクラン効果を得るとのことだった。


「ケンドリック様! 再使用待機時間に入ります!」


「よし、なら大盾隊は下がって弓隊、魔法隊前に出て集中砲火!」


 陣形を変えて、すぐに攻撃に移るケンドリックのクラン達。

 連携は正直ブラウのクランよりも取れていると言ったほうがいい。

 向こうは寄り集まっているが自由を尊重してるからな、こう言った運用をあまりしない。


「なら助け出せるな! 今のうちだぜ!」


 ガツントは武器をしまうとすぐに湖に飛び込んでいった。

 海に沈んだ者達の救出ならば、網を使えば早かろうに……それだと怒られるか?


「敵のチャージタイムに合わせて時間を稼げ! 攻撃を凌ぎつつ、こちらの攻撃を当てていけばいずれ勝てる! さあ、僕の言葉を信じて打て! その間に魔法隊の一部は他の船に移ってヘイトの分散! でもやりすぎるな、最終的なヘイトはこっちの船に集めるんだ!」


 的確な指示を出していく。

 腐ってもアンジェリックの兄ということか。

 プレイヤーを従えるだけある。


 ……プレイヤーを従えるってことは、こいつはリアルでもそこそこの立場を持っているやつなのか?

 うーん、謎だ。

 謎が深まるばかりだぞケンドリック。






かねがね、みなさんの予想通り。

じゃじゃーん、ケンドリックでしたー!



今回のレイドボス、無駄に登場人物が多いです。

ケンドリックは一巻の方でも馬鹿やってくれます。

私兵隊も馬鹿ばっかりです。

やっぱりローレントの餌食になってしまいます。




ツクヨイ「もはや餌」


ローレント「絶対まずいと思う」


ツクヨイ「私食べます?」


ローレント「えっ」

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