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「……三分?」


 本来であれば後遺症が残る程度にトンスキオーネの頭をかち割ってやるのだが、こいつの表情が気になった。

 レイドボス相手にあまり尻込みしていない。

 それは上に立つものとして良き資質だとは思うが、なんだこの余裕。


「ああ、三分だ」


「だから、その三分がなんなんだ」


「三分待てばトンスキオーネスペシャルを一発ぶちかましてやる」


 聞くところによると、船首三連キャノンから、そのトンスキオーネスペシャルに換装する時間がそれだけ必要とのことだった。

 そんなもんあるなら先にやっとけよ、と思ったのだが、どうやらフライフィッシュ戦で三連キャノンをそこそこ活用していたらしい。

 それならば仕方がない。


「そのトンスキオーネスペシャルがあればいいんだな?」


「お墨付きだぜ?」


 誰のだろう……。

 とりあえずトンスキオーネはやる時はやる男だ。

 その部分だけ、信用に値する。


「じゃ、俺は頭を使うからそれまで飯を食う」


「肉で頭が冴えるわけないだろうに」


「俺は冴えるんだよ」


 炭水化物とか甘いものじゃないのだろうか?

 逆に油で脳内物質がスパークしそうな予感がするのだが、もう色々言うのが面倒になった。


「失敗したら斬るから」


「はあ!? いや、脈絡ねぇだろコンシリおい!」


「しらん」


 それだけ言って俺は十八豪を船に残すと再び水中に戻る前に、一つ考えた。

 中ではプレイヤーたちが頑張ってマナズマと戦っている。

 俺はどうする?

 物量作戦にしよう。


 水中に戻る前に、スカイフィッシュが落ちて広くなった上空から石柱を連続アポート。

 新たに貯めたストレージの在庫を大量放出だ。

 またイシマルに怒られそうな気もするが……こう言う時のために作っておいた秘策がある。


「そうだ、これを使え!」


「ん?」


 トンスキオーネ達がいる船の甲板に、どでかい漁網をアスポートした。

 それを見てニヤリと表情を作るトンスキオーネ。


「へぇ……いいもんだな」


「おまえなら有効活用するはずだ」


「だったら仕込みはてめぇでやれよコンシリ」


「わかってる」


 わかってるさ。

 漁網がマナズマの動きにどれだけ耐えるかわからないが……まあそこそこ時間を稼ぐことはできるだろう。

 その隙をついてトンスキオーネスペシャルが命中し、レイドボス討伐。

 そんな筋書きが彼の中にはあるんだろうな。


 さて、現場に不測の事態はつきものだ。

 俺はせいぜいアドリブで何かうまい具合にやっておこう。

 空を見上げると、野鳥達が姿を消していた、そろそろかな。


 ドン!

 ドン!!

 ドンッ!!


 石柱の雨。

 できるだけ他のプレイヤー達に当たらないように配慮する。

 そして石柱から石柱へ。


「で、出た! 動画で見たやつだ!」


「うおおお! ローレントの生八双飛びだあああ!」


「四足歩行だあああああ!!」


 水が緩衝材となってあまりダメージが入らない。

 やはり水中モンスターは手強い。

 マナズマのヘイトが俺に向かう。

 ダメージは与えれなくてもうっとおしいみたいだな。


「グオオオオオオオオオオオ!!!!!」


 咆哮をあげながら浮上する。

 どう言う訳かわからないが、こいつは羽がなくても空を飛べる。

 石柱のアポートで俺も擬似的に飛ぶ。


「後一分だ! コンシリ!」


 トンスキオーネの声が聞こえる。

 ならば、換装している船首のキャノン砲の位置まで誘導する必要があるな。


「こっちだ」


「グオオオオオ!」


 怒責龍との追いかけっこ。

 相手の攻撃手段は水がないので固めた土砂を飛ばしてくるものに変わっていた。

 それにしても量が多い。

 体に付着している土砂を消費して飛ばしているようだ。

 さらにホーミングしてくる訳だが、なんとか残像でかわしていく。


「準備完了だ」


 トンスキオーネが立ち上がって葉巻を燻らせながら前に出る。


「この網どうする?」


「任せろ」


 結局のところ、漁網があるとはいえ、それでマナズマを絡め取る手段がない。

 俺が手元にアポートさせ、そのまま大きく広げてマナズマの前にアスポートした。


「グオオオオオオオオオ!?!?」


 ハントスパイダー製の糸を利用した漁網だが、強度はセレクが限界まであげて紡ぎあげたものだ。

 レイドボスといえども一瞬程度は動きを止めることができるだろう。


「よし、こっちの準備はできたぞトンスキオーネ!」


 後は安全にこの場を離脱するだけなのだが……。


「よし、──撃っちまえ」


「アンダーボス! い、いいんですか!?」


「構わん撃て! おら、さっさとしろ」


「は?」


 ──ドドンッ!!!!


 キャノン砲から、大きな塊がとんでもない速度で射出された。

 その威力はやばい、船首砲を固定していた鉄金具が吹っ飛び、木枠がバキバキに割れてしまっている。

 射出制御をおこなっていたバンドーレの猛者達が吹っ飛んで壁に叩きつけられている。


「くっ、テレポート!」


 すぐに肉野郎の隣に照準を合わせてテレポートする。


 そして着弾と同時にとんでもない爆発が起こった。

 ……こいつ、ちょくちょく爆発物持ってるよな。


 そんなことより、重要な手段を一つ失っちまった。

 これで後一時間はテレポートの視認転移が使えない。


「……コンシリ、てめぇの奮闘は忘れねぇ……」


「……おい」


「うわっ! 化けて出た! ゴーストだ!」


「生きてるぞ」


「イダダダダダ!! 痛い痛い痛い!! ひねるな! ねじるな! 抓るな!」





肉くって頭が冴えるトンスキオーネでした。



トンスキオーネは、実はローレントのことを大いに尊敬しています。

つまるところ、ツンデレです。


男のツンデレ、需要、なし。

でも書籍版はおっさんが多く、おっさんが川ではしゃぐ。

ゴールデン○ムイみたいなのを想像しても、おっけーです。


よろしくお願いします。


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