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 空蹴で大きく跳躍する。

 ガツントが後ろから追いかけてきていた。


「待てや! 一人の手柄にはさせねぇぜ! ──おらてめぇらもこい!」


『うおおおおおおおお!!!』


 彼の後ろからレイドボス、マナズマに向かっていく一軍。

 大群の動きを察知したマナズマも体制を立て直して咆哮。


「──オラアアアアアア!!!!!」


 相殺するようにガツントの雄叫び。

 後ろから様々な援護射撃が俺を飛び越えていく。

 飛び道具や攻撃手段を持ったプレイヤー陣営だな。

 そこへ、上からも援護射撃。


「遅いぞ、トン」


「馬鹿言うな、上にも召喚されてたんだよ羽の生えた魚がな」


 どうやら下も忙しいが上もそれなりに忙しかったらしい。

 なるほどな、とりあえず一番槍だ。


 再び突っ込んでくるマナズマ。

 一度俺を丸呑みにした苦しみを学習して、今度は体当たりだ。


「マナバースト」


 からの、スペル・インパクトを乗せて大きく蹴り上げ。

 かちあげられた鎌首の喉元に隙をついて斬りつける。

 防御は無視する。

 ダメージが均一に入るが、流行り急所攻撃を決めないとクリティカルヒットは期待できない。

 再び体内に行くよりも、外側に飛びついて目を狙った方がいいだろう。


 改めてよく見ると、本当に日本の龍みたいな長くしなやかでかつ、物々しい姿をしているな。

 これで水を操る他に……。


 土属性も持ってるんだから、全くしょうがない相手だよ。


「うおおおおお! なんだ、土を纏ってガードしてんのか!?」


 ゴゴゴゴゴと蹴り上げた部分の粘膜が土やらヘドロやら、水底に沈んでいたいろんなものをまとわりつかせて身体中を覆って行く。

 深い青色は、それによってどす黒く変色し、しなやかな体は歪な形へを変貌を遂げた。


「あんなのありかよ!!」


 あんなのアリかよっつったって……ねえ?

 そんなこと言ったってしょうがないじゃないか。


 心の中でほくそ笑みながら俺は関係ないとばかりに跳躍。

 そして悪鬼ノ刀から六尺棒に持ち替えて一気に殴りつけた。


「グオオオオオオオオオオオ!!!」


「ダメージ通してやがる! まじかよ!」


「俺は防御無視できるしな」


「んなのありか……」


 顔を歪めるガツントが俺に言う。


「だが、てめぇだけが攻撃できたところでジリ貧だぞ?」


 後ろに目配せするガツントを見て納得する。

 確かに、鱗の上からさらに土砂を体にまとうことで、防御力はぐんと上がった。

 俺以外のみんなが攻撃したところで……意味ないだろう。


「くそっ! 矢が通らない!」


「魔法スキルも弾かれてる!」


 プレイヤーたちの声が聞こえる。

 そして余裕をもたせたマナズマは再びナズマ達を召喚するわけだが……。


「む?」


「……まじかよ」


 その眷属達まで、土砂によって強化された状態で召喚された。

 さらに、上から声が聞こえる。


「あぶねぇぞコンシリエーレ!!」


 トンスキオーネの声の後、上から土砂をまとったフライフィッシャーが次々ダイブしてくる。

 どうやら、羽も土砂に覆われているから飛べなくなって落ちているようだ。

 ……間抜けか?

 それでも威力は申し分なさそうだ。


「あああああああ!!!」


「ちょ、やばいたっくんんん!!!!」


「たっくんがつぶされたああああ!!!」


 プレイヤー達の阿鼻叫喚。

 そこへマナズマのさらに追撃が行われる。

 長い巨体を大きく鞭のようにしならせたなぎ払い。


 単純な攻撃だが、単純ゆえに。

 普通に強い。


「いかん──十八豪ッ」


「ぐおおおお!! はじき返せねぇ!!」


 俺もガツントも、その他プレイヤーもみんな揃って薙ぎ払われる。

 後ろでなんとか衝撃を和らげようとしていた十八豪にもその余波は向かう。

 空蹴にて十八豪の側に向かうと抱きかかえて守る。


「ちょ、ひとりで対処できるって!」


「どうやるんだ? 船の上で休んでる方がいいんじゃないか?」


「ああん? 馬鹿にしてんのかい? ──って、また大きな傷おっちゃってるじゃないか」


「ん?」


 肩に木片刺さってた。

 やばい、痛いぞ。

 とりあえず引き抜いてポーションをぶっかけておく。

 この時のために、レイラが持ってきてくれていた。


 彼女はすでに、上級ポーションを作成できるまでにそのスキルを高めている。

 HPは全快。

 中級のMPポーションも一気に飲み込んで方向をあげるマナズマを向く。


 さて、どうしようか。

 レイドボスを一人で相手にするのはやはり無謀だな。

 俺がエンゴウに挑むのはレベルが同じくらいになってからにしよう。


「トンスキオーネ!」


 一度十八豪を抱えて水上に上がる。

 こう言う時、空蹴があると水面からひとっ飛びで甲板に上がれるから便利だ。


「なんだよコンシリ」


 ……こいつ、悠長に飯食ってんじゃねぇよ。

 なんでこの状況でバーベキューできるんだ?


「一枚ずつ腹の脂肪を削ぎ落としてやろう」


 そう言いながら悪鬼ノ刀を抜くと、すっかりトンスキオーネの手下みたいになったセイスとシエテが俺をなだめようとしてきた。


「ロ、ローレントさん落ち着いて! 穏便に! 穏便に!」


「そ、そうです、何故刀を抜いている! テージシティの貴族と繋がってるお方ですぞ!」


 離してくれ、俺がこいつを斬れないだろうが。

 そんな俺を見ながらトンスキオーネは言った。


「カカカッ、そんなことやってる時間はないだろう──三分耐えれば俺が特大の秘密兵器かましてやるよ」







いつのまにか39000ポイントを超えていました。

4万ポイントも目前ですね。

可能な限り二回更新つづけます。

発売記念なんで頑張ります。


いつもブクマ、評価、感想。

本当にありがとうございます!


あとメッセージもちゃんと読んでます。

時間ができれば返信させていただきたいと思います。



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