表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/626

-34-

 俺も地味に魔法の練習しないといけないみたいだな。

 魔法を使う彼女を見てそう思った。

 彼女の【エナジーボール】は既に俺のを越えている。

 遥かに凌駕しているといっても過言じゃない。


 いつのまにか麻袋四つ分。

 うむ、満足できる量を確保できた。

 彼女のレベルもいつのまにか6レベル。

 【エナジーボール】のスキルがマックスになったようだ。

 彼女は得意げに言う。


「光と闇は特殊派生、スキルマックスにした状態で、魔法使い組合のクエストを受けることで解放されるみたいです!」


「へえ」


 俺は無属性魔法使いなので興味無し。

 というか転職できないって言われてしかたなく【エナジーボール】覚えただけだった。

 そんなエナジーボールも威力以外は伸ばすつもりは無い。


「ローレントさんって、ローブ羽織ってますけど、魔法使いなんですよね?」


「え、一応無属性魔法使いです」


「レベルはどれくらいですか?」


「14ですね」


「ええ! 最前線と同じ位のレベルじゃないですか!」


 ツクヨイは驚いているが、既に最前線組ってのは死語だよな。

 今はどっちかっていうと、開拓組とよんだ方が良い。

 ちなみにその情報元を聞いてみると、ケンドリックでした。

 あいつも一応そのくらいのレベルなんだね。


「一応薬草は数取れたけど、すぐ戻りますか?」


「え? まだレベル上げ手伝ってもらってもいいんですか?」


「構いませんよ」


 夜明けの時間帯に、師匠と荒野でワイルドベイグランドと戦いまくったし。

 そろそろレベルが上がっても良い頃合いだと思う。

 なので俺としてはもう少し狩りしておきたい所なので聞いてみたのだ。


「でも私エナジーボールしか撃てませんよ?」


「ああ、私もなんで」


「え?」


 派生スキルも出ているが、そのクエストを受けるまで派生闇魔法の【ダークボール】は貰えないんだとか。

 それでも構いません。

 俺だって魔法スキルはエナジーボールしか撃てないからね。

 さて、進攻開始だ。



【ノイジークック】Lv5

騒がしい鶏。

声がうるさくて周りの魔物を呼び寄せてしまう時がある。



 群れを見つけた。

 レベル帯は3~5と行った所。

 ローヴォと共に特攻します。

 ツクヨイは後方で詠唱をスタンバイしている。


 鶏の魔物だが、大きさは鶏より少し大きい。

 膝丈くらいの体高に丸まると太っている。

 敵が現れると翼をはためかせて走ってつっこんでくる。

 前蹴り一発、踏みつぶして出ばなを挫く。

 

 跳躍して飛び込んでくる一体をローヴォがかっさらって行った。

 もがれた羽が飛び散ってる。

 羽毛の枕で枕投げしたみたい。

 喉元にレイピアを突き立てると次を標的にする。


 丁度目の前の一体に【エナジーボール】が直撃していた。

 ヘイトがツクヨイに向く。

 大きく翼を広げて威嚇しながら跳躍した鶏。

 腰にしていたヌンチャクをぶん投げる。

 鎖が羽に絡んで墜落した。

 そのまま無詠唱の【アポート】で手元にヌンチャクを引き寄せる。


 雀の涙のHPに、もう一撃当てようと思ったが、【エナジーボール】が飛んで来て直撃。

 そのまま帰らぬ鶏となった。

 よし、次だ次。


 ……あれ?


 ローヴォが食い散らかした後だけ残ってた。

 羽が一杯舞散ってる。

 終わってたか、不完全燃焼気味になってしまった。

 どうしてくれる。


 ドロップは?

 半々で。



【騒鶏の羽】素材

矢の素材として利用可能。


【騒鶏の肉(手羽元)】

騒鶏の手羽元。

ほどよく脂肪がつき、味にコクがある。


【騒鶏の肉(手羽先)】

騒鶏の手羽先。

コラーゲンが豊富に含まれている。


【騒鶏の肉(胸)】

騒鶏の胸肉。

柔らかく、味も淡白であっさりしている。

脂肪の少ない部位。



 手羽先と手羽元でした。

 これはこれであり!

 サイゼの屋台を焼き鳥屋にしてやる。


「私はやげん軟骨とひざ軟骨でした」


 ツクヨイは軟骨フィーバーしてるみたいだった。

 地味にそっちの方が羨ましいな。

 やげん軟骨とかちょっとレアじゃね?

 いいなあいいなあ。


「もっと狩りましょう、食料は沢山あった方が良い」


「は、はい。……ところで」


 彼女は最もな疑問を口にする。


「本当に魔法使いなんですか?」


「鑑定してみたらわかるかと」


「あ、本当だ! なんで魔法使ってないんですか?」


「まあ、色々ありまして」


 初めの内はひた隠しにしていたが。

 ぶっちゃけどうでもよくなってきた。

 要するに誰から教えてもらったかを言わなければ良い話。

 こそこそするのも疲れた。


 ツクヨイの後ろから、気配を殺して近づいてくる魔物が居た。

 ローヴォも気付いてるようだ。

 アイテムボックスから銛を取り出すと投げる。


「ひえ!」


「ブヒィッ!!」


 喉元にクリティカルヒット。

 HPが雀の涙になる。

 それにローヴォが食らい付いてとどめを刺す。

 そして俺は指を鳴らした。


「これが私の魔法です」


 手元に銛が戻ってくる。

 決まった。

 ぶっちゃけやってみたかったことその一です。


「え? え?」


「アポートです」


「ええええ! そういえばスキル掲示板でも触れることなかれって言う感じで変なビルドの魔法使いが居るって、その人の話題はNGだって言われてたんですけど、ローレントさんだったんですね!」


 あの時は迂闊だった。

 だが、失敗して人は学ぶんだ。

 二度と迂闊な真似はしない。


「スキル構成はほとんど前衛なのに良く戦えますですね」


「まあそれは慣れというか、こうするしかなかったんで」


「それで漁師やってることはレイラ姉様から聞いていたので、なんだかまとめるととんでもスキル構成になってそうです。いえ、私も闇の錬金術師ですからある意味ローレントさんと同士。同じ影を行く物としてローレントさんここは一つ、……ぶらっくぷれいやぁ同盟を」


「遠慮」


「あう」


 物騒な同盟を組まされそうになった。

 うーん闇魔法と錬金術って普通にありそうなコラボだとは思うんだけど。

 そうじゃないのかな。

 そんな疑問もすぐ頭の片隅に。


 オークが湧いてるぞ!

 豚肉だ!


「ローヴォ! オークを探せ!」


 ちなみにさっきのオークのドロップは豚肉でした。

 オークの食材は【豚肉(部位)】ではなく。

 オーク肉として表示される。

 臀部、腹部、流石に内臓は食べれないだろう。

 とんでもないスプラッターゲームになってしまう。


 俺は臀部と腹部くらいしか見た事無い。

 うん、他は筋張ってるのかな?

 肩とか食べれるのかな?

 あまり深く考えるのは辞めておこう。


「フガフゴ!」



【オーク】Lv8

森の深い場所で生態系を築く。

森の番人だと呼ばれる地域もある。


【オーク】Lv9

森の深い場所で生態系を築く。

森の番人だと呼ばれる地域もある。


【オーク】Lv9

森の深い場所で生態系を築く。

森の番人だと呼ばれる地域もある。



「いましたね、三人です」


「先手をうつので、援護お願いします」


「はい」


 投げるのは投銛。

 装備扱いされないから何本も出せる。

 いいよねこれ。

 身を低くして接近するローヴォの後方から俺も一投して走る。


「フガッ!!」


 気付かれたか?

 いや、【エナジーボール】だった。

 ツクヨイ、戦いのセンスあると思う。


 得物はレイピア。

 オークってば、なんだかんだ脂肪に弾かれそうだか殺傷力高い物で当たる。

 ヌンチャクも攻撃力はあるし取り回しやすいと思うんだけどねぇ。

 何となく満遍なく使っておかないと、鈍りそうで。


 首元をひとつき。

 流石にこれだけじゃ即死はしない。

 脚を掛けて転がしておけ。


 周りを確認する。

 もう一体にはローヴォが飛びかかって翻弄してる。

 身体が大きくなったから渡り合えてる。

 手持ち無沙汰になった方が迷わず俺の方へ来た。


 手には槍を持っている。

 豪快な一閃をヌンチャクで叩き逸らすが、僅かに肩をかすめた。

 ノー強化でガチンコ勝負だと少し厳しいか。


「ブースト!」


 そして補助魔法をセットしておく。

 かすめた攻撃で俺がよれたので、足下のオークが起き上がろうとしてくる。

 目の前には槍を持ち直したオーク。


 どうする、詠唱間に合うか?

 いや、このタイミングで来る筈だ。


「エナジーボール!」


 上半身を起こしたオークの顔面に遠くから魔法が直撃。

 魔法というより魔弾かな。

 わお、クリティカル。

 昏倒した、ナイス!


「メディテーション・ナート! エンチャント・ナート!」


 槍先が避け辛い腹部に飛び込んでくる。

 ヌンチャクで絡めとれ。

 突きの前傾姿勢になったオークに飛び込んでそのまま投げ飛ばす。

 重たいが、それも一瞬だけだ。


 狙いは?

 目。


「ブヒィィ! ヒィィ!」


 そのままヌンチャクで頭部を殴打して完結。

 眉間は多くへこんで、残った眼球が飛び出している。


 ローヴォは?

 丁度援護するようにエナジーボールが着弾していた。

 毎回、頭に上手く当ててるよ。

 バランスを崩したオークの首元を確と食い破って完結。

 蓋を開けた初級回復ポーションを投げ渡すと器用に飲んでいた。



[テイムモンスター:ローヴォのレベルが上がりました]

[プレイヤーのレベルが上がりました]



 ほう……、嬉しいインフォメーションが響いた。

 さてさて。

 ソレより昏倒したオークのとどめが先だ。


「終わりました?」


「いえ、レベリングなんでとどめさします?」


「あ、はいぜひ!」


 昏倒したのは彼女のファインプレーだから。

 このオークを葬り去る権利は彼女が持っている。

 レイピアを渡してみると。


「滅びの黒い雷!!!!」


 といって胸の辺りを滅多差しにしていました。

 ……おおう。


「ふぅ~、良い仕事しました! 豚肉ゲッチューです!」


「ああ、うん」


 グロ耐性がどうとか、この間いってなかったっけな。

 もしかして錬金術をならうと皆こうなるのだろうか。

 いやいや、多分元からこういう子なんだろう。

 自問自答を解決させると解体して行く。


「レベル上げも手伝ってもらってるんで、この必殺技を食らわせた一体でいいです。ささ、豚肉になぁれ!」


 今回は残念ながら二体とも豚肉では無く。

 一体は豚肉、もう一体は魔石という結果だった。

 レベルも上がったことだし、良しとしよう。

 俺のHPの減りは一割くらい。


 うん、一撃食らうとHPの損害が大きい。

 何とかして行きたいところだ。

 そう考えるとオークは中々の強敵と思える。


 まずはローヴォの確認をば。



◇テイムモンスター

テイムネーム:ローヴォ

【グレイウルフ】灰色狼:Lv2

人なつこい犬種の狼。

魔物にしては珍しく、人と同じ物を食べ、同じ様な生活を営む。

群れというより社会に溶け込む能力を持っている。狩りが得意。

[噛みつき][引っ掻き][追跡]

[誘導][夜目][嗅覚][索敵]

[持久力][強襲]new

※躾けるには【調教】スキルが必要。



 表示が少しコンパクトになっていました。

 なんじゃこりゃ。

 強襲という物を覚えている。

 真っ向から大きく飛びかかって行くアレか。

 迫力あるし良しとする。



◇スキルツリー

【フィジカルベール】

・軽減Lv3/5

・熟練Lv1/5

・消費Lv1/5

・詠唱Lv1/5



 HPの問題に直面した結果。

 普通に【フィジカルベール】を伸ばして行けば良いよね。

 と、いうことで軽減レベルを2上昇。

 これは、詠唱が大変になるなぁ。

 攻撃魔法と違ってすごい長ったらしい詠唱セットの時間が無いのが救い。


 ……しまったな。

 そう考えると詠唱レベルを先に上げた方が使い勝手よかったか。

 もう振ってしまったので、後悔後先に立たず。


「もうレベル7です! 私そろそろ町へ戻りたいのですけど、ダメですか? 闇魔法のクエストを受けて来たいので……」


 喜びも束の間。

 少し申し訳無さそうにツクヨイが切り出す。

 流石に一人で勝手に帰ればとは言わない。

 オークとバトルできて少し発散出来たから。

 俺も帰宅には同意。


「薬草もたんまり集まってる事ですし、了解です。帰ろう」


 今回の狩りは十分益があった。

 薬草もそうだが、レベルも上がったし、肉もゲットできた。

 ツクヨイも【小鬼の髑髏】をそこそこドロップできていたようだし。

 申し分無い。



ーーー

プレイヤーネーム:ローレント

職業:無属性魔法使いLv15

信用度:80

残存スキルポイント:0

生産スキルポイント:4


◇スキルツリー

【スラッシュ】※変化無し

【スティング】※変化無し

【ブースト(最適化・補正Lv2)】※変化無し

【息吹(最適化)】※変化無し

【エナジーボール】※変化無し


【フィジカルベール】

・軽減Lv3/5

・熟練Lv1/5

・消費Lv1/5

・詠唱Lv1/5


【メディテーション・ナート】※変化無し

【エンチャント・ナート】※変化無し

【アポート】※変化無し

【投擲】※変化無し

【掴み】※変化無し

【調教】※変化無し

【鑑定】※変化無し


◇生産スキルツリー

【漁師】※変化無し

【採取】※変化無し

【工作】※変化無し

【解体】※変化無し


◇装備アイテム

武器

【大剣・羆刀】

【鋭い黒鉄のレイピア】

【魔樫の六尺棒】

【黒鉄の双手棍】

装備

【革レザーシャツ】

【革レザーパンツ】

【河津の漁師合羽】

【軽兎フロッギーローブ】

【軽兎フロッギーブーツ】

【黒帯(二段)】


◇称号

【とある魔法使いの弟子】

【道場二段】


◇ストレージ

[スティーブンの家の客間]

セットアイテム↓

[カンテラ×2]

[空き瓶×8]

[初級HP回復ポーション×3]

※残りスロット数:7


◇テイムモンスター

テイムネーム:ローヴォ

【グレイウルフ】灰色狼:Lv2

人なつこい犬種の狼。

魔物にしては珍しく、人と同じ物を食べ、同じ様な生活を営む。

群れというより社会に溶け込む能力を持っている。狩りが得意。

[噛みつき][引っ掻き][追跡]

[誘導][夜目][嗅覚][索敵]

[持久力][強襲]new

※躾けるには【調教】スキルが必要。

ーーー





ツクヨイ回でした。

モンスターにはクラスチェンジするものとしないもの。

そして成長が遅いものがあります。

クラスチェンジが早い魔物は大体1〜10レベルでのクラスチェンジをして行きます。

その分強いか弱いかで言ったら弱いです。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ